放浪記-ラドラダ

藤堂Máquina

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1日目

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1日目

今日は現地時間2020年11月20日である。
この年というのは世界的に疫病の流行った年として、近年の中ではかなり稀な年として記録されることだろうと思う。
この年の1月、私はこの地に着いた。
目的は観光なり、スペイン語学習なり、様々で、あってないような感じでもある。
それから私はこの地や他の地に赴いて、自分の中に何かを吸収しようと思っていたが、残念なことにどこにも行くことはできなかった。
それでとうとう12月を迎えようという今日この頃、ようやく「ラドラダ」という、コロンビアの首都からや北西方向にある町に行く機会を得た。
これは私が選んだ訳ではない。
ここ半年お世話になっている家族が、親戚の元を訪ねる際に同行する許可を得たまでのことである。
ここ最近のボゴタの気温というものは、常に低く、寒さを感じる日が毎日続いていた。
山の上の街であるため、気温が低いのは仕方のないことであったが、それに加えて雨がちな天候が災いして、そのようになっていたのだ。
さらに言うと最近は、コロンビア史上はじめてのハリケーンが来ていたようであり、水浸し状態だった。
そういうこともあり、暑い土地であると聞くこの町に行こうと思ったのだ。
私は他の町どころか、近所にすら殆ど出ない。
疫病を警戒してのこともあるが、そもそも外出が多い方ではないからである。
コロンビアまで来るような人間にも関わらずこんな性格なのについては笑ってもらうしかない。
言い訳がましいが、刺激のある外出が好きなのである。
そのため、通い慣れた道は飽きてしまうという訳である。
通い慣れた道だってきっと新しい発見があるかもしれないことは重々承知のことであり、のんびり散歩できる環境なら、気持ちを入れて歩きに出るのだろうが、今は用件だけを済ませて帰路に着くことを優先しなければならない時勢であるため、後々考えることにしたのである。
さて、一応この日記については「旅行記」ということにしているため、そろそろ本題に入るべきだろう。
先に弁明しておくと、これは1日の終わりに書いている訳ではなく、時間のある時に書いているものである。
日毎に章を分けるつもりではいるものの、同じ日のことを同じ日に書く訳ではない。
これを書いているのも出発した日の昼過ぎ、昼食を食べた後の休憩時であり、その先のスケジュールはないものの、何か面白いことを期待している。
今日のここまでについて書くと、私が起床したのは早朝4時40分頃であった。
4時半にアラームをセットして、結果として起きたのが10分ほど後になってからだろうという時間である。
これは前日に言われていた時間であり、この家族は5時半頃には出発したいと言っていたのである。
しかし朝ごはんを食べたり、荷物を準備している間に6時前になってしまった。
これが何を意味するかと言うと、ボゴタの道の渋滞である。
ラドラダまでは車で行くことになっていた。
だが平日のボゴタの交通量は凄まじい。
大通りには耐えることなく車が走り、特別の車線にはこれまた絶え間なくバスが通る。
「信号のないところを渡るのはまず不可能」と言いたいところだが、渋滞してしまって車が動かないため、返って通れるほどである。
そうは言っても街から出るだけで高が知れているだろうと思いきや、1時間以上待つことになった。
それもボゴタの出口のところから全然動かなくなったのである。
同じところに留まり続けるとそれこそストレスである。
私は変わらない景色を見るのもしょうがないし、朝も早かったため、とりあえず寝ることにした。
私は90分ほどした後目が覚めた。
あたりには木々が生い茂る山の中の道だった。
通るのは大きな荷物を運ぶトラックばかりである。
中には馬や牛を運ぶものなんかもある。
停車するそれらのそばを通過すると、微かに獣の匂いを感じる。
私はカーブの多い山道にすっかりやられてしまって、一度だけ車を停めてもらった。
ものの5分で酔いは治ったため、そのあとすぐに出たが、外を眺めていくと、植物の雰囲気が変わっていくのがわかった。
きっと日本人のイメージする南米というのはこういうものなのだと思った。
私も当初はそう思っていた。
蓋を開けるとすぐにそれが違うと気がついただけのことである。
そもそもよく考えてみれば分かるだろうが、国土が日本の3倍もある国なのだ。
いくら赤道直下の国で、季節に乏しい国だからと言えど、アンデスやアマゾン、海岸地域と、ところが変われば気候も変わって当然なのだ。
その中でイメージ通りのところにようやくやって来ただけの話である。
今までいたところもコロンビアであり、今回辿り着いたところもコロンビア、それだけである。
ここは至る所にバナナの木やサトウキビが生い茂る、所謂「南国」感の強いところである。
道の標識をみるとヘビやイグアナ、ピューマなどの動物注意をみる。
さすがに昼間に見ることはないが、夜間などには時折姿を現すと言う。
山道を下り続けて5時間ほど、目的の地に着いた。
先程書いたが、私は内2時間ほど寝ていたため、あまり遠く感じなかった。
でもよく考えてみると、日本からメキシコまでが12.3時間程度であるため、半分近い時間かかっている。
そう考えると、遠い気もしてくる。
山を下り続けたおかけで、山々を下から見ることになる。
それは青い空を背景にした鮮やかな緑の塊である。
山を下りるとそのうち目的の町に入った。
ボゴタでも充分生き生きしているように見えた街路樹が、荒々しく生えているところであった。
「マグダレナ」という大きな河が町を流れる。
スペインの影響を受けた街並みと、半ば自然に入り込んだような独特な町である。
おそらくコロンビアとしては珍しくもないのだろうが、日本人からすると、よく目にする光景という訳ではない。
雑木林の中に動くものがある。
よく見るとイグアナである。
そんな簡単に見つかるものだとは思わなかったため驚いた。
野良猫を見つけたような感覚である。
ちょうど大きさもそのくらいだ。
のしのしとゆっくりを歩いている。
少し距離があったため、私の携帯では撮れないと思い諦めたが、野生で見るのははじめてでとても刺激的だった。
それから間もなく目的の家に着いた。
車から下りると、想像よりは暑くないことに気がついた。
今日は比較的涼しいらしい。
私は暑いのが苦手なため、ありがたかった。
本来はもっと気温が高くなるらしいし、30度を超え、暑いには暑いのだが、湿気がない分、よくわからないが健康的な暑さのような気がした。
因みにこの日は33度ほどらしい。
大きな白い門から中に入ると、中庭にはマンゴーの木が生え、小さな温泉くらいのプールのあるこれまた白い家が姿を現した。
冷房はないため、ずっとこの気温かもっと暑くなるらしいが、夜は多少涼しくなってくれと願うばかりである。
それから昼ごはんをいただくと、庭のマンゴーで作ったジュースを飲んだ。
甘みがとにかく強くて口にあった。
何を隠そう私は甘いものが好きなのである。
それから中庭のハンモックに寝転がりながらこれを書いている。
地味に暑くて何もやる気は出ない。
一応ここの家族のスケジュールに従うが、ボゴタに戻るまでに何をするのかは聞かされていない。
正直のんびり過ごしたい。
この家には私の好きな猫もいて、人を怖がるタイプでもないため、暇さえあれば撫でくり回している。
そんなこんなで一コマ授業をしなければならない時間になったため、教師として、30分の授業をしたが、喉の渇き方がボゴタと比べ物にならなかった。
冷房でもあれば違うのだろうが、ないとやってられない。
1時間が限界だろう。
続けて2コマは無理だ。
これは余談だが、目も乾いている気がする。
今日は2時間ほどしか液晶を見ていないはずなのだが、いつもより乾燥している。
こういう面も含めて、仕事をあまり入れなかったのは幸いだと思う。
授業が終わるとなぜか夕飯の買い出しに同行することになった。
といっても決まったものを買って帰るだけであり、私は車から出ない。
はじめての場所のため、車の中に限り案内してくれるという心遣いだろう。
ちょっと面倒くさかったが、ここまで来てそれを理由に引きこもる方がアホらしい。
それに車の中は冷房が効いていて過ごしやすかった。
ドライバーはラドラダの滞在先の人であったが、スペイン語での簡単な会話は問題なくできた。
私はそれほど喋っていないが、聞き取って理解できたというレベルである。
それでもボゴタの滞在先の人以外でちゃんと話すこともなかったため、多少は自信になったと思う。
夕飯を食べると猫を撫ぜて、今はまたベッドの上にいる。
授業以後が夜に書いたものだ。
みんなも疲れているだろうし、ほかには何も予定がないだろう。
私は車で2時間ほど寝たにも関わらず、夜8時半現在でもう眠い。
寒いと寒いで疲れるが、暑いと暑いで疲れるのは嫌になる。
ここには長期滞在しないだけまだマシだ。
明日は2時間の授業が2コマある。
授業の前に水を用意しておくことを忘れないようにしなければならない。
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