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本編
10話
しおりを挟むそういえば、聖女くんの最初からフランクに来ないところがすごい普通の人っぽいんだよね。
聖女くんならもしかしてまともな会話できる?
「あのさ、」
「ありがとう。」
わーお。そのキラキラな笑顔がかえって憎い。
はぁ、やっぱり賢者以外はちゃんと会話できないのか。
これ、本当に寂しいな。
あれ、もし賢者が一緒に旅してくれなかったらどうしよう。
旅の途中とかで会話できないストレスで発狂するよ。
割とほんとに。
「勇者様、準備はできていますね。それでは旅へ出発しましょう。」
さっきまでいなかった騎士ちゃんがいつの間にか聖女くんの隣にいる!?
なんだこれ!!
しかも、ドレス姿!!
剣は抜き身で右手に持ってるだけだし騎士ちゃん、その格好で戦えるの??
それに抜き身ってめっちゃ怖いんだけど!!
「あー…。なんか今回バグ多そうだな。」
「あ!!賢者!!」
「いやお前、普通は賢者さんとか賢者様って呼ぶだろ。」
「いやいや、呼び捨てで十分でしょ。あんたも私のこと"お前"って呼んでるし!!」
人のことをお前とかいう酷いやつにさんなんて付けて呼ばないから。
「お前も俺のこと"あんた"って読んだ時点で割と俺といい勝負してると思うけどな。」
「あ。」
つい釣られて言っちゃった。
あんなやつと同じようなこと言うなんて。なんか悔しい。
「おい、勇者。」
「なに??」
あ、なんだかんだお前じゃなくて勇者って呼んでくれるんだ。
「さっき騎士の姿見えてたか?」
「見えてなかった。なんか騎士ちゃんが喋ったときに急に現れたよ?」
「だよな。あれ、本当なら最初から騎士は聖女の隣にいるはずなんだけどな。しかも、服はドレスじゃなく聖女みたいに動きやすそうな服なはずだし。」
それもう色々とぐちゃぐちゃだ。
服装まで普通とは違うとか…。
この先本当に起きちゃいけないところでバグが起きそうで怖い。
「どうにかして直せないの??」
「物語が始まってから中を弄るのってリスクが大きいんだよ。集めなきゃなんねえ珠が消えたこととかもあるしな。」
「そーなの?じゃあ、騎士ちゃんには申し訳ないけどドレスのまま行ってもらおう。これ以上何か起きたらもう収集がつかなくなりそうだし。」
魔王が消えるとかだったら嬉しいけど、珠が消えたりしたらしゃれにならないし。
「ねぇ。」
「あ?」
「その珠消えちゃったときってどうしたの??というか、私以外にもここに誰が喚ばれたことあるの?」
いやそんなきょとんとした顔されても。
ランダムで喚ばれるとは聞いたけど、どのくらいの人が来たかとかは全然聞いてないよ?
「あー、そういや言ってなかったな。今の勇者、つまりお前以外も結構喚ばれてこっちに来たぞ。正しい人数とかは分かんねぇけど多分20くらいか?」
私みたいに理不尽な想いをした人がそんなにいるんだ。
同士だ!!
「珠は確か、中のとこあちこち弄ってたらいつの間にかまた出た気がするな。もう一回やれって言われてもどこが当たりだったかわかんねぇから無理だぞ。」
「じゃあ、余計に騎士ちゃんをどうにかするのは諦めたほうがいいね。」
「ああ。それに、動きとかは多分服の影響とか一切受けないから大丈夫だと思うぞ。」
よかった。それならドレスのままでも大丈夫だ。
「じゃあ旅に出ますか!」
「そうだな。」
さて、心配事も今のところは無いし。
しゅっぱーつ!!
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