あたたかく光る

たまこ

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24話

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 ミウはオルガに、村にいた時や王都にいた時のことを話した。

「はっ、はおのこと⋯は、つねに⋯かんがえてた、しっ」
「ああ」
「みん、なっ⋯なんて、しん、ぱいしてないっ⋯し⋯」
「ああ」

言葉を必死で紡ぐミウに、オルガは優しい相槌を打ってくれる。

「今は、足大丈夫か?痛くないか?」

少し落ち着いてきたミウに、「気づかなくてすまん」とオルガは心配そうに足のことを聞いた。

「いまは⋯いたく⋯ない」
「そうか」

少し子供っぽくなったミウにオルガはクスッと笑い愛おしそうに見つめた。

そして先程までミウに寄り添っていたエリムがベッドを降りミウの足をぺろぺろと舐めた。

「ひゃ、くすぐたいよ」
「こいつも心配してるんだよ」

ミウはエリムの気持ちにとても嬉しくなり「ありがとう」とよしよしした。

「キャウッ!」

そしたらエリムも嬉しそうに鳴いた。

「探してた人がミウだなんて思わなくて、来客が誰か伝えずすまなかった」
「だ、大丈夫ですからっ!頭をあげてくださいっ!」
「⋯家が家なだけに伝えるとミウが色々気にしてしまうんじゃないかと思って伝えなかったんだが、俺のエゴだった。すまん」

「王子が来る」というより「家族が来る」と言う方が気が休まるだろうと思って言ってくれた気持ちがとても嬉しかった。

「オルガさまも王子⋯ってことですよね?」
「ん?まぁ、一応そうだな。」
「そういう大切なことは早く言ってくださいっ!」
「それこそ気を使って仲良くなれないだろ?」 
「まぁそうですけど」

頬を膨らませるミウの、その膨らんだ頬をオルガはつついた。
するの「プシュー」と音をたて、萎んだ。
それが面白くてふたりは笑いあった。


 その後オルガは「また来る」と部屋を出ていき、交代でセシルがミウの部屋へとやって来た。

「ミウちゃん⋯、大丈夫?」
「もう大丈夫です」

ミウはセシルに笑顔を見せた。

「ここだけの話なんだけどね」

セシルがコソコソッと教えてくれた。

「あの後、坊ちゃますごーく怒ってね、エリルさまを殴り返したのよ」
「え?!」

いつも優しいオルガからは想像できなくてミウはとても驚いた。

「それで、「出ていけ」ってとっても怖い顔をして言ったのよ。その後アルンさまが坊ちゃまを説得してまだここに居るけれど。本当はね私も殴ってやりたかったから清々しかったわ」

なんて、とっても素敵な笑顔でセシルさんが言った。

「あんなに怖い坊ちゃまは初めてよ」

「まさかオルガがそんなことをしてたとは」とミウは嬉しくなった。
でも⋯。

「けど僕のためにそんなこと⋯」

ミウは自分ために喧嘩をするなんて申し訳ないと思ってしまった。

「ミウちゃんはもう私たちと家族なんだから怒るのは当然よ」

セシルのその言葉でミウはまた泣いてしまった。
「家族で一緒にご飯を食べる」ことが夢だったミウはもう叶っていることが嬉しかったし、「家族」ができたこともすごくすごく嬉しかった。

幸せすぎてミウはセシルに抱かれて泣いた。

そんなふたりをみて、「僕も混ぜてよ」というようにエリムがふたりの間にぐりぐりと入ってきた。
そんな可愛いエリムにふたりは笑い、「エリムだいすきっ」とミウはエリムをもふもふした。
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