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4 父の思い
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「お嬢様、旦那様がお戻りになられました」
夕食を食べ始めた時、家令のハンスがダイニングに入ってきてポナー伯爵の帰宅を伝えた。
「お嬢様はお食事を召し上がっていらっしゃるところです、とお伝えしましたところ、そのままお食事を続けられるようにとのご伝言を承りました」
フィリアは側に控えていたマーサを見た。
「旦那様のお食事も急いで準備するように調理場に伝えてきますっ」
慌ただしくマーサが部屋を出て行く。フィリアはカトラリーを置いた。もう食事どころの気分ではない。
仕事で忙しい伯爵が王都の屋敷に戻ってくるのは多くても月に一度。領地の仕事を教えてくれているのはハンスで、フィリアにとっては縁の薄い両親より、いつもそばにいてくれるハンスとマーサの方が父親と母親のように思えていた。
手紙を読んだ父は、仕事が忙しいのに戻って来たのだろう。
フィリアにとってのポナー伯爵はひと言で言ってしまえば仕事人。
フィリアが幼い頃、母親はいつもあの人は仕事ばかりだと言っていた。そして母親は「そんなに好きならば仕事と結婚すればいいわ」と言って出て行ってしまった。
今回の事で急に呼び出し、父の仕事の邪魔をしてしまったので、父の機嫌は悪いかもしれない。それにランドルフに婚約破棄を言い渡された事で王家との繋がりを切ってしまったフィリアを叱りつけるかもしれない。
そう思うと、嫌な動悸がしてくる。
フィリアが自分の胸を押さえた時にダイニングのドアが開いて、伯爵が入ってきた。
「フィリア、今戻った」
フィリアは慌てて席を立とうとしたのだが伯爵に止められた。
伯爵が着席すると食事が並べられる。いつ帰ってきても大丈夫なように今日の食事は多めに作っていたのかもしれない。
「…お帰りなさいませ、お父さま」
冷静を装おうとしたが、緊張からかフィリアの声は少し震えている。
「食事が終わったら応接室でお茶でも飲みながら少し話そう。……ハンスから話は聞いている。6年間もよく頑張ったな」
穏やかで優しさが感じられる父親の口調に、フィリアは驚いた。そしてこれまで重く伸し掛かっていたものが、父のひと言でふっと消えていくのを感じていた。
「……お父様、怒っていらっしゃらないのてすか?」
「フィリア、お前にはいらない苦労を掛けてしまったと思っている。何も出来なかった私自身とお前を虐げていた元婚約者には今でも憤慨しているが」
(お父様は元婚約者っておっしゃったわ。もしかしてもう婚約は解消か破棄されたというの?)
「詳しい事やこれからの事は食事の後に話す。それと仕事が一段落着いたので、しばらくはこちらにいられるようになった」
「そうですか、お父様がいらっしゃればハンスやマーサ達使用人達も仕事に張り合いが出ると思います。可能な限りゆっくりなさって下さい」
「お前はもう、すっかりこの屋敷の女主人なのだな」
そう言って伯爵は眩しそうにフィリアを見る。伯爵の記憶にあった幼かった少女はいつの間に成長していた。
食事の後は応接室で父と向かい会う。こうしてじっくり話をしようとするのはいつ振りなのかをフィリアは覚えていない。忙しい父はたまに帰ってきても食事の席を一緒にするだけで、大した会話もした事がない。
「伯爵領の執務を丁寧にこなしているとハンスから聞いている。お陰で私も商会に専念する事ができた。実は今までネーベル王国で地盤固めをしていた」
ネーベル王国は隣国を挟んだ国で、この国よりも領土も広く、豊かな国であると言われている。
「そんなに遠くまでいらっしゃっていたのですね。地盤固めとはどういった事でしょうか?」
「お前を連れてこの国を出で行こうと思っていた。6年前は私に力が無かったばかりにあの婚約を断る事が出来なかった。金儲けばかりをしていて失敗した。ネーベル王国ならば、この国とはそれほど深い付き合いも無いし、準男爵ではあるが貴族の地位も手に入れる事ができた」
「まさか、私のためにこれまでお仕事をされていらしたのですか?」
「お前の母親と離縁した時に言われたのだ。家族を省みない冷血な男だと。お前とはそうならないように心掛けたかったのだが、あの後すぐに王家から婚約の打診がきてしまった」
(お父様は王家との婚約に賛成ではなかったみたいだわ)
「ハンスから前の婚約者との事は報告を受けていた。我が家はこれまで官職には興味が無く、商売はしていても地方貴族としての立場しか無かった。中央の政治に対抗する権力がなかった事で、かえって目を付けられるとは思わなかった」
王都での政治に関わり、どこかの大貴族の派閥に属していれば、もっと違う結果になっていただろう。しかしそれはまた違うしがらみを生んだハズだ。
「商売しかしてこなかった私は、商会を大きくして他国へ移住する方法しか思いつかなかった。結局私は昔も今も仕事しかしてこなかった。すまない」
そう言って頭を下げる父親をフィリアは責める事が出来なかった。
「お顔を上げて下さい。あの方との婚約が無くなったのでしたら、私はもう大丈夫ですから」
フィリアは父親は仕事が好きで自分には関心が無いと思い込んでいた。
そしてフィリアに関心がないから、ランドルフから虐げられていても何もしない、もしくは知ろうとしなかったのだと思っていた。しかしそれは全て誤解だった。
父は父なりにフィリアを守ろうと動き続けてくれていた。
伝も何も無い国で、たった数年で貴族の地位を得る事がどれだけ難しい事か貴族令嬢のフィリアにも理解できる。
(せっかくのお父様の努力を無駄にはしたくないわ)
「お父様、ぜひ私もネーベル王国へ連れて行って下さい。この国の社交界で私の居場所はもうありませんし、準男爵ですと平民に嫁ぐ事になるでしょうが、私は結婚相手が貴族ではなくても構いません」
国を出る事を前向きに考えるフィリアに対して伯爵は言いにくそうに話を続けた。
「……それがな、屋敷に帰る前に王宮へ出向き、お前の前の婚約は無事に白紙に出来たのだが、……直後に新しい婚約を結ぶ事になってしまった」
(えっ、こんなに早く次の婚約が決まってしまったの?)
「あの……どなたかとお約束をされていらしたのですか?」
「考えてみてくれ。この国からポナー家と商会が引き上げたらどうなると思う?国の経済は確実に落ち込み、今まで我が家が納めていた税収もなくなる。それに第三王子との婚約を理由に行っている事業にかかった金を返す力が王家にはない。国力が弱くなると他国に付け込まれやすくなるし、王家の求心力も落ち、最悪の場合は国が滅びるかもしれない」
ランドルフを恨みこそすれ、フィリアはこの国が無くなって欲しいとまでは考えていない。
ランドルフが王になるのなら国に対する愛着も薄くなっていたかもしれないが、優しく声を掛けてくれた王太子をポナー家が原因で破滅させても構わないとまでは思えなかった。
「第三王子がお前にしてきた事を思えばこの国を捨ててもいいと思っていたのだが、ある方に止められて、粘られて説得をされてしまったのだ。それで新たにその方とお前との婚約を結ぶ事になってしまった」
伯爵の苦々しそうな口調からすると、この婚約もあまり歓迎できるものではなさそうだ。
商人でもある伯爵を言いくるめられたのだから、その人物は口が立つのかもしれない。
もしくは国への熱意を強く語られて伯爵が引けなくなってしまったのかもしれない。
「でも今回はいくつか条件をつける事が出来た。あちらも第三王子のしてきた事をある程度把握していらっしゃったので、その点はスムーズに受け入れてくれた」
「お父様、お相手はどちらの方なのですか?」
「お前は嫌がるだろうとはっきりと断ったのだが、どうしても聞いてくれなくてな。お前が嫌になったら婚約解消を受け入れる事を条件に入れる事ができたから、嫌だったらこの話を断ってもいい。新しい婚約者は、第二王子のクリフォード殿下だ」
夕食を食べ始めた時、家令のハンスがダイニングに入ってきてポナー伯爵の帰宅を伝えた。
「お嬢様はお食事を召し上がっていらっしゃるところです、とお伝えしましたところ、そのままお食事を続けられるようにとのご伝言を承りました」
フィリアは側に控えていたマーサを見た。
「旦那様のお食事も急いで準備するように調理場に伝えてきますっ」
慌ただしくマーサが部屋を出て行く。フィリアはカトラリーを置いた。もう食事どころの気分ではない。
仕事で忙しい伯爵が王都の屋敷に戻ってくるのは多くても月に一度。領地の仕事を教えてくれているのはハンスで、フィリアにとっては縁の薄い両親より、いつもそばにいてくれるハンスとマーサの方が父親と母親のように思えていた。
手紙を読んだ父は、仕事が忙しいのに戻って来たのだろう。
フィリアにとってのポナー伯爵はひと言で言ってしまえば仕事人。
フィリアが幼い頃、母親はいつもあの人は仕事ばかりだと言っていた。そして母親は「そんなに好きならば仕事と結婚すればいいわ」と言って出て行ってしまった。
今回の事で急に呼び出し、父の仕事の邪魔をしてしまったので、父の機嫌は悪いかもしれない。それにランドルフに婚約破棄を言い渡された事で王家との繋がりを切ってしまったフィリアを叱りつけるかもしれない。
そう思うと、嫌な動悸がしてくる。
フィリアが自分の胸を押さえた時にダイニングのドアが開いて、伯爵が入ってきた。
「フィリア、今戻った」
フィリアは慌てて席を立とうとしたのだが伯爵に止められた。
伯爵が着席すると食事が並べられる。いつ帰ってきても大丈夫なように今日の食事は多めに作っていたのかもしれない。
「…お帰りなさいませ、お父さま」
冷静を装おうとしたが、緊張からかフィリアの声は少し震えている。
「食事が終わったら応接室でお茶でも飲みながら少し話そう。……ハンスから話は聞いている。6年間もよく頑張ったな」
穏やかで優しさが感じられる父親の口調に、フィリアは驚いた。そしてこれまで重く伸し掛かっていたものが、父のひと言でふっと消えていくのを感じていた。
「……お父様、怒っていらっしゃらないのてすか?」
「フィリア、お前にはいらない苦労を掛けてしまったと思っている。何も出来なかった私自身とお前を虐げていた元婚約者には今でも憤慨しているが」
(お父様は元婚約者っておっしゃったわ。もしかしてもう婚約は解消か破棄されたというの?)
「詳しい事やこれからの事は食事の後に話す。それと仕事が一段落着いたので、しばらくはこちらにいられるようになった」
「そうですか、お父様がいらっしゃればハンスやマーサ達使用人達も仕事に張り合いが出ると思います。可能な限りゆっくりなさって下さい」
「お前はもう、すっかりこの屋敷の女主人なのだな」
そう言って伯爵は眩しそうにフィリアを見る。伯爵の記憶にあった幼かった少女はいつの間に成長していた。
食事の後は応接室で父と向かい会う。こうしてじっくり話をしようとするのはいつ振りなのかをフィリアは覚えていない。忙しい父はたまに帰ってきても食事の席を一緒にするだけで、大した会話もした事がない。
「伯爵領の執務を丁寧にこなしているとハンスから聞いている。お陰で私も商会に専念する事ができた。実は今までネーベル王国で地盤固めをしていた」
ネーベル王国は隣国を挟んだ国で、この国よりも領土も広く、豊かな国であると言われている。
「そんなに遠くまでいらっしゃっていたのですね。地盤固めとはどういった事でしょうか?」
「お前を連れてこの国を出で行こうと思っていた。6年前は私に力が無かったばかりにあの婚約を断る事が出来なかった。金儲けばかりをしていて失敗した。ネーベル王国ならば、この国とはそれほど深い付き合いも無いし、準男爵ではあるが貴族の地位も手に入れる事ができた」
「まさか、私のためにこれまでお仕事をされていらしたのですか?」
「お前の母親と離縁した時に言われたのだ。家族を省みない冷血な男だと。お前とはそうならないように心掛けたかったのだが、あの後すぐに王家から婚約の打診がきてしまった」
(お父様は王家との婚約に賛成ではなかったみたいだわ)
「ハンスから前の婚約者との事は報告を受けていた。我が家はこれまで官職には興味が無く、商売はしていても地方貴族としての立場しか無かった。中央の政治に対抗する権力がなかった事で、かえって目を付けられるとは思わなかった」
王都での政治に関わり、どこかの大貴族の派閥に属していれば、もっと違う結果になっていただろう。しかしそれはまた違うしがらみを生んだハズだ。
「商売しかしてこなかった私は、商会を大きくして他国へ移住する方法しか思いつかなかった。結局私は昔も今も仕事しかしてこなかった。すまない」
そう言って頭を下げる父親をフィリアは責める事が出来なかった。
「お顔を上げて下さい。あの方との婚約が無くなったのでしたら、私はもう大丈夫ですから」
フィリアは父親は仕事が好きで自分には関心が無いと思い込んでいた。
そしてフィリアに関心がないから、ランドルフから虐げられていても何もしない、もしくは知ろうとしなかったのだと思っていた。しかしそれは全て誤解だった。
父は父なりにフィリアを守ろうと動き続けてくれていた。
伝も何も無い国で、たった数年で貴族の地位を得る事がどれだけ難しい事か貴族令嬢のフィリアにも理解できる。
(せっかくのお父様の努力を無駄にはしたくないわ)
「お父様、ぜひ私もネーベル王国へ連れて行って下さい。この国の社交界で私の居場所はもうありませんし、準男爵ですと平民に嫁ぐ事になるでしょうが、私は結婚相手が貴族ではなくても構いません」
国を出る事を前向きに考えるフィリアに対して伯爵は言いにくそうに話を続けた。
「……それがな、屋敷に帰る前に王宮へ出向き、お前の前の婚約は無事に白紙に出来たのだが、……直後に新しい婚約を結ぶ事になってしまった」
(えっ、こんなに早く次の婚約が決まってしまったの?)
「あの……どなたかとお約束をされていらしたのですか?」
「考えてみてくれ。この国からポナー家と商会が引き上げたらどうなると思う?国の経済は確実に落ち込み、今まで我が家が納めていた税収もなくなる。それに第三王子との婚約を理由に行っている事業にかかった金を返す力が王家にはない。国力が弱くなると他国に付け込まれやすくなるし、王家の求心力も落ち、最悪の場合は国が滅びるかもしれない」
ランドルフを恨みこそすれ、フィリアはこの国が無くなって欲しいとまでは考えていない。
ランドルフが王になるのなら国に対する愛着も薄くなっていたかもしれないが、優しく声を掛けてくれた王太子をポナー家が原因で破滅させても構わないとまでは思えなかった。
「第三王子がお前にしてきた事を思えばこの国を捨ててもいいと思っていたのだが、ある方に止められて、粘られて説得をされてしまったのだ。それで新たにその方とお前との婚約を結ぶ事になってしまった」
伯爵の苦々しそうな口調からすると、この婚約もあまり歓迎できるものではなさそうだ。
商人でもある伯爵を言いくるめられたのだから、その人物は口が立つのかもしれない。
もしくは国への熱意を強く語られて伯爵が引けなくなってしまったのかもしれない。
「でも今回はいくつか条件をつける事が出来た。あちらも第三王子のしてきた事をある程度把握していらっしゃったので、その点はスムーズに受け入れてくれた」
「お父様、お相手はどちらの方なのですか?」
「お前は嫌がるだろうとはっきりと断ったのだが、どうしても聞いてくれなくてな。お前が嫌になったら婚約解消を受け入れる事を条件に入れる事ができたから、嫌だったらこの話を断ってもいい。新しい婚約者は、第二王子のクリフォード殿下だ」
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