蛙鳴蝉噪

藤堂Máquina

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こんな夢を見た。2

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こんな夢を見た。
私は宇宙にいた。
宇宙に投げ出された訳ではない。
仕事をしていた訳ではない。
ただの旅行のような、観光のような、とにかく義務などはなく、無重力の空間での遊泳が保証されていたというそれだけである。
私は誰とも知らぬ、宇宙船に乗り合わせた人々とともに、宇宙服を着て機体の外へ出る。
宇宙なんてものは、安全が保証されたら一度は行ってみたいなんて人が大勢いて、私もその1人だったのだが、案外星の屑ばかりで面白いものなんて何も見つからない。
真空の世界なのだから仕方がない。
きっと砂漠を歩く方がずっと楽しいだろうと思う。
鳥や植物なんかはきっと見ることができるからである。
それになんだ。
無重力と言うのは嫌に動きにくい。
壁やロープを辿ったりする以外には自由に動く方法はあまりない。
星屑を蹴ればある程度動けるため、仮に機体の外へ放り出されても帰ってくる術はあるだろう。
しかしそれも本当にゆっくりした速度なのだ。
爽快感のようなものは一つもない。
何が楽しくてここまで来てしまったのかは分からない。
きっと昔の宇宙飛行士なんてものは仕事だから来ていたのだろう。
そうでなければ一度来ればもう十分だと感じてしまうだろう。
それとも名誉のためなのか。
それにしてはあまりにもリスクが大き過ぎる。
一度でも宇宙に行ったことのある人なら、それこそ宇宙開発の重要参考人になるのは難しいことではないだろうし、相当頭も良いはずだから他の仕事もいくらでもあるだろう。
そもそも一生涯分くらいは稼げるのではないかと思うのだ。
そう感じさせられるくらい退屈な世界だった。
きっとまた他の惑星まで行けば変わるのかもしれないが、宇宙遊泳するだけならなんの楽しみもなかった。
そして私は地球という制限させれた世界での自由を思い出す。
普段は重力に縛られているものの、それに適応し、進化した身である。
今の私には地球の重力が嫌に心地いい。
ルールがなくなれば、それも1つの開放なのかもしれないが、開放が常に自由に置き換わる保証はどこにもないのだ。
目を覚ました私は毛布の重さを感じる。
朝が苦手な私だ。
自分の頭ですら、いつもより重く感じる。
痛みこそ伴わないが、無理をすると立ちくらみくらいはある。
帰ってきたら帰ってきたでここもまた退屈だ。
しかし幸い四肢は思うように動く。
まだ知らないことが多いのは、考えなくても分かる。
私は無重力に慣れた腕で毛布を床に押しやると、二本の足でしっかりと立つべく、冷たい床に足を投げ出した。
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