39 / 123
第4章過去との決別
38愚王のプライド
しおりを挟む
ざわつく教室内。それを作り出したのは鮫島というヤンキーだ。俺と火憐を見捨てて逃げ出した卑怯者。
そんな彼がダンジョン内で化け物を打ち倒したとのたまわっているのだ。
ちゃんちゃらおかしいではないか。
(あいつは何を言ってるんだ?)
俺と火憐の表情は怒りを通り越して呆れている。しかし俺はある事に疑問を持った。だから机に頬杖をついている火憐に向かって質問をしたんだ。
「火憐、どうして鮫島はあんなに自信を持っているんだ? 昨日ダンジョンで全く歯がたたなかったじゃないか」
「私も最初はそう思ったんだけどね。『装備品』を手に入れたらしいわよ」
「氷華の鎧みたいなやつか」
「そんな感じね。鮫島が装備していたのは鎧というより、王族が着ているような豪華なモノだったけど」
「戦闘用じゃないのかな?」
「それは分からないわね」
俺と火憐は2人して頭を傾(かし)げていた。装備品について全く知識が無いので仕方がない。
氷華に聞いておくべきだったと、俺は大きなため息をついたんだ。
そうしていると鮫島がいる方向から大きな声が聞こえた。あいつは俺が来たことに気づいたみたいだ。
「その声は奴隷か?!」
鮫島の大きな声に教室が静まり返る。
そのまま鮫島は人混みをかき分けて俺の視界に収まる位置まで出てきた。
その姿は頭の上に王冠、青色の鮮やかなマントを身に纏(まと)い、上も下も王族が着ているような艶のある布で作られ、指や首には装飾品が付けられていた。
まるで王様のような格好にも俺は動じずに言葉を続けた。驚きよりも憎しみが優ったからだ。
「鮫島君。よく学校にこれたね。そんな変な格好して」
「生意気だぞ! 奴隷のくせによぉ。まぁ、あの後生きて帰ってきた事は褒めてやるよ」
「そっちこそ、よく帰ってこれたね」
「あぁ……化け物に遭遇しかけてな。何回も死ぬかと思ったよ……でもな! 偶然、身を隠すために入った横穴を進むとこれがあったんだよぉ」
鮫島は顔を前に突き出して、自らの装備品に親指を突き立ててニヤついている。
対する俺は自慢げな表情を見て顔を伏せた。恐れているのではない怒りが収まらないのだ。
唇を震わせながら再び前を向いた。
(自慢のつもりか? 俺だけじゃなくて火憐まで見捨てた男が、よくそんな表情ができるな……)
俺は怒りの瞳を鮫島にぶつけた。憎んでいるような、恨んでいるような……赤く燃えたぎる瞳で。
しかし、鮫島の方も黙ってはいない。
自らに向けられた殺意にも近い感触に自らのステータスを見せる事で威圧し返してきたんだ。
「どうだ奴隷! これが俺の手に入れた力だぁ」
――――――――――――――――――――――――――
○装備ステータス
●全装備…愚王シリーズ
●装備可能な職業…『王(キング)』
●必要なレベル…100Lv.
●防具
・頭→暴君の王冠⚫︎全攻撃値×3
・胴→暴君のマント⚫︎全攻撃値×3
・腕→暴君の腕当て⚫︎全攻撃値×3
・腰→暴君の腰当て⚫︎全攻撃値×3
・足→暴君の脚当て⚫︎全攻撃値×3
●武具
・両腕→暴君の腕輪●装着時にLv100とする。 ――――――――――――――――――――――――――
鮫島が自身の胸に手を置いて空中に映し出した装備ステータス。それを見たクラス中の生徒は固唾を呑んで、王が王たる所以を思い知らされる。
『王(キング)』にしか装備が許されない。チート級の装備を目の当たりにして。
もちろん、驚いている中には火憐も存在する。彼女は俺の『スキル』の事を詳しくは知らない。
だから鮫島の装備ステータスを見て驚くのだ。一体どれほどの攻撃力を有しているのかと……。俺にとっては大したことないステータスだけどな。
そんな状況で俺だけはそれを笑いながら鮫島に微笑みかけた。皮肉たっぷりな言葉で。
「そんなに強くなったなら、なんで助けに戻って来なかったのさ……怖くて逃げたの?」
「はぁ?……」
俺達は睨(にら)み合った。
俺の挑発に鮫島が乗ってきたのだ。俺怒りと鮫島の自尊心がぶつかり合う。
そんな火花散らすような視線のぶつかり合いに終止符を打ったのは、鮫島の発言だった。
「奴隷。お前生意気だな。俺と戦えよ……どれだけ強いか教えてやるよぉ」
「……望むところだ」
鮫島の発言にも驚かされるが、何よりも驚愕したのは俺の返答だろう。奴隷が王に勝つ事などあり得ない。
クラス中の生徒はステータスから俺の表情へと視線を移した。
この男は頭がおかしくなったのか?それとも、勢いで勝負を引き受けてしまったのか?様々な推測をクラスメイトが頭の中で繰り広げているような不思議な顔だ。
しかしそんな事は無意味。
俺の表情から、読み取れるはずは無いのだから……。
俺の表情は恐怖で怯えるでもなく、後悔に顔を歪めているでもなく、ただ微笑んでいるだけなのだから。
そんな彼がダンジョン内で化け物を打ち倒したとのたまわっているのだ。
ちゃんちゃらおかしいではないか。
(あいつは何を言ってるんだ?)
俺と火憐の表情は怒りを通り越して呆れている。しかし俺はある事に疑問を持った。だから机に頬杖をついている火憐に向かって質問をしたんだ。
「火憐、どうして鮫島はあんなに自信を持っているんだ? 昨日ダンジョンで全く歯がたたなかったじゃないか」
「私も最初はそう思ったんだけどね。『装備品』を手に入れたらしいわよ」
「氷華の鎧みたいなやつか」
「そんな感じね。鮫島が装備していたのは鎧というより、王族が着ているような豪華なモノだったけど」
「戦闘用じゃないのかな?」
「それは分からないわね」
俺と火憐は2人して頭を傾(かし)げていた。装備品について全く知識が無いので仕方がない。
氷華に聞いておくべきだったと、俺は大きなため息をついたんだ。
そうしていると鮫島がいる方向から大きな声が聞こえた。あいつは俺が来たことに気づいたみたいだ。
「その声は奴隷か?!」
鮫島の大きな声に教室が静まり返る。
そのまま鮫島は人混みをかき分けて俺の視界に収まる位置まで出てきた。
その姿は頭の上に王冠、青色の鮮やかなマントを身に纏(まと)い、上も下も王族が着ているような艶のある布で作られ、指や首には装飾品が付けられていた。
まるで王様のような格好にも俺は動じずに言葉を続けた。驚きよりも憎しみが優ったからだ。
「鮫島君。よく学校にこれたね。そんな変な格好して」
「生意気だぞ! 奴隷のくせによぉ。まぁ、あの後生きて帰ってきた事は褒めてやるよ」
「そっちこそ、よく帰ってこれたね」
「あぁ……化け物に遭遇しかけてな。何回も死ぬかと思ったよ……でもな! 偶然、身を隠すために入った横穴を進むとこれがあったんだよぉ」
鮫島は顔を前に突き出して、自らの装備品に親指を突き立ててニヤついている。
対する俺は自慢げな表情を見て顔を伏せた。恐れているのではない怒りが収まらないのだ。
唇を震わせながら再び前を向いた。
(自慢のつもりか? 俺だけじゃなくて火憐まで見捨てた男が、よくそんな表情ができるな……)
俺は怒りの瞳を鮫島にぶつけた。憎んでいるような、恨んでいるような……赤く燃えたぎる瞳で。
しかし、鮫島の方も黙ってはいない。
自らに向けられた殺意にも近い感触に自らのステータスを見せる事で威圧し返してきたんだ。
「どうだ奴隷! これが俺の手に入れた力だぁ」
――――――――――――――――――――――――――
○装備ステータス
●全装備…愚王シリーズ
●装備可能な職業…『王(キング)』
●必要なレベル…100Lv.
●防具
・頭→暴君の王冠⚫︎全攻撃値×3
・胴→暴君のマント⚫︎全攻撃値×3
・腕→暴君の腕当て⚫︎全攻撃値×3
・腰→暴君の腰当て⚫︎全攻撃値×3
・足→暴君の脚当て⚫︎全攻撃値×3
●武具
・両腕→暴君の腕輪●装着時にLv100とする。 ――――――――――――――――――――――――――
鮫島が自身の胸に手を置いて空中に映し出した装備ステータス。それを見たクラス中の生徒は固唾を呑んで、王が王たる所以を思い知らされる。
『王(キング)』にしか装備が許されない。チート級の装備を目の当たりにして。
もちろん、驚いている中には火憐も存在する。彼女は俺の『スキル』の事を詳しくは知らない。
だから鮫島の装備ステータスを見て驚くのだ。一体どれほどの攻撃力を有しているのかと……。俺にとっては大したことないステータスだけどな。
そんな状況で俺だけはそれを笑いながら鮫島に微笑みかけた。皮肉たっぷりな言葉で。
「そんなに強くなったなら、なんで助けに戻って来なかったのさ……怖くて逃げたの?」
「はぁ?……」
俺達は睨(にら)み合った。
俺の挑発に鮫島が乗ってきたのだ。俺怒りと鮫島の自尊心がぶつかり合う。
そんな火花散らすような視線のぶつかり合いに終止符を打ったのは、鮫島の発言だった。
「奴隷。お前生意気だな。俺と戦えよ……どれだけ強いか教えてやるよぉ」
「……望むところだ」
鮫島の発言にも驚かされるが、何よりも驚愕したのは俺の返答だろう。奴隷が王に勝つ事などあり得ない。
クラス中の生徒はステータスから俺の表情へと視線を移した。
この男は頭がおかしくなったのか?それとも、勢いで勝負を引き受けてしまったのか?様々な推測をクラスメイトが頭の中で繰り広げているような不思議な顔だ。
しかしそんな事は無意味。
俺の表情から、読み取れるはずは無いのだから……。
俺の表情は恐怖で怯えるでもなく、後悔に顔を歪めているでもなく、ただ微笑んでいるだけなのだから。
1
あなたにおすすめの小説
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる