【完結】クズ彼氏に悩んでた俺が、イケメン社長に拾われて溺愛されてます

砂原紗藍

文字の大きさ
91 / 102
結婚したいな、しよう

10.サプライズがふたり分

しおりを挟む
夕方、俺は拓実のマンションに向かった。
手には指輪の入った小さな袋を握りしめている。
インターホンを押すと、すぐに拓実が出てきた。

「遥? どうしたの、今日は連絡なかったけど」
「あ、うん……ちょっと話したいことがあって」

そう俺が言うと、拓実が少し心配そうな顔をする。

「……何かあった?」
「いや、悪い話じゃないから」

俺が笑うと、拓実が安心したように頷いた。

「入って」

部屋に入ると、いつもの拓実の部屋だった。少し散らかっていて、でもそれが落ち着く。

「で、話って?」

拓実がソファーに座る。俺も隣に座った。

「あの……さ」

俺は袋を握りしめる。でも、なかなか言葉が出てこない。

「どうしたんだよ、らしくないな」

拓実が不思議そうに俺を見る。

「……ちょっと待って。まだ、ちゃんと言葉にできない」

伝えたい気持ちはあるのに、声に出すと震えてしまいそうだ。
拓実は、少し間を置いて頷いた。

「……分かった。じゃあ、俺から先に話してもいいか?」
「あ、うん」
「待ってて、すぐ戻るから」

拓実はそう言うと、静かに寝室へ向かった。
俺はその背中を見送りながら、心臓がドキドキするのを感じた。
手の中の袋の重さが、気持ちの重さと混ざってずっしりと響く。

数秒後、拓実が戻ってきた。
手には小さな箱を持っていて、照明の光に少し反射していた。

「何それ?」
「あー……ちょっと前に買ってたやつ」

拓実が少し照れたように笑う。

「何?」
「……指輪」

俺の手が止まった。

「は?」
「だから、指輪。お前の分と俺の分」

拓実が箱を開ける。中には、高級そうなゴールドのペアリングが入っていた。

「ちょっと待て、それ……」
「ゴールドのペアリング。お前、プラチナがいいって言ってたけど、やっぱりゴールドのほうが似合うと思って」

拓実が楽しそうに言う。

「いや、でも……」

俺は自分の持ってきた袋を見た。中には、プラチナのリング。

「どうしたの?」

拓実が俺の様子に気づいて首を傾げる。

「……実は、俺も」

俺が袋を取り出すと、拓実が目を丸くした。

「それ……」
「指輪。お前の分と、俺の分」

拓実がしばらく固まった後、プッと吹き出した。

「マジで?」
「笑うなよ……」

俺も思わず笑ってしまう。

「俺たち、何やってんだろうな」

拓実が楽しそうに笑う。

「お前も結婚する気になったの?」
「……うん」 

俺が頷くと、拓実の笑顔が一気に明るくなった。

「マジで? いつから?」
「一週間くらい前」
「なんで言わなかったんだよ」
「サプライズにしようと思って」

俺が照れながら言うと、拓実がますます笑う。

「俺もだよ。指輪はサプライズにしようと思ってた」
「……被ったな」
「完全に」

二人で笑った。その笑い声が、部屋にふわっと響く。

「で、どっちの指輪にする?」

拓実が二つの箱を並べる。プラチナとゴールド。

「……じゃんけんで決める?」
「それもどうかと思うけど」

拓実が苦笑する。

「でも、これはこれで記念になるな」
「そうだな」

俺も笑う。

「じゃあ、両方もらっとく?」
「両方?」
「プラチナは普段用、ゴールドは特別な日用」

拓実が提案する。

「……贅沢すぎない?」
「いいじゃん。記念だし」


拓実が楽しそうに言う。その笑顔が、たまらなく愛おしかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される

秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました! 最終17位でした!応援ありがとうございます! あらすじ 魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。 ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。 死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――? 傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。

捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~

水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。 死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!? 「こんなところで寝られるか!」 極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く! ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。 すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……? 「……貴様、私を堕落させる気か」 (※いいえ、ただ快適に寝たいだけです) 殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。 捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新! Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】

紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。 相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。 超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。 失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。 彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。 ※番外編を公開しました(2024.10.21) 生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。 ※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

追放された味見係、【神の舌】で冷徹皇帝と聖獣の胃袋を掴んで溺愛される

水凪しおん
BL
「無能」と罵られ、故郷の王宮を追放された「味見係」のリオ。 行き場を失った彼を拾ったのは、氷のような美貌を持つ隣国の冷徹皇帝アレスだった。 「聖獣に何か食わせろ」という無理難題に対し、リオが作ったのは素朴な野菜スープ。しかしその料理には、食べた者を癒やす伝説のスキル【神の舌】の力が宿っていた! 聖獣を元気にし、皇帝の凍てついた心をも溶かしていくリオ。 「君は俺の宝だ」 冷酷だと思われていた皇帝からの、不器用で真っ直ぐな溺愛。 これは、捨てられた料理人が温かいご飯で居場所を作り、最高にハッピーになる物語。

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

オメガ大学生、溺愛アルファ社長に囲い込まれました

こたま
BL
あっ!脇道から出てきたハイヤーが僕の自転車の前輪にぶつかり、転倒してしまった。ハイヤーの後部座席に乗っていたのは若いアルファの社長である東条秀之だった。大学生の木村千尋は病院の特別室に入院し怪我の治療を受けた。退院の時期になったらなぜか自宅ではなく社長宅でお世話になることに。溺愛アルファ×可愛いオメガのハッピーエンドBLです。読んで頂きありがとうございます。今後随時追加更新するかもしれません。

処理中です...