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【第三章】独占欲は、愛の裏側
4.朝からずっと、君だけの僕
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朝、目が覚めると、カナトさんの腕の中だった。
「……ん」
身じろぎすると、じんわりとした鈍い痛みが腰に広がる。
……あ。
そうだ。昨日の夜。
思い出した途端、顔が一気に熱くなった。
あんなこと、したんだ。
カナトさんと。
思い出した瞬間、顔が一気に熱くなる。
……でも、不思議と後悔はなかった。
それどころか、胸の奥があたたかい。
「レン、起きた?」
カナトさんの声が聞こえた。
低くて、優しい声。
「……う、うん」
カナトさんの顔を見られない。
すごく恥ずかしい……。
あんな声出しちゃったし。あんな姿、見られちゃったし。
「顔、真っ赤だよ」
「……っ」
「昨日のこと、思い出してた?」
「思い出してない……」
完全に嘘だ。
触れられた感触も、唇の熱も、はっきり覚えてる。
「そうか」
カナトさんが笑いながら、僕の頭を撫でた。
耳に触れられて、思わず。
「にゃっ……」
変な声が出て、慌てて口を押さえる。
「朝から可愛いな」
「……可愛くない」
でも本当は、カナトさんに可愛いって言われるの、嬉しい。
カナトさんが額に軽くキスをした。
こんなの、朝から反則だし。
「おはよう、レン」
「……おはよう」
「体、痛くないか?」
カナトさんの声が心配そうだ。
「……ちょっと、腰が」
正直に答える。
嘘ついても意味ない。カナトさんには、全部バレるから。
「そうか。ごめんな」
カナトさんの声が申し訳なさそうで、胸が痛くなる。
僕が欲しいって言ったんだ、カナトさんのせいじゃない。
「無理するなよ」
そう言って、もう一度、ぎゅっと抱きしめてくれる。
その腕の中が心地よくて、このまま時間が止まればいいのにと思った。
*
しばらくゆっくり休んで、体が普通に動くようになった頃。
「レン、一緒に出かけよう」
「出かける……?」
「ああ。ずっと行きたかった場所があるんだ」
「……どこ?」
「それは行ってからのお楽しみ」
カナトさんは、いつもより少し楽しそうだった。
少しだけ不安になる。
知らない場所、人の多いところは苦手だ。
でも。
「……カナトさんと一緒なら」
「うん?」
「行く」
それだけで、カナトさんは嬉しそうに笑った。
街は人が多くて、少し緊張する。
「レン、大丈夫か?」
「……うん」
本当は、手を握りたい。
でも言えなくて、カナトさんの少し後ろを歩いた。
「ここだよ」
立ち止まった先には、緑に囲まれたおしゃれなカフェがあった。
テラス席があって、風が気持ちよさそう。
「ここ、前から来たかったんだ」
「……いいところだね」
「レン、気に入ると思って」
その言葉に、胸がきゅっとなった。
テラス席に座って、僕たちはメニューを見た。
「何食べる?」
「えっと……これ」
パンケーキを指差す。
「じゃあ、俺はこれにする」
カナトさんはワッフルを選んだ。
注文を終えて、僕たちは静かに座っていた。
緑に囲まれたテラスは、すごく心地よい。
風が気持ちいい。
しばらくして、注文したものが運ばれてきた。
「わあ……」
パンケーキがふわふわで、上にクリームとフルーツがたっぷり乗っている。
「美味しそうだな」
「いただきます」
フォークでパンケーキを切って、口に運ぶ。
「んっ……」
甘くて、ふわふわで、すごく美味しい。思わず笑顔になる。
その時、猫耳がぴょこんと出てきた。
「あ……」
やってしまった、と内心で頭を抱える。
嬉しいと、どうしても勝手に出ちゃうんだ。
「レン、耳」
「……見ないで」
言いながらも、隠せるわけがない。
「尻尾も出てる」
「……う」
指摘された瞬間、尻尾がゆらっと揺れた。
完全に感情と連動してるの、バレバレだ。
「正直すぎだな」
「……だって、美味しいんだもん」
フォークを持ったまま、むっとする。
でも、その様子すら楽しそうに見られている気がして、少し悔しい。
「そんな顔されると、連れてきて正解だったって思う」
「……?」
「レンが、安心して笑ってるから」
尻尾が嬉しそうに揺れている。
「ふっ、可愛いな」
「可愛くない……」
「可愛い。すごく可愛い」
カナトさんが悪戯っぽく笑った。
「……ここ、落ち着くね」
「だろ。人は多いけど、視線は気にならない」
「うん……」
本当だ。
さっきまであった、周りへの警戒心が薄れている。
それはきっと――
カナトさんが、向かいにいて。
僕の変化にちゃんと気づいて。
でも、騒がず、からかわず、当たり前みたいに受け止めてくれてるから。
「レン」
「なに?」
「こういうとこ、また来よう」
「……ほんと?」
「うん。無理しない範囲で」
その言い方が、嬉しかった。
僕の“苦手”を知ってて、ちゃんと考えてくれてる。
外の世界は少し怖い。
人も多いし、視線も気になる。
でも、カナトさんと一緒なら。
こうして笑える場所も、ちゃんとある。
尻尾はしばらくご機嫌なまま、ゆっくり揺れていた。
「……ん」
身じろぎすると、じんわりとした鈍い痛みが腰に広がる。
……あ。
そうだ。昨日の夜。
思い出した途端、顔が一気に熱くなった。
あんなこと、したんだ。
カナトさんと。
思い出した瞬間、顔が一気に熱くなる。
……でも、不思議と後悔はなかった。
それどころか、胸の奥があたたかい。
「レン、起きた?」
カナトさんの声が聞こえた。
低くて、優しい声。
「……う、うん」
カナトさんの顔を見られない。
すごく恥ずかしい……。
あんな声出しちゃったし。あんな姿、見られちゃったし。
「顔、真っ赤だよ」
「……っ」
「昨日のこと、思い出してた?」
「思い出してない……」
完全に嘘だ。
触れられた感触も、唇の熱も、はっきり覚えてる。
「そうか」
カナトさんが笑いながら、僕の頭を撫でた。
耳に触れられて、思わず。
「にゃっ……」
変な声が出て、慌てて口を押さえる。
「朝から可愛いな」
「……可愛くない」
でも本当は、カナトさんに可愛いって言われるの、嬉しい。
カナトさんが額に軽くキスをした。
こんなの、朝から反則だし。
「おはよう、レン」
「……おはよう」
「体、痛くないか?」
カナトさんの声が心配そうだ。
「……ちょっと、腰が」
正直に答える。
嘘ついても意味ない。カナトさんには、全部バレるから。
「そうか。ごめんな」
カナトさんの声が申し訳なさそうで、胸が痛くなる。
僕が欲しいって言ったんだ、カナトさんのせいじゃない。
「無理するなよ」
そう言って、もう一度、ぎゅっと抱きしめてくれる。
その腕の中が心地よくて、このまま時間が止まればいいのにと思った。
*
しばらくゆっくり休んで、体が普通に動くようになった頃。
「レン、一緒に出かけよう」
「出かける……?」
「ああ。ずっと行きたかった場所があるんだ」
「……どこ?」
「それは行ってからのお楽しみ」
カナトさんは、いつもより少し楽しそうだった。
少しだけ不安になる。
知らない場所、人の多いところは苦手だ。
でも。
「……カナトさんと一緒なら」
「うん?」
「行く」
それだけで、カナトさんは嬉しそうに笑った。
街は人が多くて、少し緊張する。
「レン、大丈夫か?」
「……うん」
本当は、手を握りたい。
でも言えなくて、カナトさんの少し後ろを歩いた。
「ここだよ」
立ち止まった先には、緑に囲まれたおしゃれなカフェがあった。
テラス席があって、風が気持ちよさそう。
「ここ、前から来たかったんだ」
「……いいところだね」
「レン、気に入ると思って」
その言葉に、胸がきゅっとなった。
テラス席に座って、僕たちはメニューを見た。
「何食べる?」
「えっと……これ」
パンケーキを指差す。
「じゃあ、俺はこれにする」
カナトさんはワッフルを選んだ。
注文を終えて、僕たちは静かに座っていた。
緑に囲まれたテラスは、すごく心地よい。
風が気持ちいい。
しばらくして、注文したものが運ばれてきた。
「わあ……」
パンケーキがふわふわで、上にクリームとフルーツがたっぷり乗っている。
「美味しそうだな」
「いただきます」
フォークでパンケーキを切って、口に運ぶ。
「んっ……」
甘くて、ふわふわで、すごく美味しい。思わず笑顔になる。
その時、猫耳がぴょこんと出てきた。
「あ……」
やってしまった、と内心で頭を抱える。
嬉しいと、どうしても勝手に出ちゃうんだ。
「レン、耳」
「……見ないで」
言いながらも、隠せるわけがない。
「尻尾も出てる」
「……う」
指摘された瞬間、尻尾がゆらっと揺れた。
完全に感情と連動してるの、バレバレだ。
「正直すぎだな」
「……だって、美味しいんだもん」
フォークを持ったまま、むっとする。
でも、その様子すら楽しそうに見られている気がして、少し悔しい。
「そんな顔されると、連れてきて正解だったって思う」
「……?」
「レンが、安心して笑ってるから」
尻尾が嬉しそうに揺れている。
「ふっ、可愛いな」
「可愛くない……」
「可愛い。すごく可愛い」
カナトさんが悪戯っぽく笑った。
「……ここ、落ち着くね」
「だろ。人は多いけど、視線は気にならない」
「うん……」
本当だ。
さっきまであった、周りへの警戒心が薄れている。
それはきっと――
カナトさんが、向かいにいて。
僕の変化にちゃんと気づいて。
でも、騒がず、からかわず、当たり前みたいに受け止めてくれてるから。
「レン」
「なに?」
「こういうとこ、また来よう」
「……ほんと?」
「うん。無理しない範囲で」
その言い方が、嬉しかった。
僕の“苦手”を知ってて、ちゃんと考えてくれてる。
外の世界は少し怖い。
人も多いし、視線も気になる。
でも、カナトさんと一緒なら。
こうして笑える場所も、ちゃんとある。
尻尾はしばらくご機嫌なまま、ゆっくり揺れていた。
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