社長に拾われた貧困女子、契約なのに溺愛されてます―現代シンデレラの逆転劇―

砂原紗藍

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【第二章】偽りの契約

5.まるで新婚みたいな朝

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翌朝。
私は、窓から差し込む朝日で目を覚ました。

「ん……」

ふかふかのベッド。
広い部屋。

「そっか……引っ越したんだ」

まだ、夢みたい。
シンちゃんも、朝日を浴びてケージの中で伸びをしていた。

「おはよう、シンちゃん」

私は、シンちゃんにご飯をあげた。
キッチンに行くと、冷蔵庫の中には――

「わあ……!」

卵、牛乳、野菜、果物――たくさんの食材が入っていた。

「柊也さんが、用意してくれたのかな……」

嬉しくなって、朝ごはんを作ることにした。
卵焼きと味噌汁と、ご飯。
シンプルだけど、私の得意料理。

「よし、できた!」

一人で食べるのも寂しいな、と思っていたら――

ピンポーン。
インターホンが鳴った。
モニターを見ると、柊也さんが立っていた。

「おはようございます、柊也さん!」

ドアを開けると、柊也さんは少し驚いた顔をした。

「もう起きてたのか」
「はい! 朝ごはん作ったんです。よかったら、一緒に食べませんか?」

柊也さんの目が、少しだけ見開かれた。

「……いいのか?」
「はい! 一人じゃ寂しいので、是非!」

私が笑顔で言うと、柊也さんは「……ありがとう」と言って、部屋に入ってきた。

「美味い」

柊也さんは、卵焼きを食べて呟いた。

「本当ですか?」
「ああ。君の料理、本当に美味い」

……嬉しい。
こうやって、誰かに料理を作って喜んでもらえるの、すごく嬉しい。

「これから毎朝、作りますね」
「え?」
「だって、せっかく近くに住んでるんですから。それに――」

私は、少し照れながら言った。

「柊也さんに、ちゃんとご飯食べてほしいです」

柊也さんは少し驚いた顔をして、優しく笑った。

「……ありがとう。じゃあ、甘えさせてもらう」

二人で朝ごはんを食べる。
何だか、新婚さんみたい……なんて、勝手に想像して、顔が赤くなった。

「どうした? 顔が赤いな」
「な、何でもないです……!」

慌てて否定する私を、柊也さんは不思議そうに見ていた。

朝食後、柊也さんは仕事に行った。
私は部屋の片付けをしていたけど、まだ荷物も少ないし、すぐに終わっちゃう。

「さて、これから何しよう……」

お弁当屋とメイドカフェは、しばらくお休みをもらうことにした。
急なことだったけど、幸三さんと春子さんは快く送り出してくれた。

『カヤちゃん、幸せになるんだよ』

春子さんの言葉を思い出して、胸が温かくなる。

ピンポーン。
またインターホンが鳴った。

「柊也さん、忘れ物かな?」

モニターを見ると、見知らぬ女性が立っていた。
50代くらいの上品な雰囲気の人。

「はい……?」
『初めまして。隣に住んでる久我山悦子よ』
「あ、初めまして。深月カヤです」

ドアを開けると、女性は嬉しそうに私の顔を覗き込んだ。
 
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