あたたかく光る

たまこ

文字の大きさ
24 / 33

24話

しおりを挟む
 ミウはオルガに、村にいた時や王都にいた時のことを話した。

「はっ、はおのこと⋯は、つねに⋯かんがえてた、しっ」
「ああ」
「みん、なっ⋯なんて、しん、ぱいしてないっ⋯し⋯」
「ああ」

言葉を必死で紡ぐミウに、オルガは優しい相槌を打ってくれる。

「今は、足大丈夫か?痛くないか?」

少し落ち着いてきたミウに、「気づかなくてすまん」とオルガは心配そうに足のことを聞いた。

「いまは⋯いたく⋯ない」
「そうか」

少し子供っぽくなったミウにオルガはクスッと笑い愛おしそうに見つめた。

そして先程までミウに寄り添っていたエリムがベッドを降りミウの足をぺろぺろと舐めた。

「ひゃ、くすぐたいよ」
「こいつも心配してるんだよ」

ミウはエリムの気持ちにとても嬉しくなり「ありがとう」とよしよしした。

「キャウッ!」

そしたらエリムも嬉しそうに鳴いた。

「探してた人がミウだなんて思わなくて、来客が誰か伝えずすまなかった」
「だ、大丈夫ですからっ!頭をあげてくださいっ!」
「⋯家が家なだけに伝えるとミウが色々気にしてしまうんじゃないかと思って伝えなかったんだが、俺のエゴだった。すまん」

「王子が来る」というより「家族が来る」と言う方が気が休まるだろうと思って言ってくれた気持ちがとても嬉しかった。

「オルガさまも王子⋯ってことですよね?」
「ん?まぁ、一応そうだな。」
「そういう大切なことは早く言ってくださいっ!」
「それこそ気を使って仲良くなれないだろ?」 
「まぁそうですけど」

頬を膨らませるミウの、その膨らんだ頬をオルガはつついた。
するの「プシュー」と音をたて、萎んだ。
それが面白くてふたりは笑いあった。


 その後オルガは「また来る」と部屋を出ていき、交代でセシルがミウの部屋へとやって来た。

「ミウちゃん⋯、大丈夫?」
「もう大丈夫です」

ミウはセシルに笑顔を見せた。

「ここだけの話なんだけどね」

セシルがコソコソッと教えてくれた。

「あの後、坊ちゃますごーく怒ってね、エリルさまを殴り返したのよ」
「え?!」

いつも優しいオルガからは想像できなくてミウはとても驚いた。

「それで、「出ていけ」ってとっても怖い顔をして言ったのよ。その後アルンさまが坊ちゃまを説得してまだここに居るけれど。本当はね私も殴ってやりたかったから清々しかったわ」

なんて、とっても素敵な笑顔でセシルさんが言った。

「あんなに怖い坊ちゃまは初めてよ」

「まさかオルガがそんなことをしてたとは」とミウは嬉しくなった。
でも⋯。

「けど僕のためにそんなこと⋯」

ミウは自分ために喧嘩をするなんて申し訳ないと思ってしまった。

「ミウちゃんはもう私たちと家族なんだから怒るのは当然よ」

セシルのその言葉でミウはまた泣いてしまった。
「家族で一緒にご飯を食べる」ことが夢だったミウはもう叶っていることが嬉しかったし、「家族」ができたこともすごくすごく嬉しかった。

幸せすぎてミウはセシルに抱かれて泣いた。

そんなふたりをみて、「僕も混ぜてよ」というようにエリムがふたりの間にぐりぐりと入ってきた。
そんな可愛いエリムにふたりは笑い、「エリムだいすきっ」とミウはエリムをもふもふした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

出戻り王子が幸せになるまで

あきたいぬ大好き(深凪雪花)
BL
初恋の相手と政略結婚した主人公セフィラだが、相手には愛人ながら本命がいたことを知る。追及した結果、離縁されることになり、母国に出戻ることに。けれど、バツイチになったせいか父王に厄介払いされ、後宮から追い出されてしまう。王都の下町で暮らし始めるが、ふと訪れた先の母校で幼馴染であるフレンシスと再会。事情を話すと、突然求婚される。 一途な幼馴染×強がり出戻り王子のお話です。 ※他サイトにも掲載しております。

思いを込めてあなたに贈る

あんど もあ
ファンタジー
ファナの母が亡くなった二ヶ月後に、父は新しい妻とその妻との間に生まれた赤ん坊を家に連れて来た。義母は、お前はもうこの家の後継者では無いと母から受け継いだ家宝のネックレスを奪うが、そのネックレスは……。

別れの夜に

大島Q太
BL
不義理な恋人を待つことに疲れた青年が、その恋人との別れを決意する。しかし、その別れは思わぬ方向へ。

婚約破棄から50年後

あんど もあ
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで、王子が婚約者に婚約破棄を宣言した。王子は真に愛する女性と結ばれ、めでたしめでたし。 そして50年後、王子の孫の王子は、婚約破棄された女性の孫と婚約する事に。そこで明かされた婚約破棄の真実とは。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

拗らせ問題児は癒しの君を独占したい

結衣可
BL
前世で限界社畜として心をすり減らした青年は、異世界の貧乏子爵家三男・セナとして転生する。王立貴族学院に奨学生として通う彼は、座学で首席の成績を持ちながらも、目立つことを徹底的に避けて生きていた。期待されることは、壊れる前触れだと知っているからだ。 一方、公爵家次男のアレクシスは、魔法も剣術も学年トップの才能を持ちながら、「何も期待されていない」立場に嫌気がさし、問題児として学院で浮いた存在になっていた。 補習課題のペアとして出会った二人。 セナはアレクシスを特別視せず、恐れも媚びも見せない。その静かな態度と、美しい瞳に、アレクシスは強く惹かれていく。放課後を共に過ごすうち、アレクシスはセナを守りたいと思い始める。 身分差と噂、そしてセナが隠す“癒やしの光魔法”。 期待されることを恐れるセナと、期待されないことに傷つくアレクシスは、すれ違いながらも互いを唯一の居場所として見つけていく。 これは、静かに生きたい少年と、選ばれたかった少年が出会った物語。

処理中です...