二度目の語りはどうあれ花よ

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久奉ニ十三年 十ニ月三十日

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下剤に大黄、甘草、他薬草数種を調合。

潤滑剤に黄蜀葵の根、麻の実の油、海藻数種。

強壮剤に酪、酥、蜂蜜、西方の更に南の国より運ばれたという豆。
遥か未来では味や調合法など改良され、チョコレートという菓子に分類されているらしいがそれはさておき。

大黄は効きが強いので量の調整が必要。
尻は潤滑剤を塗り込む前に温めの湯でふやかしておく。
当然身を清めることは必須。
などなど。
己の薬学の知識と芝居の一座の役者から仕入れた注意点を活用し、いざ夜伽と気合いを入れたは良かった。

目標は当然ながら熊様に気持ち良くなっていただくこと。
幼少期の姿を知っている身としてはいっぱしの男になって……という感慨深さや、兄上との争いの決着で守護代となった今、見目麗しい相手など選び放題だろうにどうして私? という戸惑いなどがないわけではないが、指名された以上、全力を尽くすのが家来というものである。

が。
万全に準備していたとしても、予想外の出来事で思いどおりに行かなくなることはままあるものだ。

予想外の出来事その一。
強壮剤が思っていたよりも効いた。

「んゃぁっ!」

腰をわし掴みにされ、ぐりりと腹の内側を抉られる。
ついでとばかりに尻尾の付け根を揉まれ、産まれて初めて出すような声を上げた。

ある程度の痛みは予想していたのに、襲ってくるのは腹から背骨をぞわぞわと這い上がってくる甘いしびれだけ。
気を抜いたらもっと醜態を晒しそうで、堅志郎は敷き布団をぎゅっと握りしめることしかできなかった。

予想外の出来事そのニ。
なぜか熊様が怒っている。

「きゃうっ!」
「誰が休んで良いと言った。もっとおれを楽しませてみろ、『準備』した時のように」

下がりかけた尻にお怒りになったか、ぐちゅん! とひときわ激しい突きが腹を抉る。
うつ伏せのまま、尻だけを上げた格好は発情した雌そのもので、この体勢でいるだけでふつふつと羞恥が競り上がっている。
身につけていた寝巻きはとうの昔に腕にひっかかるだけの布切れと化していた。
布団に頭を埋めることでひどい顔を見せずに済むと安堵する一方、恥ずかしいところは隠すものもなくさらけ出されているわけで。

どうしてこんなにお怒りなのかと、堅志郎は敷布に荒い吐息と涎を染み込ませながら疑問符を浮かべていた。
場を整えている間に、気合いを入れてきたということを伝えるために『芝居の一座に行って練習してきた』と準備をしたことを言っただけだというのに。

「ぁ、あ、あっ、や、」
「なにが嫌だ、こんなに悦んでおいて」

脚の間に手を差し入れられて、ぐいと広げられる。
ぶらりと垂れ下がる陰茎が大層間抜けだ。
固くそそりたった先端から透明な先走りがぷくりとにじみ出ているのが見えて、熊様の布団を汚してしまうと股から覗きこんだ堅志郎は慌てた。

「くましゃ、あぁっ?! や、とめ、おやめくだひゃ、んきゃぅううぅっ!」
「口答えをするな、駄犬」

制止の声はひっくり返った。
あろうことか、欲を吐き出す寸前の陰茎に熊様の指が絡み付き、指の腹で先端をくるくると刺激しはじめたのだ。
その間も律動は激しくなるばかり。
どちゅどちゅと肉壁を擦り、突きいれられる快楽を享受する以外の選択はなかった。

「ひきゅ、っ……!」

尿道口を容赦なくひっかかれ、その時は呆気なく訪れる。
膨らんだ欲が押さえきれず、白濁がぱたぱたと熊様の指と布団を汚した。
尿ではない、これはなんだったか。
仕入れた知識で知ってはいたものの、己のそういったことにはとんと疎かった堅志郎は、自分の身になにが起こったのか理解が遅れる。
熱に浮かされた頭が思考するために意識を反らす、その一瞬を見逃してくれるほど鬼は甘くなかった。

ずぶ!

「あ゛っ……!」

息が詰まる。
ぼやりと皺の寄った敷布を写していた視界が、ぢかりと点滅した。
腸内に挿入されていた陰茎をより深く穿たれ、最奥の弁に突きこまれたと気づくには、堅志郎の脳は快楽に犯されすぎていた。

「う゛ぁ、かはっ、あぁああ」
「呆ける余裕があるとは、おれとのまぐわいは随分退屈とみえる」

逆だ。
余裕など最初からなかったし、退屈であると感じる暇もなく心は千々に乱れていた。
しかしそれを伝えようにも堅志郎の口からは意味のない数音しか放てなかったし、せめて律動を緩めてくれと敷布に引っかけていた指を背後の熊様にすがりつかせようとすれば、苛立ち紛れの舌打ちと共に頭を押さえつけられた。

「んん゛っ、ぎゅ、ぐ、んぐぅー!」

ぐちゅ、ずちゅ、と打ち付けられる音が聞こえる。
それに合わせて仕込んでいた潤滑剤の泡立つ音と、圧迫感と、それを遥かに凌駕する刺激が堅志郎を不規則に襲った。

「ふっ、……んぅっ……きゅうっ……!?」

尻の内側が押し潰される。
強い力で擦られる。
ぞくり。ぞくり。
刺激が嫌な予感に変化し、腹の奥で臓腑が変なうねり方をする。
これ以上は、まずい。

口に含ませた布団の湿り気に、涙が混じりはじめる。

「ひぐぅうううっ!」

ごちゅん!
腰骨と尻がとうとうくっつき、一番深くまで突きいれられた。

ひときわ大きな快楽が衝撃と化して、背骨から脳みそまでを駆け抜けた。
頭がぱん、と真白に弾けて、思考が戻ってこない。
がくがくと震える太股と、きゅうきゅう食い締めて快楽を集め続ける肉筒を止めたいのに、止め方がわからない。

「雌の方でも極めよったか、淫乱め」
「あ……♡ あぁっ……♡」

絶頂が収まらぬままにぐい、と肩を掴まれて顔を向けさせられる。
目の前には変わらず怒りをあらわにする熊様の姿。
冷ややかな視線が恐ろしくて情けなくて、堅志郎はボロボロと涙をこぼした。

「ごめっ……ごめんなしゃ、ごめんなさいぃ……」
「ふん、今更謝ったとて、」
「熊様を、きもちよくできなくてごめんなさい……」

顔から出るもの全て垂れ流し、快楽に震えながら赦しを乞う。
見下ろされている己の姿が一層みじめで、恥ずかしくて消えたくなった。

そも、堅志郎は熊様にこうして動いてもらうつもりなど毛頭なかったのだ。
自分から動いて、お疲れであろう熊様の身体を存分に癒して、満足していただいてから睡眠時間を確保してゆっくり眠ってもらう予定だったのだ。
それが強壮剤の効き目が予想以上だったからとはいえ、布団に突っ伏し一つも動けない体たらく。
これでは熊様に呆れられても仕方ない、と己の不甲斐なさに堅志郎はぎゅう、と目を瞑った。

「……熊様?」

しかし、いつまで経っても罵声も拳も降りかかってこないので、瞑っていた瞼をそろりと開ける。
そこにはピタリと動きを止め、これでもかと眉間に皺を寄せた年下の若殿がいた。

「おい、馬鹿犬」
「はぁ」
「貴様が言った芝居の一座での練習とは、なにをしたのだ」
「えっと、使っている潤滑剤の調合法と、身体の清め方、尻が切れないように緩めるコツと、あっ、強壮剤と下剤に関しては私が薬学書を参考にして調合しましたよ! それから以前見せてもらった指南書も参考に」
「あーいやもういいもういい」

なぜかげんなりした様子の熊様は、一度腰を引くと堅志郎の身体をぐるりとひっくり返した。
引き抜かれた刺激に震える腹を指し、喉仏も出てすっかり低くなった声で問う。

「ここを使わせたのは、おれが初めてなのだな?」

はて、なにを当たり前のことを? と思いながらも、聞かれたからには、と堅志郎は涎のこぼれた口で答える。

「はい。後にも先にも、貴方様しかおりませぬ」
「ならばよい」

口の端を弛めた熊様が笑む。
髪は絡まり、装飾も服もなにもない簡素すぎる格好だが、月明かりに照らされたその表情に、堅志郎は目を奪われた。

「え」

ぐい。

と。
腿を持ち上げられ、開かされた。

長い間、脚絆で締め付けていた跡と、子供の頃に比べれば筋肉のついたふくらはぎに、先ほどまでやや力任せに犯されていた孔。
いまだ絶頂の余韻でひくひくとうごめくそこのせいで、漏れた潤滑剤が照る様までしっかりと見られている。
湧いたのは、羞恥と嫌な予感。

「あの、くまさま、いったいなにを」
「仕切り直しに決まっとるだろう。おれはまだ極めとらんのだ、一発くらい注がせろ」
「でも、この有り様の私ではお役に立て、」
「立っとるから心配するな」

孔の縁に宛がわれた凶器の寸分も衰えぬ大きさに、思わず息を呑む。
萎えるどころか大きくなっている気すらする。

堅志郎の赤面に、冷や汗が追加された。

「せっかく勉強してきてくれたのだろう、成果を見せてくれ」

額に落とされたのは、軽い口づけと髪の感触。
普段はきちりと髷を結っているそれが一房だけ頬を撫でるのが珍しく、堅志郎はまた動きを止めて見惚れてしまったのだ。



「んゃあぁあああ♡」

見惚れている隙に叩き落とされたのは、快楽地獄だった。

「くましゃま、おやめくだしゃ、きたなぃ、きたないでしゅからっ」
「洗ったのなら問題ない」
「ひ、ぐぅ、んう゛ぅうっ」

改めてと言わんばかりに白魚のような指が後孔を出入りする。
既に極めた身には、水音を立てて粘液を絡ませる、いまだ成長を続ける二本指の姿は刺激が強かった。

じゅぶじゅぶと卑猥な音を立てる指から少しでも身を守るため、きつく目を閉じる。
しかし、それはその場しのぎにすぎず。
最初の挿入で既に情報を得ていた熊様によって、防御は呆気なく瓦解した。

「ここを押すといい声で啼いていたな」
「ひぁうっ!」
「極める時は言うのだぞ」
「っは、ぁ……っ ぁう……、っく、ぅ゛ぅ……っ!」

肉筒の浅い部分、しこりになっているところを弄られる。

「 ん、ふ、ぅあ、ぅ……っ……っひ、んぁ、」

腹の内側、ぽこぽこと波打つところを撫でられる。

「は、ひゅ、ぅあ…っ 」

なぜか執拗に胸を揉まれた。
ぐにぐにと指を埋められ、尖った乳頭をしごかれて、ぞわぞわと良くないものが背筋を伝う。

「は、あ゛ぁっ!?」

丁寧すぎる愛撫に、理性が陥落するのは早かった。
走り抜ける快楽が、またばちばちと暴れだす。
さっきよりも、もっと大きいもの。

「や、くりゅ、きちゃう、」
「おお、極めるか」

呂律の回らない口で助けを乞えば、愉悦の弾んだ声と共に引き抜かれる指。
最後まで付き添ってくれないのかと一抹の寂しさが胸をよぎる間もなく、

「ふぇ」

ぴとりと宛がわれたのは、先ほどまで散々暴れまわっていた熊様の一物。

すっかり赤くなってしまった縁に陰茎の笠の部分を引っかけて、

ぐぷん!
散々解された孔に全てを収めきった。

「へ、?」

ついでとばかりに堅志郎の両手首をひっつかみ、逃げられないように固定したものだから。

「……ぁ、あ、あ゛っ♡」

快楽が襲いかかる。
蕩けた肉筒がより一層奥へ招き入れて、
絶頂を迎える。

「ぁあーーーっ!! あ゛ーーーーっ♡♡」

ばちんと視界が弾ける。
今どうなっているのか、なにもわからない。

のけぞった背が痛い。
腹と喉が同時に悲鳴を上げる。
濡れた感触と熱いものを注がれた感覚があったような気がしたが、それを上回る快楽の暴力で全てが塗りつぶされる。

「や゛ぁああ♡ やらぁあッ!」
「……っふ、獣の咆哮のようだな」

あまりの暴挙にさすがの熊様相手でも抵抗を試みたが、じたじたと暴れられたのは下肢のみで、それも膝裏を腹につくまで折り畳まれて、すぐに鎮圧された。

また深く穿たれる。またばちんと弾ける。

「んぎゅうぅうあっ……あ゛、ぁあッお゛っ!
おやめ、くだひゃ、あ゛ぁう゛ッ!」
「貴様、さっきからずっと極めているな?
申告せよと言ったではないか」
「っめ、んなしゃ、い゛ぃーーー……っ♡♡」

熊様の言うとおり、ずっと絶頂から下りられない。
真っ赤に腫れた乳首をつねられ、辛いのに肉筒がきゅうきゅうとうねるのを止められない。
頭がバカになって、戻れなくなる。
熊様のお役に立てなくなる。

「きゃん! ぅぐッ♡ ぐ、あ゛ぁッ!!?
むぃ、むり゛れしゅ、もう、ばかになりゅ、」
「もうなっとるだろ、ばかいぬ」
「やめ゛ぇええ……♡♡ は、あ゛ぁ、はひ、ひぃ゛ッんぁ、あ゛ーーーーッ!」

やめてほしいと何度も懇願しているのに、熊様は楽しそうに堅志郎をいじめるのを止めない。
極めつけに、力の入らなくなった身体を持ち上げて、抱きしめたままの体勢で深く挿入された。

「……か、ひゅっ……! ……♡♡ ……!」

決壊したように、目からボロボロと涙がこぼれる。

自分は愛玩用の人形ではないと物申したかったが、そんなことは熊様とて存じているのだろう。
繋がった部分からは泡立つ潤滑剤と、分泌した腸液と、注がれた種が垂れ流されるのも構わず到底子供には聞かせられぬ音がひっきりなしに響いていたのだから。

成長した熊様の身体は堅志郎をすっぽりと覆うくらいまで大きくなって、裸の前面全てが少し低い体温に包まれる。

尻を揉まれながら犯されるのも、尻尾を弄くられるのも気持ち良すぎて辛かったが、なによりその密着した体温が心地よくて、堅志郎は力の入らない手で必死に熊様へすがりついた。

「きゅ、……ぁ、はーーっ♡ はぁ……っ」
「きっちり覚えてゆけ。貴様を雌にするのはおれのみぞ、堅志郎」
「は、ひぃいい……っ♡」

とどめとばかりに腰を叩きつけられて、昼夜も上下もなく枯れかけた声で返事をする。
言われた内容は生憎よく理解できなかったが、耳元で言い含める熊様の声はやっぱり楽しそうだったので、このままで良いのか、と堅志郎はばかになった頭から意識を手放したのだった。


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