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運命の夜会 証言
しおりを挟む最も大切な事は、礼儀作法だと言われる王家主催の夜会で、僕の元家族だった人達…そして婚約者だった人は国王陛下や数多くの貴族を前に、涙を流し、声を荒げながら場を掻き乱す
フレイズ様を睨みつけ、非難するような目で声…
既に犯人は分かっていると言わんばかりにこの会場に人殺しが、化け物がいると叫んでいた
よく見るとマイトは元父様達の背後でデオン様に抱きしめられながら既に可哀想な感じですすり泣いている…
「国王陛下、皆様、何卒!何卒!私の話を聞いて下さいませ…!!!皆様も!このままではいけないのです!!」
「もう既に知っている方もいる悲劇…私達はそれを止めるためこの場にいます!高位の方々であればおわかりですよね!?!ねぇ!?!」
「…………………よい、聞こう、言うてみろサージェス伯爵
この会場に何がいる?人殺し等物騒な存在が本当にいるのか?化け物とはなんだ?
もしも居るのであればこのまま夜会を執り行う訳にはいかない、話を聞こうではないか」
何処からそんな声を出しているのか…?
一緒に一応住んでいた筈の僕でも分からないほど、本当に悲劇を体験してきたと感じる元父様とピルメ様の悲痛な叫びに対して、お優しい顔をされた国王陛下は少し考えた上で、話を聞くと答えられた
その返答に大勢の貴族はざわめき、しかし静かに見届けようとしている国王陛下を邪魔せぬよう、徐々に辺りは静まり返る
いつの間にか国王陛下の周囲には側近?なのだろうか…騎士が数名現れ、サージェス伯爵が言う人殺し、化け物に対しての防衛をしているようだった
その間、フレイズ様は一歩もその場を動かない、動く必要など無いと言うように…なら、僕はこの場で美しい所作を維持することに専念しよう
たぶんこれがフレイズ様の言っていた運命の夜会…そこで起きる出来事だと思うから
元家族だった人が何を語るのか少しだけ気になる…フレイズ様を化け物という噂自体は既に流れてるから分かる、けど人殺し部分は何を根拠に言っているんだろうか?
サージェス伯爵が何を言うか僕だけじゃなく、たぶん会場にいる参加者全てが耳を傾けている…そんな状況で悲痛な表情のまま、サージェス伯爵は語り始めた
「国王陛下寛大な御心ありがとうございます…!!!
……………既に事情を知っている人も多いでしょう…私の息子アレンがルドレッド公爵に嫁いだ件について…嫁いでから家族である私達が一度も会わせて頂けない事を…!!
人食い公爵殿と噂のあるルドレッド公爵に食われたのでは無いかと噂をされる事も多くありました…!しかし、私はそれが信じきれなかった…愛する可愛い息子のアレンが本当にこの世に居ないなんて事実を信じたくは無かった…!!!
ですが、今日…この夜会に参加し…その事実が本当であると信じなければならない光景を、証拠を目の当たりにしてしまったたのです…
ルドレッド公爵、貴方が連れているその令息は誰ですか!?!何故伴侶を同伴させなければならないこの夜会で誰とも分からない人物をエスコートされているのです!?
私の、私の可愛い息子のアレンはどこに行ったのですが!?!何故、貴方の妻となった私の息子はこの場にいないのですか…!!!??」
「ああああああっ…………ううっ、アレン!!!アレン!!!!信じたくなかった、嘘だと思いたかった…!!!息子を失ったと周囲に言われても尚信じたくなかった…!!!
伴侶が同伴する今日ならば!!今日この日が来ればアレンに会えると、あの子が好きな物を取り揃えて再会を待ち望んで居たのに!!!!
返して!!返して下さいまし!!!私の可愛い息子、アレンを返してくださいルドレッド公爵様!!?!」
サージェス伯爵夫妻の言葉に周囲が騒然とする
ルドレッド公爵家へサージェス伯爵家から息子が嫁いだのは事実、それが何処まで噂となっていたか僕には分からないけど…周囲の反応から見るにかなり噂にはなっているのだろう
けど…どうしてアレンを返して…アレンを何故殺したんだなんて…そんな事を叫ぶのだろう…目の前に僕はいるのに…
アレン.サージェスだった人間は確かに今も生きてるのに……
どうして僕の目を見て知らない人を見るような目で元父様やピルメ様達は睨んで来るのだろう…
僕は少なくとも8年間、父様…貴方と暮らしていたでは無いですか…?なのに…何故………
…………………けど、そんな事どうでもいい
僕はフレイズ様の隣で妻としての振る舞いを続けるのみ
この先に待つフレイズ様が結末を僕は受け入れるだけだ
サージェス伯爵夫妻は語り続ける…人食い公爵は実在する、この国は人ならざる者に侵略を受けていると…
人食い公爵へ嫁がせてしまい、息子を食われたと一時は信じてしまったが、今日この日まで確証は無く可能であれば息子を返してもらいたかった…等など…
マイトとデオン様が静かなのが少し気になったけど、サージェス伯爵夫妻は完全なる被害者として発言を続けた
「サージェス伯爵夫妻、その方の言い分はわかった…して、それが事実だとして、その方はルドレッド公爵に何を望む?」
「……………っ!!国王陛下!!私は、私達は!!
ルドレッド公爵家の屋敷からせめてアレンの遺骨を取り戻したい…!!!
ルドレッド公爵家の全貌をつまびらかにし化け物をこの国から排除したい、息子の仇を討ちたく思います…!!!!」
その瞬間………
会場内の空気が変わった気がした
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