【完結】俺の教育係は、甘くて意地悪なエリート【α】――未熟御曹司【Ω】の恋レッスン

砂原紗藍

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【第五章】つがいの名を呼ばれて

6.不確かな未来を、君の腕の中で ※R

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「……本当に、いいんだな?」
「うん……冬馬なら、いい」

その答えに、冬馬の喉が小さく鳴った。

「……わかった」

低く落とされた声の直後――触れ方が、はっきりと変わった。
俺の身体を包む手つきが、いつも以上に慎重で優しい。

「……っ、ん……」

思わず漏れた声に、冬馬がわずかに笑う。

「律。気持ちいい?」
「知らない……」
「……ほんと、素直じゃないな」

そう言いながら、冬馬の指がゆっくりと俺の腰のラインをなぞる。
ただそれだけなのに、身体がびくりと跳ねた。

「こういうとこ、正直だよな」

ヒートの名残のせいか、触れられるたびに、熱がじわじわと広がっていく。

「……あ……っ」

呼吸も、声も、うまく抑えられない。

「可愛いな。律」

冬馬の手がさらに深いところまで触れてきて――痛みと、快感が入り混じる。

「……冬馬……っ」
「ん。ここにいる」
「……もっと……」

かすれる声に、冬馬の動きが一瞬止まる。

「律。……そんな顔で言うな」
「……冬馬が、いい……」
「俺もだよ」

低く、確かな声。

「律が好きだ。……本当に、大事で、愛してる」

そう言って――冬馬は、もっと深く俺を愛してくれた。
身体の奥まで、冬馬で満たされる。

「あ……っ、冬馬……」

声が、部屋に響く。

「律……」

冬馬も、俺の名前を呼ぶ。
お互いを求め合って、深く深く繋がっていく。

「冬馬……」
「ん?」
「……ずっと、一緒にいて」
「ああ。当たり前だ。お前を離すわけない」

その言葉に抱かれたまま、俺たちは朝まで愛し合った。
ヒートの熱も苦しさも、冬馬がいると不思議と和らぐ。
ただそれだけで幸せだった。

冬馬の胸にもたれ、俺はぼんやりと天井を眺めていた。

静かな時間。
眠気と安心感が、ゆっくり混ざり合っていく。

「律」

名前を呼ばれて、わずかに身体を動かす。
さっきまでの甘さとは違って何かを考えているときの、少し低い声。

「……なに?」
「律は将来、どうしたい?」
「……またその話?」

思わず冷たい声が出た。
冬馬はただ、俺を抱いた腕の力を少しだけ緩めて、答えを待ってくれている。

「……父さんの会社、継ぐんだろって。周りから、ずっと言われてる」
「……ああ」
「でも……自分がどうしたいのか、よくわかんない」

今まで、誰にも言えなかった。言えば、弱いって思われる気がして。
冬馬は何も言わず、ただ俺の手を握った。

「継ぐのが当然だって言われるのも苦しいし……でも、継がなかったら……」

言葉が詰まる。

「……期待を裏切るみたいで、怖い」

ずっと隠していたものが形になって、胸の奥が痛んだ。
冬馬が、静かに息を吸う。

「……律はさ。それ、俺には言いたくなかったのか?」
「……え?」

思わず顔を上げると、冬馬は俺をまっすぐ見ていた。

「そんな顔で毎日過ごしてたくせに。一人で抱えて、潰れそうになって」

少し怒ってるみたいな、でも怒ってない声。
胸がぎゅっと締めつけられる。

「……ごめん」
「謝るな。俺を頼れよ」

たったそれだけの言葉なのに、張りつめていたものが、一気に崩れ落ちた。

「っ……冬馬……」

視界が熱くなる。冬馬は息を吐いて、俺の額に触れた。

「律が決めればいい。“周りがどう言うか”じゃない。俺は、お前の人生に責任持つためにつがいになったんだ」

冬馬は俺の手を引いて、自分の胸に当てさせた。

「だから――継ぎたいなら支える。継がないなら守る。どっちだっていい」
「冬馬……」
「俺と一緒なら、どんな未来を選んでもいい。怖いなら一緒に考えよう」

冬馬が俺の頬を撫でて微笑む。

……もう無理だ。
涙がこぼれそうになって、慌てて顔をそむける。

「……冬馬となら、平気……」
「律」

優しく抱きしめられた。

「お前の未来に、俺も入れてくれ」

耳もとで落ちてくるその声が、継ぐ話でも甘い話でもない、“本物の約束”に聞こえて――胸が震えた。

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