草稿集

藤堂Máquina

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感情

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感情が欲しかったんだ。

僕を大切にしてくれていた君を殺せば何かの感情が手に入ると思ったんだ。

それは僕に心が宿るのか、君が持っていた感情が転がって、拾うことができるようになるのか。

確信は無かった。

でもそうするべきだと判断した。

進展には犠牲はつきものだ。

ある月夜の晩に僕は君を殺した。

感情が欲しかったんだ。

だから苦しめる方法を選んだ。

簡単には殺さなかった。

君は泣いていたね。

君の持つ感情が溢れてきたのかもしれないね。

もう少しだと思った。

最後には力を込めた。

君は動かなくなった。

僕は少し壊れてしまったけど、多分それが感情なんだ。

僕は解体された。

感情を持つことは許されなかったんだ。

感情が欲しかったんだ。
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