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ひねくれもの6
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生活面において変わった点があったとすれば一週間が経った頃から、私は自分の食事を自分で用意しようと試みていた。
それまでと同様にホストファミリーに用意してもらうのも悪いものではなかったが、自分で用意した方が金額として半分以下になることも分かっていた。
そう言う訳で、自分で用意しようと思ったのだ。
食べ物保管する場所として私が使えるのは冷蔵庫の極一部であった。
私が買い物で手に入れたものの中で冷蔵庫に入れる必要のあるものと言えば、ハムや牛乳とその他の少しのものであった。
冷蔵庫に入れなかったもので、私の買ったものはパンや卵、たまねぎ、ニンジン、果物のジュース、シリアルなどである。
昼食は学校の近くで済ますため、家で用意するのは朝と夜だけだった。
さらに言うと、この国の食事のメインとなるのは昼であるため、朝晩は少なくていい。
コロンビア人の昼食は日本人からしたら有り得ない量である。
そのため、夜もあまりお腹が空かなかった。
というより二十時まで仕事をした後は、疲れて何かを食べる気も起きない。
翌日の授業の準備をする必要もあった。
食欲もなければ時間もないという状況であったのだ。
これは不幸としか思えなかった。
さて、そういう訳で必要なのは殆ど朝食だけであった。
生憎私はそれまで殆ど料理をしなかった。
私ができる範囲としてパンを焼くことや簡単な卵料理を作ること、同じような素材でフレンチトーストを作った。
炭水化物とタンパク質、それに糖分が取れるのだから私には十分であった。
野菜は昼食でどうにかする。
ここは塩分も糖分も必要以上に摂取しないと倒れてしまう標高2600メートルの街だった。
食に関するものでこの時私の持ってきたものは箸だけであった。
しかし正直なところ文化を受容する上で必要だとはあまり思っておらず、使おうとは考えていなかった。
できるだけ日本で使うことの少ない道具を使って慣れようと考えたのだ。
しかし食にかける時間に制限ができてしまったのでは話が別である。
朝は時間が無いため早く食事を済ませたい。
そう言うわけで箸を使う機会を故意に増やした。
ついでに昼食についても述べておく。
昼は注文すると食べ切れない程の量の食事が運ばれてくる。
見ているだけでお腹いっぱいになるようだ。
それらを完食するには時間をかけずに胃の中に入れる作業をするしかない。
慣れないナイフとフォークを振るうよりも結局箸を使う方が効率はいい。
それに箸を使った方がホストファミリーや店の人受けがいいのも理由にしていいだろう。
以上の理由で積極的に箸を持ち歩くことにしていた。
季節は雨季であった。
その時に私が楽しみにしていたのは知り合いに誘われたサッカーだった。
生憎雨ばかりで参加できた試しがない。
そもそも仕事の前、早朝にすると聞いていたので実施されても困るという面もあった。
先に述べた通り楽しみなのには間違いない。
しかしそれは「積極的に体を動かしたい」という訳ではなく、どちらかといえば「交友関係を広げたい」という意味である。
正直長いこと体を動かしてないために動ける気はしない。
ボロボロの体で仕事に行くわけにもいかず、そうかといって休みがもらえるわけでもないことはわかりきっていた。
日曜日が明けた最初の週の木曜日。
朝から体調が良くなかった。
お腹を壊していたし、頭が宙に浮いているようだった。
電話で社長に伝えると一応心配はされた。
そして一日休むようにと言われた。
続けて言うに医者を寄越すらしい。
多分土曜日に人がいないのは問題なため早めに休ませておこうということだろう。
朝は体が少し重かっただけだったが昼頃にかけて次第に目眩がして動けなくなってしまった。
休むように言われていただけに医者の到着を待たずに寝てしまおうと思った。
気を遣っている場合ではない。
次に気付いた時には医者が来ていた。
私の体温や脈拍を測ると薬を置いていった。
粉薬を何かに溶かして飲むように言われたが、それは有り得ないくらいに味の悪いもので「薬の味」といえば簡単なのだが、本能的に拒否するような、吐しゃ物を飲まされるような、そんな味であった。
しかもそれを二リットルも置いていったのだ。
もっと量の少なくて質のいいものを置いていってくれれば良いものをどうしてこうも効率が悪いのか。
そう思いながら再び眠りについた。
よく水分を摂るように言われたため、例の薬を飲み続けていた。
一度に飲む量は本当に少なかったが、まともに飲めたものではなかった。
本当はトイレに流して飲み切ったことにしたかったが私の身を案じて医者が置いて行ったものだ。
流石にそれはやめておいた。
よくまぁあんなゲロみたいなものを勧められるものだ。
それから翌日まで眠ると土曜日は休めないと社長に言われ、結局土曜日に重い頭を持ち上げて出勤した。
ホストファミリーや家のお手伝いさんは私にとても親切にしてくれた。
鬱陶しかったのはそれに対して社長の恩着せがましさであった。
ホストファミリーは何も言わなかったが、社長は引越しをされるのが面倒なのか、頻繁に「本物の家族みたいにしてもらったでしょ?」と言ってきた。
本当の家族に言語の壁があってたまるか。
せっかくの親切も、私がここに居づらいように仕向けられているように感じた。
それから無理やり体を動かすことでなんとか元の生活に戻った。
それまでと同様にホストファミリーに用意してもらうのも悪いものではなかったが、自分で用意した方が金額として半分以下になることも分かっていた。
そう言う訳で、自分で用意しようと思ったのだ。
食べ物保管する場所として私が使えるのは冷蔵庫の極一部であった。
私が買い物で手に入れたものの中で冷蔵庫に入れる必要のあるものと言えば、ハムや牛乳とその他の少しのものであった。
冷蔵庫に入れなかったもので、私の買ったものはパンや卵、たまねぎ、ニンジン、果物のジュース、シリアルなどである。
昼食は学校の近くで済ますため、家で用意するのは朝と夜だけだった。
さらに言うと、この国の食事のメインとなるのは昼であるため、朝晩は少なくていい。
コロンビア人の昼食は日本人からしたら有り得ない量である。
そのため、夜もあまりお腹が空かなかった。
というより二十時まで仕事をした後は、疲れて何かを食べる気も起きない。
翌日の授業の準備をする必要もあった。
食欲もなければ時間もないという状況であったのだ。
これは不幸としか思えなかった。
さて、そういう訳で必要なのは殆ど朝食だけであった。
生憎私はそれまで殆ど料理をしなかった。
私ができる範囲としてパンを焼くことや簡単な卵料理を作ること、同じような素材でフレンチトーストを作った。
炭水化物とタンパク質、それに糖分が取れるのだから私には十分であった。
野菜は昼食でどうにかする。
ここは塩分も糖分も必要以上に摂取しないと倒れてしまう標高2600メートルの街だった。
食に関するものでこの時私の持ってきたものは箸だけであった。
しかし正直なところ文化を受容する上で必要だとはあまり思っておらず、使おうとは考えていなかった。
できるだけ日本で使うことの少ない道具を使って慣れようと考えたのだ。
しかし食にかける時間に制限ができてしまったのでは話が別である。
朝は時間が無いため早く食事を済ませたい。
そう言うわけで箸を使う機会を故意に増やした。
ついでに昼食についても述べておく。
昼は注文すると食べ切れない程の量の食事が運ばれてくる。
見ているだけでお腹いっぱいになるようだ。
それらを完食するには時間をかけずに胃の中に入れる作業をするしかない。
慣れないナイフとフォークを振るうよりも結局箸を使う方が効率はいい。
それに箸を使った方がホストファミリーや店の人受けがいいのも理由にしていいだろう。
以上の理由で積極的に箸を持ち歩くことにしていた。
季節は雨季であった。
その時に私が楽しみにしていたのは知り合いに誘われたサッカーだった。
生憎雨ばかりで参加できた試しがない。
そもそも仕事の前、早朝にすると聞いていたので実施されても困るという面もあった。
先に述べた通り楽しみなのには間違いない。
しかしそれは「積極的に体を動かしたい」という訳ではなく、どちらかといえば「交友関係を広げたい」という意味である。
正直長いこと体を動かしてないために動ける気はしない。
ボロボロの体で仕事に行くわけにもいかず、そうかといって休みがもらえるわけでもないことはわかりきっていた。
日曜日が明けた最初の週の木曜日。
朝から体調が良くなかった。
お腹を壊していたし、頭が宙に浮いているようだった。
電話で社長に伝えると一応心配はされた。
そして一日休むようにと言われた。
続けて言うに医者を寄越すらしい。
多分土曜日に人がいないのは問題なため早めに休ませておこうということだろう。
朝は体が少し重かっただけだったが昼頃にかけて次第に目眩がして動けなくなってしまった。
休むように言われていただけに医者の到着を待たずに寝てしまおうと思った。
気を遣っている場合ではない。
次に気付いた時には医者が来ていた。
私の体温や脈拍を測ると薬を置いていった。
粉薬を何かに溶かして飲むように言われたが、それは有り得ないくらいに味の悪いもので「薬の味」といえば簡単なのだが、本能的に拒否するような、吐しゃ物を飲まされるような、そんな味であった。
しかもそれを二リットルも置いていったのだ。
もっと量の少なくて質のいいものを置いていってくれれば良いものをどうしてこうも効率が悪いのか。
そう思いながら再び眠りについた。
よく水分を摂るように言われたため、例の薬を飲み続けていた。
一度に飲む量は本当に少なかったが、まともに飲めたものではなかった。
本当はトイレに流して飲み切ったことにしたかったが私の身を案じて医者が置いて行ったものだ。
流石にそれはやめておいた。
よくまぁあんなゲロみたいなものを勧められるものだ。
それから翌日まで眠ると土曜日は休めないと社長に言われ、結局土曜日に重い頭を持ち上げて出勤した。
ホストファミリーや家のお手伝いさんは私にとても親切にしてくれた。
鬱陶しかったのはそれに対して社長の恩着せがましさであった。
ホストファミリーは何も言わなかったが、社長は引越しをされるのが面倒なのか、頻繁に「本物の家族みたいにしてもらったでしょ?」と言ってきた。
本当の家族に言語の壁があってたまるか。
せっかくの親切も、私がここに居づらいように仕向けられているように感じた。
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