14 / 32
14話 ひつじの撮影会2
しおりを挟む
「いらっしゃい、いらっしゃい」
「ぽむ様大好物のわたがしですよ」
ぽむが好んでよく食べるわたがしの屋台も出店している。
いつもは元気のいい大将が一人で切り盛りしてるのだが、今日は20歳になる娘も手伝いに来ている。
機械の中心に砂糖を落として、スイッチを押すと回転を始めて糸が発生する。
そこに棒を突っ込めば棒に糸が絡んでいき膨らんでいく。
雲のようなふわふわとしたぽむサイズのわたがしが出来上がる。
大将が慣れた手つきで次から次にそれを作って机に並べていく。
これがいつもの屋台でのわたがしなのだが、今日は一味違う。
机に並んだ一つを娘が手に取って、ハサミでカットしていく。
みるみるうちに形が整っていくと、それの完成を待ち望んでいるお客もわたがしの可愛さに悲鳴を上げる。
「なにこれ可愛すぎるんですけど」
「やばすぎるよ、これ持って撮影に行こうよ」
「それ名案だね」
出来上がったのは真っ白なわたがしでできたぽむだった。
多くの簡易的な机とイスを挟んでわたがし屋台の反対側にも人が集まる。
カフェ『フランドール』のマスターとお手伝いのパティシエ5人がフル稼働で商品を作り続けても追いつかない。
フランドールから出てくる人はパフェとコーヒーを持って出てくる。
コーヒーにはラテアートで描かれたぽむの姿。
パフェの一番上にも飴細工で作られたぽむが飾られていた。
隣の店からはなんとも食欲をそそる香りがしてくる。
ぽむは甘いものが大好きなのだが、実は洋食も好きである。
特にオムライスが好きでぽむのよく通う洋食店がオムライスを提供している。
もちろんオムライスの上のケチャップでぽむの姿を描くことは忘れない。
どこに行ってもぽむがいる。
飲食店はこの三つになっていて、飲食スペースから少し離れたところに賢者の隠れ家出張所と着替えスペース。
さらに離れたところに帝都でも古くからあるテイマー御用達の従魔専門店が店を構える。
実はイベント会場の広場は6代目オーナーのルネリッツが所有している。
イベント会場として使用する代わりに従魔専門店を柵の内側に入れることが条件であった。
恰幅がよく、清潔感溢れる高級服に身を包んだルネリッツは不適な笑みを浮かべていた。
周りの人間が見ればいかにも何かを企んでいそうな悪者顔をしている。
それはその通りでルネリッツは企んでいた。
ルネリッツが従業員と目を合わせて首を縦に振って合図を出すと男たちが柵を張って結界を張り出した。
何事かとイベントを楽しんでいた周りの人々は注目していた。
すると一番近くにいた者から悲鳴が上がり、それが次から次に伝播していく。
従魔専門店から出てきたのはもふもふで真っ白な従魔たち。
ルネリッツは自ら看板を持ち上げる。
そこには触れ合いコーナーと書かれていた。
さすがにぽむと同じ種族である、ひつじのファンシービーストはいなかったが、それでも真っ白もふもふということで触れ合いコーナーにはすぐに人が殺到した。
まん丸な毛に刈りそろえられた犬のモンスターがメインで他にもウサギやハムスター、ひよこなどのラインナップになっている。
どれもぽむくらいのサイズだ。
「オーナー、あいつはやっぱり出てこないみたいです。どうしましょうか」
ルネリッツに従業員の一人が相談に来る。
実は一匹だけ照れ屋なモンスターがいて、人前に出るのが苦手で、今日も店の奥で丸まっていた。
「そうか、無理強いは良くないからな。好物の魚をあげてやっておくれ」
ルネリッツは見た目に反して心優しいおじさんで、従魔に対してもの凄く優しかった。
「分かりました」
§
「ボランチオ、あれを見て。わたがしにパフェ、オムライス、コスプレグッズまであるわ」
「へい、お嬢、あちらで触れ合いコーナーなるものが始まったみたいですぜ」
「えっ、そうなの。どうしましょうか」
ロザリーアは入場チケットを10枚手に入れて会場に入っていた。
ロザリーア自身は子ども枠なのでチケットなしでも入場ができたが、親同伴は難しかったので代わりにボランチオを連れてきていた。
参加者の8割以上が女性の上に、ロザリーアの周りにはスーツの厳つい男たちが警護を務めていて、かなり目立っていた。
一緒についてきていたアーロはイベントの規模と人気者になったノアとぽむを見て敵意を剥き出しにしていた。
「ボランチオさん、一体いつ動くんですか?」
「あぁ、まだそのときじゃない。お嬢の合図があるはずだから大人しく待ってな。恐らくは日が落ちてからになるはずだ」
一刻も早くこんな胸糞の悪いイベントをぶち壊したいと思っているアーロだったが、実力的に逆立ちしたって取り巻きの一人にすら勝てない。
今は大人しく従っておく選択肢以外なかった。
アーロは知っていた。
このイベントの前にロザリーアの命令でボランチオが大量の火薬を準備していたことを。
よく考えれば真っ昼間に動くのは得策ではない。
日が落ちてからの方がいいのは分かるが、日が落ちるまで数時間はかかってしまう。
それまで我慢かと嫌気がさすが、イベントの大爆発とひつじの誘拐でノアの絶望する顔を思い浮かべれば数時間何でもないと自分に言い聞かせる。
会場の外ではチャコルルファミリーの工作員が準備を済ませ合図を待っていた。
「ぽむ様大好物のわたがしですよ」
ぽむが好んでよく食べるわたがしの屋台も出店している。
いつもは元気のいい大将が一人で切り盛りしてるのだが、今日は20歳になる娘も手伝いに来ている。
機械の中心に砂糖を落として、スイッチを押すと回転を始めて糸が発生する。
そこに棒を突っ込めば棒に糸が絡んでいき膨らんでいく。
雲のようなふわふわとしたぽむサイズのわたがしが出来上がる。
大将が慣れた手つきで次から次にそれを作って机に並べていく。
これがいつもの屋台でのわたがしなのだが、今日は一味違う。
机に並んだ一つを娘が手に取って、ハサミでカットしていく。
みるみるうちに形が整っていくと、それの完成を待ち望んでいるお客もわたがしの可愛さに悲鳴を上げる。
「なにこれ可愛すぎるんですけど」
「やばすぎるよ、これ持って撮影に行こうよ」
「それ名案だね」
出来上がったのは真っ白なわたがしでできたぽむだった。
多くの簡易的な机とイスを挟んでわたがし屋台の反対側にも人が集まる。
カフェ『フランドール』のマスターとお手伝いのパティシエ5人がフル稼働で商品を作り続けても追いつかない。
フランドールから出てくる人はパフェとコーヒーを持って出てくる。
コーヒーにはラテアートで描かれたぽむの姿。
パフェの一番上にも飴細工で作られたぽむが飾られていた。
隣の店からはなんとも食欲をそそる香りがしてくる。
ぽむは甘いものが大好きなのだが、実は洋食も好きである。
特にオムライスが好きでぽむのよく通う洋食店がオムライスを提供している。
もちろんオムライスの上のケチャップでぽむの姿を描くことは忘れない。
どこに行ってもぽむがいる。
飲食店はこの三つになっていて、飲食スペースから少し離れたところに賢者の隠れ家出張所と着替えスペース。
さらに離れたところに帝都でも古くからあるテイマー御用達の従魔専門店が店を構える。
実はイベント会場の広場は6代目オーナーのルネリッツが所有している。
イベント会場として使用する代わりに従魔専門店を柵の内側に入れることが条件であった。
恰幅がよく、清潔感溢れる高級服に身を包んだルネリッツは不適な笑みを浮かべていた。
周りの人間が見ればいかにも何かを企んでいそうな悪者顔をしている。
それはその通りでルネリッツは企んでいた。
ルネリッツが従業員と目を合わせて首を縦に振って合図を出すと男たちが柵を張って結界を張り出した。
何事かとイベントを楽しんでいた周りの人々は注目していた。
すると一番近くにいた者から悲鳴が上がり、それが次から次に伝播していく。
従魔専門店から出てきたのはもふもふで真っ白な従魔たち。
ルネリッツは自ら看板を持ち上げる。
そこには触れ合いコーナーと書かれていた。
さすがにぽむと同じ種族である、ひつじのファンシービーストはいなかったが、それでも真っ白もふもふということで触れ合いコーナーにはすぐに人が殺到した。
まん丸な毛に刈りそろえられた犬のモンスターがメインで他にもウサギやハムスター、ひよこなどのラインナップになっている。
どれもぽむくらいのサイズだ。
「オーナー、あいつはやっぱり出てこないみたいです。どうしましょうか」
ルネリッツに従業員の一人が相談に来る。
実は一匹だけ照れ屋なモンスターがいて、人前に出るのが苦手で、今日も店の奥で丸まっていた。
「そうか、無理強いは良くないからな。好物の魚をあげてやっておくれ」
ルネリッツは見た目に反して心優しいおじさんで、従魔に対してもの凄く優しかった。
「分かりました」
§
「ボランチオ、あれを見て。わたがしにパフェ、オムライス、コスプレグッズまであるわ」
「へい、お嬢、あちらで触れ合いコーナーなるものが始まったみたいですぜ」
「えっ、そうなの。どうしましょうか」
ロザリーアは入場チケットを10枚手に入れて会場に入っていた。
ロザリーア自身は子ども枠なのでチケットなしでも入場ができたが、親同伴は難しかったので代わりにボランチオを連れてきていた。
参加者の8割以上が女性の上に、ロザリーアの周りにはスーツの厳つい男たちが警護を務めていて、かなり目立っていた。
一緒についてきていたアーロはイベントの規模と人気者になったノアとぽむを見て敵意を剥き出しにしていた。
「ボランチオさん、一体いつ動くんですか?」
「あぁ、まだそのときじゃない。お嬢の合図があるはずだから大人しく待ってな。恐らくは日が落ちてからになるはずだ」
一刻も早くこんな胸糞の悪いイベントをぶち壊したいと思っているアーロだったが、実力的に逆立ちしたって取り巻きの一人にすら勝てない。
今は大人しく従っておく選択肢以外なかった。
アーロは知っていた。
このイベントの前にロザリーアの命令でボランチオが大量の火薬を準備していたことを。
よく考えれば真っ昼間に動くのは得策ではない。
日が落ちてからの方がいいのは分かるが、日が落ちるまで数時間はかかってしまう。
それまで我慢かと嫌気がさすが、イベントの大爆発とひつじの誘拐でノアの絶望する顔を思い浮かべれば数時間何でもないと自分に言い聞かせる。
会場の外ではチャコルルファミリーの工作員が準備を済ませ合図を待っていた。
0
あなたにおすすめの小説
癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。
branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位>
<カクヨム週間総合ランキング最高3位>
<小説家になろうVRゲーム日間・週間1位>
現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。
目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。
モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。
ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。
テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。
そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が――
「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!?
癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中!
本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ!
▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。
▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕!
カクヨムで先行配信してます!
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
元・神獣の世話係 ~神獣さえいればいいと解雇されたけど、心優しいもふもふ神獣は私についてくるようです!~
草乃葉オウル ◆ 書籍発売中
ファンタジー
黒き狼の神獣ガルーと契約を交わし、魔人との戦争を勝利に導いた勇者が天寿をまっとうした。
勇者の養女セフィラは悲しみに暮れつつも、婚約者である王国の王子と幸せに生きていくことを誓う。
だが、王子にとってセフィラは勇者に取り入るための道具でしかなかった。
勇者亡き今、王子はセフィラとの婚約を破棄し、新たな神獣の契約者となって力による国民の支配を目論む。
しかし、ガルーと契約を交わしていたのは最初から勇者ではなくセフィラだったのだ!
真実を知って今さら媚びてくる王子に別れを告げ、セフィラはガルーの背に乗ってお城を飛び出す。
これは少女と世話焼き神獣の癒しとグルメに満ちた気ままな旅の物語!
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる