チートスキルと無限HP!〜いじめられっ子は最弱職業だが、実は地上最強〜

ボルメテウス

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第6章過去転移

98ガリアの精鋭

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(王様に献上する?)

 レイヴン公の目的を聞いて蓮は目を捕捉した。
 彼はもう既に宰相なのである。これ以上、王様に媚びても位を上げる事など出来ないはずだ。
 蓮の疑惑の目がレイヴンを捉えた。


「その目はなんだ!?」
「これはこれは失礼しましたレイヴン伯爵。では、一つお尋ねしますがドラゴンの巣はどこに」


 蓮のその質問にレイヴンは顔をニヤつかせた。
 自らの依頼を受け入れてくれたと感じ取ったのだろう。乱暴な口調も悪魔のような笑みも、彼の表情からは消え去った。


「安心しなさい、私が全て案内しよう。しかし、ドラゴンの巣の場所は我が国の国家機密……もし、外に出てきても他言は無用ですよ」
「分かった」


 蓮は作り笑顔でそう答えた。
 しかし、まだ疑念は消えない、まず第一になぜ蓮のような奴隷を用いるほどにドラゴンの巣は簡単な場所なのだろうか、という点。
 もしそうじゃないなら、蓮のスキルがもう既にこの世界に知れ渡っているのかという疑問もある。


 ただ一つ分かったことがある。
 ダンフォールさんがわざわざ、あばら屋からの脱出に手間取っていたのは恐らく、ドラゴンの巣、と呼ばれるダンジョンの場所を探るためだったのだ。
 蓮が口に手を当てて考えていると、兵士がレイヴンに向かって声をあげた。



「もしかしてレイヴン伯爵。あなたが求めている薬って……」
「博識だなお嬢さん。私が欲しいのは、永龍草えいりゅうそう。不死の妙薬とされるシロモノだ」
「わあぁ。本当にあるんだ」


 兵士は先程までの涙は消えて急に明るくなった。それどころか、少年のように目をキラキラさせている。
 よほど薬について興味があるのだろう。
 蓮は驚いた後に兵士に話しかけた。


「あんた、薬について詳しいのか?」
「はい! もちろんです! 私は元々薬剤師を目指していたんです」
「じゃあなんで兵士なんかやってるんだ」
「そ、それは、聞かないでください……」


 兵士は急に落ち込んで地面へ座り込んでしまった。
 口を膨らませて木の棒でグリグリと地面をいじっている。どうやら拗ねているようだ。


「私だって本当は兵士なんてやりたくないですよ。薬剤師を目指してたのに、才能がなくて……うっ……」
「じゃあなんで兵士なんだ。他にもっと安全な仕事があるだろう」


 蓮の言う事はもっともだ。
 彼は腕を組んで、ハァ~、とため息をついている。先程彼女をとらえた時に思ったのだ。
 兵士として弱すぎると。
 しかし、彼女にもちゃんとした理由があったのだ。
 拗ねたと思っていると彼女は急に立ち上がり、また明るい表情で話しかけてきた。


「だって。兵士になったらダンジョンは行けるじゃないですか! そうすれば貴重な薬草を見ることが出来るんですよ!」
「あぁ。そうか」
「そうなんですよ~。特にドラゴンの巣なんか、噂によると……」


 彼女は蓮にグイグイ迫ってくる。
 体を押し付けて顔は息がかかるほど近い。


(この女。そんなに薬剤師になりたかったのか?)


 蓮は目を細めた後に彼女の肩を掴んで引き離した。


「まぁ、とにかく! 俺は行ってくるから」
「気をつけて下さいね。ドラゴンの巣食うダンジョンは非常に危険ですから」
「ん? 危険?」


 蓮の脳裏に疑問が浮かんだ。
 やはり、危険ではないか。奴隷が行ったとしても帰ってこれないのではないか?
 普通ならそう思う筈だ。


(なら、なぜレイヴン公は俺達を買った?)


 奴隷を買ってもただ金銭を失う事になるだけ、レイヴンにとって何のメリットも無い。
 なら、何が目的だ?――。


 疑惑の目がレイヴンを捉える。
 すると、その目に気付いた彼が答えた。


「ふふ。安心してください。ドラゴンの巣が非常に危険なダンジョンである事は十分承知しています」
「俺達じゃ力になれないぞ?」
「いえいえ、そんな事はありません。我がガリア帝国の精鋭も行かせますので」


 レイヴンはニコッと笑うと手招きして外へと導いた。
 しかし、蓮はそれに応じない。ダンフォールさんの意図を確かめる為にもこいつの話にはのりたい。だが子供は別だ。危険すぎる。


「子供達も連れて行くのか?」


 レイヴンの目を睨みつけてまた質問した。
 すると、ダルそうな顔をして答える。


「ふっ。まぁいいでしょう。その代わり、そこの兵士さん。あなたも来てください、その生意気な奴隷を監視する役目としてね」
「いいんですか!? 色んな薬草を採取しちゃおっかな~」
「ふふ。それもいいですな」


 話に割り込んできた兵士は、顔をニヤつかせたまま喜びのあまり両手を握りしめている。
 そんな彼女を見て、呆れた様子で蓮は言葉を発した。


「おいおい。さっき危険だっていってなかったか?」
「確かにそうですが、我が国の精鋭が付いてくるなら話は別です!」


 彼女は腕を組んで誇らしげに語る。


「精鋭?」
「はい! レイヴン公の言う精鋭とは恐らく……ガリア帝国が誇る対ダンジョンの最強パーティー。勇者御一行の事でしょう!」
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