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2.河の水国ガンダダ

7.描いてもらう

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ー ユウキ(昨今の女性漫画風イケメン)ー

会話タイムと言ってもそんなにないが

「君は絵を書き続けることが出来たら旅人になってもいいか?」

「はい、そうなれれば素晴らしいですね、ですが私はお金も無いし力もありません、ですから外に出ればすぐに何かしらの餌食になりますね」

ハハハと笑うシスティ

俺は、彼女の絵の方向性が気に入った元の世界の二頭身三頭身キャラぐらいの人が住む家を、可愛らしく描いていた。人も描かせればもしくは同じように描くかもしれないし、かと言って風景そのものを描いたものもある。広い世界を見て、技術が上がればもっといい絵がかけそうだ

この世界で長く過ごしても思い出や記録とすることができるかもしれない、そう考えた。

「もしよければ旅についてくるか?」

寿命がないならば変わりゆく世界で数百年前はここはああだった、こうだったと絵を見ながらアーノと話懐かしむことが可能だ

記憶写しの道具でももちろん同じ事ができるが思いがけない場所や瞬間を描くかもしれない。記憶、記録は色々あったほうがおもしろいからな

「………よろしいのですか?」

「ああ、よろしいから誘ったんだ」

「でも、あの私お金がなくて画材とか」

「ああ、そうだなそちらの費用は俺が持つし描いた絵を見せてくれれば、ものによっては買おう。それといくらか初期投資もしようじゃないか」

「ーっ!」

「どうだ?」

「じゅっ十分過ぎる施しです。いえ、し過ぎです!」

「ならばそれで契約関係としよう」

「え!?」

「俺は君をお抱え絵師として雇うと言っている承諾か否か」

「おっお願いします!」

「ああ、これからよろしくな」

そしてツマミを食べ終えて店を出る事にした出る際におばさんが

「お客さん、お釣りは…」

と言ったので

「いらん、好きにしろ」

そう言って店を出た


さてと続きで

「では先に頼んだ俺と彼女を描いてくれるか」

「はい」

で広場に戻るとシスティがいた場所にはオッサン2人がいたアイテムボックスからあるものを取り出し握っておく

「おうおう、場所だ」

そこまで聞ければ十分だ俺は握っていたものを2人にぶつけるように投げた

「ほら!」

「うわ!?」
「何しやがる!?」

「それが欲しいんだろ?」

「ユウキ、ユウキ、なんか嫌な性格だと思うけど大丈夫?」

……いいんじゃない?
ユウキは金系と言う事で

「くそうぅ」
「舐めやがって!」

「なんだ足らんか?ほれ」

白桜の帝国銀貨を10枚ほど投げる

「…ゴクリ」
「…くっ」

「場所代はそれで足りるし多いほどだろ、余った分は好きにしろ」

「「へい!」」

「わかったらっとと去れ」

「「わかりやした!」」

サササッと金を拾い集めて去っていった

「さあシスティ、俺と彼女を描いてくれ」

「…は…はい」

「じっとしていた方がいいか」

「いえ、自然体な感じで大丈夫です。会話でもしていて待っていてください」

「わかった」

「了解」

とはいったものの何を話そうか?
システィは今まで描かれた小さな端材と違い少し大きめの端材を持って来た。絵を書く道具は

「水彩画?」

「はい頑張って書きます!」

「ああ、頼む」

周りを見てちょうど川に落下防止用のためかな?その柵があったので少しだけ持たれるようにする

「この位置で大丈夫か?」

少しシスティから離れた位置になったがシスティは問題ないようで椅子…ともいえない座るための端材の山に腰掛けて描くようだ

「大丈夫です!」

アーノと2人横に並ぶ

「この位置なら小声なら彼女に聞こえないか?」

「うん、大丈夫だよ」

「しかし端材に水彩いけるのか?」

「プレイヤーさん、紙貼ってあるよ?」

「何!?」

「そんなに驚く?」

「だって極みの堅パンを出すような時代で?」

「プレイヤーさ~ん、世界が違えば発展するものの順番も違うよ~」

「ご飯も不味かったし」

さっき食べた飯は不味かった。誰がなんと言おうとも不味かった味付けが殆どなく肉も薄く切られた上に焦げて炭の味野菜なんてモヤシだらけ

「食えりゃあなんでもいいんだろうね~」

そのせいでお腹を下すか心配だったがアーノ回復魔法で醜態を晒すことは無い、よかった助かったよアーノ

「ああ、きっとそうなんだろう。で、紙が貼ってあるのか」

「そだよ」

俺の目にはよくわからないが、アーノがそう言うならばそうなんだろう

「紙を生成する技術が発展している?」

「生成し精製していく、それが人の技術だね♪」

「そして退化する!」

「なんと!?」

アーノ、登ったら落ちるんだよ人って

「なんでなんでー?」

「金と権力が人をだめにするように技術の進化は人を堕落させるんだよ」

ゆっくりと着実にな

「へ~~そうだねそういえば幼女神もそのせいで今があるんだよね」

「神も例外ではなかったということかね?」

『グッファア!』

「「?」」

二人してなにか感じたようだが、あたりはなにもかわっていない、何だったんだ?
まあ……いいか

「紙の発展か、水がこんなになったから紙が高値になって画家が減ったとか?」

「ありそうだねー」

アーノとこうした他愛もない勝手な想像を色々と話していき、気がつけば数時間

「できました!」

「おお出来たか」

「お疲れ様~」

うっわぁ………

「…あの、どうでしょうか」

「…………………」

「うぅ~」

「ユウキ?」

「はっ」

見惚れてしまったスッゲー、てっきりデフォルメした三頭身の俺とアーノが描かれるかと思ったが…普通の等身で仲のいい男女の恋人同士の絵が描かれていた

手をつなぎ少しお互いに頬を赤く染めて笑い合っている。その2人の空間は、2人だけの空間と思わせるように2人の周りの背景を2人から離れるごとにグラデーションの様に薄くしてぼかす

俺的には十分上手く感じる色使いと描き方だ

「君に頼んでよかった」

「ありがとうございます!」

「俺的にはなんで君の絵が売れていないか分からないほどだ」

本当にどうしてだ?
割と早くも描けるし人気画家で貴族のお抱えとかになってもおかしくないと思うんだが

「こういう絵はあまり…いえかなり好まれなくて」

ほんわかするような絵は駄目だと?

「貴族様の今の流行は油絵でもありまして」

「値が張って買えないから水彩をと」

「はい」

好まれない画風に流行りではない絵の具

「それに女の画家は不人気で」

さらに差別か~

「俺は気にしない、いいものは良い」

だよな?そう思いじっと見つめると

「そっそうですか」

顔を赤らめてそっぽを向かれてしまった。照れんなよ

「さて、この絵は言い値で買おう」

「えっ!?」

「だからこの王都で揃う物を揃えるといくらになるか、個人的な物を買って大丈夫な値段を最低限として言うといい」

「えっとえっとえっと!?」

おやおやパニックですかな?
そうだなー、とりあえず

「白桜帝国金貨が1枚あれば大丈夫かな」

「はい、超えることはないかと」

「同行しようか?」

荷物とかもあるだろうし

「いえ、やらなければならないこともあるので大丈夫です!」

「そうか…じゃあ明日のお昼前ぐらいかな?」

「そ…うですねそれぐらいで大丈夫だと思います」

「それじゃあ明日な」

「まったね~♪」

「はい、また明日です」

バイバーイっと…………

「アーノ」

「ウィーっと」

サッと消える念の為だ金をもたせれどうなるか、普通なら問題なくともこの国の状態だ、最悪を考慮しなければいけない

「さて、帰りますか」

金持ちと認識されているだろうから俺も危ない

「マップに赤丸があるな、適当な角を曲がったところで隠密使いますか
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