チートスキルと無限HP!〜いじめられっ子は最弱職業だが、実は地上最強〜

ボルメテウス

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第4章過去との決別

38愚王のプライド

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 ざわつく教室内。それを作り出したのは鮫島というヤンキーだ。俺と火憐を見捨てて逃げ出した卑怯者。
 そんな彼がダンジョン内で化け物を打ち倒したとのたまわっているのだ。
 ちゃんちゃらおかしいではないか。


(あいつは何を言ってるんだ?)


 俺と火憐の表情は怒りを通り越して呆れている。しかし俺はある事に疑問を持った。だから机に頬杖をついている火憐に向かって質問をしたんだ。


「火憐、どうして鮫島はあんなに自信を持っているんだ? 昨日ダンジョンで全く歯がたたなかったじゃないか」
「私も最初はそう思ったんだけどね。『装備品』を手に入れたらしいわよ」
「氷華の鎧みたいなやつか」
「そんな感じね。鮫島が装備していたのは鎧というより、王族が着ているような豪華なモノだったけど」
「戦闘用じゃないのかな?」
「それは分からないわね」


 俺と火憐は2人して頭を傾(かし)げていた。装備品について全く知識が無いので仕方がない。
 氷華に聞いておくべきだったと、俺は大きなため息をついたんだ。
 そうしていると鮫島がいる方向から大きな声が聞こえた。あいつは俺が来たことに気づいたみたいだ。


「その声は奴隷か?!」


 鮫島の大きな声に教室が静まり返る。
 そのまま鮫島は人混みをかき分けて俺の視界に収まる位置まで出てきた。
 その姿は頭の上に王冠、青色の鮮やかなマントを身に纏(まと)い、上も下も王族が着ているような艶のある布で作られ、指や首には装飾品が付けられていた。
 まるで王様のような格好にも俺は動じずに言葉を続けた。驚きよりも憎しみが優ったからだ。


「鮫島君。よく学校にこれたね。そんな変な格好して」
「生意気だぞ! 奴隷のくせによぉ。まぁ、あの後生きて帰ってきた事は褒めてやるよ」
「そっちこそ、よく帰ってこれたね」
「あぁ……化け物に遭遇しかけてな。何回も死ぬかと思ったよ……でもな! 偶然、身を隠すために入った横穴を進むとがあったんだよぉ」


 鮫島は顔を前に突き出して、自らの装備品に親指を突き立ててニヤついている。
 対する俺は自慢げな表情を見て顔を伏せた。恐れているのではない怒りが収まらないのだ。
 唇を震わせながら再び前を向いた。


(自慢のつもりか? 俺だけじゃなくて火憐まで見捨てた男が、よくそんな表情ができるな……)


 俺は怒りの瞳を鮫島にぶつけた。憎んでいるような、恨んでいるような……赤く燃えたぎる瞳で。
 しかし、鮫島の方も黙ってはいない。
 自らに向けられた殺意にも近い感触に自らのステータスを見せる事で威圧し返してきたんだ。


「どうだ奴隷! これが俺の手に入れた力だぁ」

 ――――――――――――――――――――――――――
 ○装備ステータス
 ●全装備…愚王ぐおうシリーズ
 ●装備可能な職業…『王(キング)』
 ●必要なレベル…100Lv.

 ●防具
 ・頭→暴君の王冠⚫︎全攻撃値×3
 ・胴→暴君のマント⚫︎全攻撃値×3
 ・腕→暴君の腕当て⚫︎全攻撃値×3
 ・腰→暴君の腰当て⚫︎全攻撃値×3
 ・足→暴君の脚当て⚫︎全攻撃値×3

 ●武具
 ・両腕→暴君の腕輪●装着時にLv100とする。 ――――――――――――――――――――――――――


 鮫島が自身の胸に手を置いて空中に映し出した装備ステータス。それを見たクラス中の生徒は固唾を呑んで、王が王たる所以を思い知らされる。
『王(キング)』にしか装備が許されない。チート級の装備を目の当たりにして。


 もちろん、驚いている中には火憐も存在する。彼女は俺の『スキル』の事を詳しくは知らない。
 だから鮫島の装備ステータスを見て驚くのだ。一体どれほどの攻撃力を有しているのかと……。俺にとっては大したことないステータスだけどな。
 そんな状況で俺だけはそれを笑いながら鮫島に微笑みかけた。皮肉たっぷりな言葉で。


「そんなに強くなったなら、なんで助けに戻って来なかったのさ……怖くて逃げたの?」
「はぁ?……」


 俺達は睨(にら)み合った。
 俺の挑発に鮫島が乗ってきたのだ。俺怒りと鮫島の自尊心プライドがぶつかり合う。
 そんな火花散らすような視線のぶつかり合いに終止符を打ったのは、鮫島の発言だった。


「奴隷。お前生意気だな。俺と戦えよ……どれだけ強いか教えてやるよぉ」
「……望むところだ」



 鮫島の発言にも驚かされるが、何よりも驚愕したのは俺の返答だろう。奴隷が王に勝つ事などあり得ない。
 クラス中の生徒はステータスから俺の表情へと視線を移した。
 この男は頭がおかしくなったのか?それとも、勢いで勝負を引き受けてしまったのか?様々な推測をクラスメイトが頭の中で繰り広げているような不思議な顔だ。


 しかしそんな事は無意味。
 俺の表情から、読み取れるはずは無いのだから……。
 俺の表情は恐怖で怯えるでもなく、後悔に顔を歪めているでもなく、ただ微笑ほほえんでいるだけなのだから。
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