【書籍化進行中】悪役令嬢の兄です、ヒロインはそちらです！こっちに来ないで下さい

乙女ゲーム編

楽しい日々

Side　聖女




やっと乙女ゲームが始まってくれた！やっぱりバグだったのかもしれないって思ったのはヘルリくんの件があってから…
あたしは本当にヘルリくんの首輪を壊して、悪役令嬢に虐げられるのはおかしい、キミは人なんだよって助けたかったのに…人狼化したら逃げちゃうんだもん

しかも…器物破損にヘルリくんに対しての魔力の行使は犯罪スレスレとか意味分かんないこと言われるし…
まさか悪役令嬢の家に行くなんて思わないじゃん？レルム伯爵も最初はすごく優しかったのになんか最近冷たくなってるし今回の事は本当に怒られて悲しかった
でも、ひたすら泣いてこんなはずじゃって謝り続けたら1週間謹慎だけでなんとか許してもらえたし、聖女だから皆を救いたいだけなのって謹慎明けにクラスメイトに訴えながら泣いてたら聖女様可哀想ってすごく優しくなってくれたの



その日からあたしの生活は一変した
聖女は儚げで可憐な弱々しくて守ってあげたくなる雰囲気がやっぱり必要だったのね？
まさか攻略対象の方から声を掛けてくれるなんて想像以上の効果を生み出したんだから



レオンハルトくん、マイズくん、イグニスくんが落ち込んでるあたしを見つけて話しかけてくれてから、本当にこの乙女ゲームが始まったんだなーって実感できた
今までの事はバグ、3人から時間とか場所とかは別々だけど話しかけてくれるのもゲームのストーリーには無かったからバグっぽいけど、あたしがちゃんとしたストーリーの場所に誘導してあげるとエピソードイベントが進む…

これ本当に全体的にバグったゲームなのかもしれない？



でもいいの！あっちから来てくれるならいくらでもイベント進め放題だし！初めてみた時、3人の髪型違うからびっくりしたけど…初対面で思った性格の違和感は本当はそこまでじゃなくて、話してみると性格はゲームとちょっとだけ違うくらいだった

レオンハルトくんは王太子殿下っていう荷重と、ある意味幼少期事故で婚約者になった悪役令嬢の横暴さに嫌気が指してる、マイズくんは自分にない光の魔力があたしにあるからそれが眩しくて、闇なんてと悪役令嬢に馬鹿にされてたのもあって聖女をどんどん好きになる、イグニスくんは悪役令嬢の騎士として非道な行いを見てきて心が壊れそうになっている…

乙女ゲームではそんな背景があったから、初対面で言ったのに何いってんの？って顔してたけど、今はその内容をほんのり出しながら3人に改めて接したら「聖女様だけだよわかってくれるの」なんて言ってくれるようになった！

何処からバクで何処からバクじゃないのかわからない…でも3人の好感度が上がって証拠が沢山あるからこのままでも大丈夫なのかも？


「聖女様、今大丈夫か？」

「うん！大丈夫！ごめんね、今行くからレオンハルトくん」


今日もあたしは攻略対象と楽しいリアルな生活を送る…





……………………
……………
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丁度お昼時、なんでか先輩になってる飛び級2年生のレオンハルトくんはあたしとご飯食べたいって教室まで来てくれて、食堂に案内してくれる
本当は高貴な身分が入れる特別室があるけど、レオンハルトくんは一般席の中庭が見える席が好きなんだって…変わってる王太子殿下！
でも、優しく微笑みながらそんな事言う所もかっこいい！



「初めて食堂来たかも…あたし市街出身だから聖女ってなってもみんなにどう思われてるか不安で…あ、レオンハルトくんのおすすめある？」

「俺も初めは食堂使うの緊張したけど、利用してみると楽しいよ
この食堂で俺のオススメはチキングリルかな？」


王太子殿下なのに一番お手軽な価格のメニュー、チキングリルを選ぶのなんかおかしくて笑いそうになっちゃった
でも、奢ってくれるって言うからフルコース頼んじゃう私は悪くない！だって王太子殿下に奢って貰うのに安いのじゃなんかあれだし？

美味しいフルコースに、優しいイケメンのレオンハルトくんがあたしの事色々聞きたいって楽しく会話しながら食べる昼食は最高…♡
乙女ゲームにこんなシーン無かったよね？って思うけど全然問題ないくらい楽しい


「聖女様、今日はプレゼントがあるんだ…受け取ってくれたら嬉しい」

「え？あたしに…？嬉しい！ありがとう！ねぇ、ここで開けてもいい？」


綺麗にラッピングされた小箱を手渡されてテンションが上がる
小箱を開けると、可愛い小さな蝶が刻印されたブローチが入っていた…素敵…♡


「可愛い…ありがとうレオンハルトくん！大切にするね？」

「日常的に使ってもらえると嬉しいよ…あ、そろそろ授業が始まるな…俺このあと移動教室だからもう行くよ
また一緒にご飯食べような？」


そう言ってレオンハルトくんは食堂を出ていく…
乙女ゲームでも聖女と攻略対象が親しくなるとプレゼントをしてくれる場面があった
それはこんなにも高価そうなモノだったなんて…掌に収まる小さなブローチを見てるとこれからの事が楽しくなってしまう

先日、半日で帰宅できる日があったけどその日、みんなと会えなかったのはこれ買ったりしてから？そうだと嬉しい♡
エメラルドのような宝石が眩く光るブローチを胸に付ける、その日から日替わりでマイズくんがブレスレット、イグニスくんからイヤリングを貰うことになるなんてその時は思って無かった



そろそろ好感度もいい感じかな？学年ごと違うからちゃんと会ったこと無いけど、悪役令嬢に登場してもらって更に皆と仲良くならないと…ふふ、毎日が本当に楽しくなってきた…♡