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プロローグ
しおりを挟む「いやー今年の夏も暑いなー」
と大きなボストンバックと共に8月の小垣駅のホームに降り立った私、谷元貴海32歳。
この小垣駅がある小垣市に、とある用事があってこの地に、一年ぶりに帰ってきた。
帰ってきたと言っても地元ではない。
私が行く場所は、小垣駅から離れたところにあるため、1番線から3番線に乗り換えて最寄りの駅の青坂駅に向かう。
青坂駅は貨物駅も併設してあることから大きな駅だ。よくここから貨物列車が石灰を運んで七宮駅を通過する時、通学中私の顔に石灰の白い粉が降りかかって、ゴホンゴホンしたことを思い出す。
駅からすこし歩くと、ここからちょっとした山登りが始まる。かなり急な坂が私の膝に負担が‥。
やはりボストンバックは駅のロッカーに置いてからきた方がよかったかなと息を切らしながら歩くと、途中に景色がよく見えるスポットを発見した。
少しばかりか休憩をしながら景色を見ていると遠くに名古羅駅の高層ビル群が見えた。思わず写真を撮ってしまった。
夜になると夜景がきれいだろうなと思いながら、最後の坂を登り切ると、ようやく私が目指していた場所の銀星山空月寺に到着した。
正門に入ると金剛力士像に目が行く、あの有名な寺にも匹敵するほどの迫力だ。
私は歴史好きなので、力士像をかなり凝視してしまった。
立て看板によると市の文化財ということで、やはり私の頭の中にある歴史センサーにピピっと反応しただけのことがあるなと。
おっと、いけない話が逸れてしまった。
私がここにきたのは観光目的ではないのだ。
その理由を話す前に、長くはなるが私が初めて小垣駅にやってきたあの夏のことを話そう。
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