異世界最強のセンセイ~王女の妹と令嬢達の先生になったんだが、教え子たちが可愛すぎて授業どころじゃない~

古澄典雪

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第二章

第八十一話 どこまでも続く夜

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 ● 久宮誓依

 ……祈利はすごくたくさんの女の子に好かれているということが分かってしまった。

 ……ああいや、祈利じゃなくて由理か。そろそろ慣れないと。でもとにかく、由理の周りには可愛い女の子が多くいる……昔からその傾向はあったけど。教え子五人のうち四人は女の子だったし。

『最怪ノ魔術師』と呼ばれていることは知っていたので(名付けたのが由理だってことがちょっと引っかかる……)、避けられるかなと思っていたけど、王城に入って自己紹介した途端に綺麗な銀髪の女の子――夢乃ちゃんに抱き着かれた時には驚いた。彼女は由理から昔の話を聞いていたようで、私が結界から出られたことを自分の事のように喜んでいた。

 それにしても綺麗な髪の毛だなぁ……。

 由理が好きそう。

 ……由理って、ちょっと髪の毛に執着がある感じがするというか。

 ……いや、これは冗談だけど。

 夢乃ちゃんだけじゃなくて、みんな私を歓迎してくれた。彩希ちゃんに時葉ちゃんに悠可ちゃんに――佳那ちゃんに弥生さんも。

 ……見事に女の子だらけだね。

 あと、王城まで道案内してくれた望海ちゃんと、未來ちゃん、か。

 うーん。

 どうも、ライバルが多そうだなぁ、なんて……。

 ……そうだ。今の私の年齢について。

 由理に結界の内側に封印してもらってから三百年近く経ってるみたいだけど、時間が止まっていたから――とりあえず封印直前の年齢ということで、十七歳。

 由理と同い年ということだった。あと佳那ちゃんとも。

 ……由理と同い年、ね。十歳くらい歳の差があったものだから、ちょっと新鮮な感じがする。

 これはアドバンテージになるのだろうか……。

 由理のお父さん――極星国の現国王と会って挨拶をした。

 あんまり、由理とは似てないかな……。親子が似てるとも限らないけど。不思議な雰囲気を持つ人だった。

 夕食はもう終わっていたけれど(特にお腹が空いていなかったから食べなくてもいいかと思っていた)、佳那ちゃんが紅茶を淹れてくれて、お菓子も用意してくれた。自作だと言っていたが、店が出せるくらいに――行列が出来る店になるだろう――美味しかった。

 毎晩お茶会があるらしい。で、由理は今日それを出て行ってしまったとか。

 ………何も言うまい。そういうところは昔から変わっていないな、とは思うけど。

 どこか部屋を貸してもらえないかと頼んだら、由理の部屋を使ってくれと言われた。

 それはどうなのかな……。と思ったけど、由理の部屋が一番良い部屋であるらしい。

 で、今日用意できるのはそこだけ、ということらしかった(本当かどうかはわからない……何かしら気を遣われているのかも)。

 じゃあ、お言葉に甘えて……。

 由理の部屋に入る。本好きなのも変わっていない。

 今までずっと眠っていたようなものなのに、眠気が襲ってくる。

 一回躊躇して止めて、もう一回躊躇したけど、ベッドに横になる。

 ……寝れるかな。これ。眠いはずなんだけど。

 少しカーテンを開けて、窓の外を見る。赤い魔法陣はその残滓すら留めず消えて、どこまでも続く穏やかな夜が目に入った。
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