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グレーズ・アフェア―甘くて危険、二人の秘密―
1.逃走劇の中、恋が動き出す
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レストランを飛び出した瞬間、肺に冷たい夜気が叩き込まれた。
「透さん!」
「大丈夫、こっちです!」
手を強く引かれる。
後ろを見た俺の視界には、西条の部下たちが何人も追ってくるのが見えた。
うそ……速い!
透さんは迷いなく走り、細い路地へと曲がり込む。
「神崎さん!」
「環くん!」
路地の前には遥くんと拓実さんが立っていた。一台の車が待機している。
「ほら、乗って!」
拓実さんと遥くんが手を添えて、俺を押し込むように助手席に滑り込ませる。
「拓実さん、ありがとうございます!」
「うん、いいから。早く!」
「環くん、気をつけてね!」
「……ありがとう……!」
透さんが運転席に飛び込み、エンジンが低く唸った。
「シートベルトを」
「う、うん!」
カチンと締めた途端、車が身体ごと押しつけられるほどの勢いで急発進した。
「ひ、ひえっ……!」
バックミラーには、部下たちの車がすぐに飛び出してくる。
追ってくる……!
横を見ると、透さんは眉一つ動かさず、ハンドルを切った。
次の瞬間、信じられない速度でカーブへ突っ込んでいく。
「と、透さん!? 運転上手すぎない……?」
「刑事時代に鍛えましたから」
落ち着いた声が逆に怖い。
でも、すごく頼もしい。
……しかも、かっこいい……。
ガッと急ハンドルが切られ、俺の身体が傾く。
受け止めてくれるものを探した瞬間──。
「わっ!」
身体が横に倒れ込み、透さんの肩にぶつかった。
「大丈夫ですか?」
「う、うん……」
透さんが横目で俺を見て、ほんの少しだけ、笑った。
「可愛い」
「い、今それ言う!? 死ぬかもしれないのに!」
心臓の音が追跡車よりもうるさい。
何度か急カーブを抜け、路地をジグザグに走り抜け──やがて、追いかけてくるライトが消えていった。
透さんが静かにブレーキを踏み、安全な場所に車を停める。
「……ふう」
その吐息を聞いたら、張りつめていた身体が一気に脱力した。
「やった……証拠、手に入れたんだよね」
「ええ。これで西条を追い詰められます」
そう言う透さんの横顔は、さっきまでの冷静さとは違って少し優しい。
俺の方へ向き直ると、静かに言う。
「あなたのおかげです」
「俺は何もしてないし……」
「いいえ。あなたが西条の気を引いてくれたから、侵入できたんです」
透さんの手が俺の頭にそっと触れる。
撫でられた瞬間、さっきまでの恐怖よりも、胸の奥の熱の方がずっと強くなった。
「ありがとう」
「……どういたしまして……」
透さんは少し迷ったように息を吸い、そして俺の頬を両手で包んだ。
「環」
「……なに……」
距離が近すぎて、息が触れそう。
「西条が言っていたこと……信じていませんよね?」
ドキッとした。
「……聞こえてたの?」
「ええ。盗聴器をつけていましたから」
透さんは視線を逸らさず、真っ直ぐに言った。
「俺は、あなたを利用しているわけじゃない」
透さんの声が低くなる。
胸の奥で何かがぐっと締めつけられた。
「あなたが……大切なんです」
「……そんなこと……」
「信じてください」
落ち着いた声なのに、まっすぐで、優しい。
「……信じてあげてもいいけど……」
嬉しいのに、素直になれない。
恥ずかしい。涙が出そうになって目を逸らしたら、透さんが静かに言う。
「ありがとう。では、帰りましょう。まだ、やることがある」
俺は強く頷いた。
「……うん」
崩れそうなほど心臓がドキドキしている。
でも、その手を離してほしくなかった。
「透さん!」
「大丈夫、こっちです!」
手を強く引かれる。
後ろを見た俺の視界には、西条の部下たちが何人も追ってくるのが見えた。
うそ……速い!
透さんは迷いなく走り、細い路地へと曲がり込む。
「神崎さん!」
「環くん!」
路地の前には遥くんと拓実さんが立っていた。一台の車が待機している。
「ほら、乗って!」
拓実さんと遥くんが手を添えて、俺を押し込むように助手席に滑り込ませる。
「拓実さん、ありがとうございます!」
「うん、いいから。早く!」
「環くん、気をつけてね!」
「……ありがとう……!」
透さんが運転席に飛び込み、エンジンが低く唸った。
「シートベルトを」
「う、うん!」
カチンと締めた途端、車が身体ごと押しつけられるほどの勢いで急発進した。
「ひ、ひえっ……!」
バックミラーには、部下たちの車がすぐに飛び出してくる。
追ってくる……!
横を見ると、透さんは眉一つ動かさず、ハンドルを切った。
次の瞬間、信じられない速度でカーブへ突っ込んでいく。
「と、透さん!? 運転上手すぎない……?」
「刑事時代に鍛えましたから」
落ち着いた声が逆に怖い。
でも、すごく頼もしい。
……しかも、かっこいい……。
ガッと急ハンドルが切られ、俺の身体が傾く。
受け止めてくれるものを探した瞬間──。
「わっ!」
身体が横に倒れ込み、透さんの肩にぶつかった。
「大丈夫ですか?」
「う、うん……」
透さんが横目で俺を見て、ほんの少しだけ、笑った。
「可愛い」
「い、今それ言う!? 死ぬかもしれないのに!」
心臓の音が追跡車よりもうるさい。
何度か急カーブを抜け、路地をジグザグに走り抜け──やがて、追いかけてくるライトが消えていった。
透さんが静かにブレーキを踏み、安全な場所に車を停める。
「……ふう」
その吐息を聞いたら、張りつめていた身体が一気に脱力した。
「やった……証拠、手に入れたんだよね」
「ええ。これで西条を追い詰められます」
そう言う透さんの横顔は、さっきまでの冷静さとは違って少し優しい。
俺の方へ向き直ると、静かに言う。
「あなたのおかげです」
「俺は何もしてないし……」
「いいえ。あなたが西条の気を引いてくれたから、侵入できたんです」
透さんの手が俺の頭にそっと触れる。
撫でられた瞬間、さっきまでの恐怖よりも、胸の奥の熱の方がずっと強くなった。
「ありがとう」
「……どういたしまして……」
透さんは少し迷ったように息を吸い、そして俺の頬を両手で包んだ。
「環」
「……なに……」
距離が近すぎて、息が触れそう。
「西条が言っていたこと……信じていませんよね?」
ドキッとした。
「……聞こえてたの?」
「ええ。盗聴器をつけていましたから」
透さんは視線を逸らさず、真っ直ぐに言った。
「俺は、あなたを利用しているわけじゃない」
透さんの声が低くなる。
胸の奥で何かがぐっと締めつけられた。
「あなたが……大切なんです」
「……そんなこと……」
「信じてください」
落ち着いた声なのに、まっすぐで、優しい。
「……信じてあげてもいいけど……」
嬉しいのに、素直になれない。
恥ずかしい。涙が出そうになって目を逸らしたら、透さんが静かに言う。
「ありがとう。では、帰りましょう。まだ、やることがある」
俺は強く頷いた。
「……うん」
崩れそうなほど心臓がドキドキしている。
でも、その手を離してほしくなかった。
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