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本編

20話

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スライムと違って素早いから次から次へと敵がわき出てくる。
今分かってるだけで11匹。しかも囲まれてる。
一気に来られたら捌ききれない。

「うっ。」

それに時々当たる敵の体当たりのせいか体が重く感じて、自分が思ってるスピードが出せなくなってる。
これがダメージを受けて体力が減ってる感覚なのかな。

「ぐるぁ」

やば間に合わない!!

ザシュ。

「へっ??」

あれ、騎士ちゃん!?
後ろから来た敵を斬ってくれた…。
今まで動いてなかったのになんで??
でもいいや!今はそんなこと考えてられない!
あと10匹?2人なら実質5匹か。いけそう。

「ヒール」

うわっ!!体がすごく軽くなった。
聖女くんまでちゃんと役割果たしてくれてる。
急になんでだろう?

「ぎゃうん」

騎士ちゃんが一体倒した!!
私よりも動きが早いし剣捌きが滑らか。
私も負けてられない!

正面!と見せかけて左のやつが来る。

「ぐるるぅ!!」

予想通り!!

「ぎゃん」

来るのが予想できればそこに間に合うように剣を振ればいいから楽。
多少間違っても、

「ぎゅる…」

騎士ちゃんが牽制なり倒したりしてくれる。
私主体にして動いてくれてるから騎士ちゃんの動きは考えなくても大丈夫だし。
これならウルフ10匹ちょっとくらい平気!

「ヘイスト」


ん!?聖女くんが呪文を唱えたら急に体が軽くなった!!
速いけどちゃんと体は速さにつていける。
これ聖女くんの力かな??
すごい!!

ザシュ。

このまま行くぞー!!



「ぎゅるぅ。」

よしっと。とりあえず私が分かる場所にはもういないなかな。

「ヒール」
「騎士くんありがとう。」
「ヒール」

こういうときにちゃんと反応を返してくれないのはやっぱり慣れないな。

「結構遠くにいる奴まで狩ったからしばらく安心して休んでていいぞ。」
「はーい。疲れたぁー。」

近くの切り株に座って一休み。
集中しすぎてどれぐらい倒してたのかわかんない。
すごく今更な話だけど騎士ちゃんと聖女くんっ疲れて座ったりしないんだよなぁ。
私も体力とかが減ってるわけじゃないけど気分的に座り込みたくなる。

それにしてもいきなり2人が一緒に参加してくれたのすごいワクワクした!!
仲良くなってくれたみたいですごい嬉しい。
あ、でもそういえば…

「さっきの聖女くんのヒールとヘイストって一体なんの呪文だったの??」
「ヒールは1人の体力を回復させるものでヘイストは味方全員の速さを上げる"祝福"だ。」
「ん??"祝福"??」

聖女くんが使ってるのは魔法じゃないのかな。

「聖女が使えるのは神から与えられた人々のことサポートする力だけだ。攻撃系の祝福は一切ねえし割と不便だぞ。」
「サポートだけって戦うのにはだいぶ不自由だね。」
「一人だけが強い力を持ってたら世界が崩壊するだけだろ。」
「まぁ、確かに。」

世の中そう甘くないよね。
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