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13話 ひつじの撮影会
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帝都の一画で急ピッチに工事が進められていた。
一週間かけて作られていくのは今回のイベントのメインとなる小さな台座。
その周りにいくつかの出店も準備されている。
最も手をかけられているのはイベントの会場とそれ以外を分ける柵だ。
外で押し合いが起きても内へは入ることができないように頑丈に作られた柵は魔法で結界をかけることができ、安全を確保できる。
まるで戦争のような慌ただしさを見せる賢者の隠れ家の従業員たち。
このイベントはハンナを筆頭に賢者の隠れ家のサポートのもと開催される。
「とうとう明日となりました。賢者の隠れ家本店は1人態勢で1時間ごとにローテンションしていきます。絶対に成功させましょう」
ハンナは従業員に言い聞かせる。
従業員たちの目も戦士の目つきとなっていた。
白髪のダンディな老人の営むカフェ『フランドール』は帝都で長く店を開けていることもあって特定の常連客がついている。
ただ、高齢な少数の常連だけでは経営していくのは難しく、若者人気を得ようと始めたパフェも不発。
店をたたもうかと思っていた。
そんな折、たまたまハンナから声を掛けられたが、最初は断る気でいた。
8歳になる孫娘に説得され引退前に華を咲かせようと話を受けた。
イベントを明日に控え孫娘と最中調整に入っていた。
他にもイベントに出店する各々は最後まで手を抜かずに備えを構えるのであった。
とうとう、朝がやってくる。
ノアとぽむは時間通りに会場につくが驚きの光景が広がっていた。
「なんでこんなことになっているんだ」
「メェ……」
人、人、人、数百人の人だかりができていた。
ハンナからは人の往来を防ぐために事前に有料の入場チケットを販売するとは聞いていたがこんな規模だとは思いもしなかった。
その上、結界つきの柵の前には騎士団が控えている。
予想外の規模の大きさにノアは身もすくむ思いをしていた。
開始時間が近づき、壇上にハンナが立つ。
「静粛にしてください。本イベントの注意事項を説明します。会場へは順番を守ってゆっくりと入ってください…………」
いくつかの説明がされ、ハンナの合図で裏で見ていたノアとぽむも壇上に出た。
湧き上がる歓声。
ノアがマイクを持つとピタッと歓声が止む。
「えーっと、今日はよろしくお願いします」
「メェ」
再び歓声が巻き起こる。
「では撮影会を始めます!!」
ハンナの掛け声でゲートが開かれ、並んでいた人々が会場へ入り始める。
会場に入った人の行動は概ね2種類に分かれる。
真っ先にぽむの前に並ぶのとそれ以外なのだが、入場チケットは撮影チケットも兼ねていて、一度撮影を行えばチケットの半分を切り取られる。
ぽむと握手をして軽く一言を交わして一緒に数枚の写真を撮る。
何よりもぽむを抱いて写真を撮ることができるので、ぽむのもふもふを体感したファンは気を失いそうなほど悶絶していた。
「はいそこまでです」
係のものに声をかけられると速やかに次の人に変わる。
ファンの味わえる至福の時間はたったの15秒程度だが、その短い時間でぽむは無意識にファンをより魅了する。
確実に撮影はできるというのに長蛇の列ができている。
会場内には出店も出ているので時間を潰せばとも思われるのだがファンからすればそんなことは関係ないのだ。
しかし、全員が全員そういうわけではない。
列に並ばずに出店を回る人たちだっている。
賢者の隠れ家出張所に並ぶアイテムは本店にあるものとは少し趣向が違う。
今日のために用意されたといっても過言ではないアイテムなのだが、目玉商品はなんといってもぽむのコスプレグッズだ。
赤の魔導書や黒の魔導書、そして赫涅の魔導書に見た目が似ているレプリカやアカデミックキャップ、アカデミックローブの大人用と子ども用などが置いてある。
今回のイベントは子どもの入場料は大人同伴が必須ではあるが無料となっているため多くの子どもが参加している。
子ども用のコスプレグッズが能力値は低いが売れに売れる。
「アマンダ、予想以上に凄いことになってるね」
「そうだね、ここまで人気が出るとは流石に分からなかったな」
アマンダとほのかはノアから入場チケットを渡されていたので軽い気持ちで遊びに来てみるとまさかの規模のイベントだった。
アマンダは購入した子ども用のぽむコスプレグッズを手に持ち、隣にいるインキュバスのロゼルをロックオンする。
ほのかもクーシーのルイを連れてきている。
会場内にもちらほらと従魔を連れているテイマーがいる。
こういったイベントでは従魔の連れ込みは禁止にするところや従魔の入場にもお金を取るところがあるが、このイベントではそんなことはない。
ぽむが従魔なのだからテイマーに寄り添っているのは当然のことであった。
ロゼルはアマンダの視線を受けて嫌な予感を覚えていた。
自らの主人はたしかに優しくはあるが熱が入ると少し、やりすぎる面もある。
「さぁ、ロゼルちゃんちょっとあっちに行こうか」
ぐへへとよだれを拭きながら迫るアマンダに嫌な顔をしてついていくロゼル。
それを見守るほのかとルイ。
ロゼルが嫌な顔をしているがツンデレだと知っているのでほのかは微笑んで2人を見送る。
「じゃあ、私はここで待ってるね」
「すぐに戻ってくる」
ありがたいことに会場には着替えができる建物があるのでぽむコスプレグッズをすぐに着れるのだ。
会場内の多くの子どもはすでに魔法使いの格好していた。
一週間かけて作られていくのは今回のイベントのメインとなる小さな台座。
その周りにいくつかの出店も準備されている。
最も手をかけられているのはイベントの会場とそれ以外を分ける柵だ。
外で押し合いが起きても内へは入ることができないように頑丈に作られた柵は魔法で結界をかけることができ、安全を確保できる。
まるで戦争のような慌ただしさを見せる賢者の隠れ家の従業員たち。
このイベントはハンナを筆頭に賢者の隠れ家のサポートのもと開催される。
「とうとう明日となりました。賢者の隠れ家本店は1人態勢で1時間ごとにローテンションしていきます。絶対に成功させましょう」
ハンナは従業員に言い聞かせる。
従業員たちの目も戦士の目つきとなっていた。
白髪のダンディな老人の営むカフェ『フランドール』は帝都で長く店を開けていることもあって特定の常連客がついている。
ただ、高齢な少数の常連だけでは経営していくのは難しく、若者人気を得ようと始めたパフェも不発。
店をたたもうかと思っていた。
そんな折、たまたまハンナから声を掛けられたが、最初は断る気でいた。
8歳になる孫娘に説得され引退前に華を咲かせようと話を受けた。
イベントを明日に控え孫娘と最中調整に入っていた。
他にもイベントに出店する各々は最後まで手を抜かずに備えを構えるのであった。
とうとう、朝がやってくる。
ノアとぽむは時間通りに会場につくが驚きの光景が広がっていた。
「なんでこんなことになっているんだ」
「メェ……」
人、人、人、数百人の人だかりができていた。
ハンナからは人の往来を防ぐために事前に有料の入場チケットを販売するとは聞いていたがこんな規模だとは思いもしなかった。
その上、結界つきの柵の前には騎士団が控えている。
予想外の規模の大きさにノアは身もすくむ思いをしていた。
開始時間が近づき、壇上にハンナが立つ。
「静粛にしてください。本イベントの注意事項を説明します。会場へは順番を守ってゆっくりと入ってください…………」
いくつかの説明がされ、ハンナの合図で裏で見ていたノアとぽむも壇上に出た。
湧き上がる歓声。
ノアがマイクを持つとピタッと歓声が止む。
「えーっと、今日はよろしくお願いします」
「メェ」
再び歓声が巻き起こる。
「では撮影会を始めます!!」
ハンナの掛け声でゲートが開かれ、並んでいた人々が会場へ入り始める。
会場に入った人の行動は概ね2種類に分かれる。
真っ先にぽむの前に並ぶのとそれ以外なのだが、入場チケットは撮影チケットも兼ねていて、一度撮影を行えばチケットの半分を切り取られる。
ぽむと握手をして軽く一言を交わして一緒に数枚の写真を撮る。
何よりもぽむを抱いて写真を撮ることができるので、ぽむのもふもふを体感したファンは気を失いそうなほど悶絶していた。
「はいそこまでです」
係のものに声をかけられると速やかに次の人に変わる。
ファンの味わえる至福の時間はたったの15秒程度だが、その短い時間でぽむは無意識にファンをより魅了する。
確実に撮影はできるというのに長蛇の列ができている。
会場内には出店も出ているので時間を潰せばとも思われるのだがファンからすればそんなことは関係ないのだ。
しかし、全員が全員そういうわけではない。
列に並ばずに出店を回る人たちだっている。
賢者の隠れ家出張所に並ぶアイテムは本店にあるものとは少し趣向が違う。
今日のために用意されたといっても過言ではないアイテムなのだが、目玉商品はなんといってもぽむのコスプレグッズだ。
赤の魔導書や黒の魔導書、そして赫涅の魔導書に見た目が似ているレプリカやアカデミックキャップ、アカデミックローブの大人用と子ども用などが置いてある。
今回のイベントは子どもの入場料は大人同伴が必須ではあるが無料となっているため多くの子どもが参加している。
子ども用のコスプレグッズが能力値は低いが売れに売れる。
「アマンダ、予想以上に凄いことになってるね」
「そうだね、ここまで人気が出るとは流石に分からなかったな」
アマンダとほのかはノアから入場チケットを渡されていたので軽い気持ちで遊びに来てみるとまさかの規模のイベントだった。
アマンダは購入した子ども用のぽむコスプレグッズを手に持ち、隣にいるインキュバスのロゼルをロックオンする。
ほのかもクーシーのルイを連れてきている。
会場内にもちらほらと従魔を連れているテイマーがいる。
こういったイベントでは従魔の連れ込みは禁止にするところや従魔の入場にもお金を取るところがあるが、このイベントではそんなことはない。
ぽむが従魔なのだからテイマーに寄り添っているのは当然のことであった。
ロゼルはアマンダの視線を受けて嫌な予感を覚えていた。
自らの主人はたしかに優しくはあるが熱が入ると少し、やりすぎる面もある。
「さぁ、ロゼルちゃんちょっとあっちに行こうか」
ぐへへとよだれを拭きながら迫るアマンダに嫌な顔をしてついていくロゼル。
それを見守るほのかとルイ。
ロゼルが嫌な顔をしているがツンデレだと知っているのでほのかは微笑んで2人を見送る。
「じゃあ、私はここで待ってるね」
「すぐに戻ってくる」
ありがたいことに会場には着替えができる建物があるのでぽむコスプレグッズをすぐに着れるのだ。
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