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06願いの門
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「さ、着きましたよ」
リストとシャルル、2人がたどり着いた場所は王国の出入り口……願いの城門、いかなるモンスターの侵入も許されない。
レンガで形作られた城壁に、赤く輝く鉛の壁。
それを見てリストはただ驚愕していた。
「おい、何だよこれ」
「ふふっ」
リストの驚き様に、シャルルは両手を口に当てて微笑んでいる。どうやら立派な城門だと感じてもらえて嬉しいようだ。
シャルルが城門について説明を始めようとした時、城門の上から1人の人影が落ちてきた。
「シャルル代表。上からなんか落ちてきますよ」
「あ、来たようね」
「死ぬ気か?」
「大丈夫ですよ。彼は死にません」
高層ビルの屋上から飛び降りる距離を躊躇なく落ちてきた。やはり、衝撃の強さは計り知れないものであり、着地した地面が少しえぐれてしまっている。
それを見ながら独り言をブツブツ言った後、シャルルの呼びかけで気づいたようだ。
「ガリウスさん。お久しぶりです、オリエントとしてクエストを受けに行きたいのですが」
「お! シャルル新入りか? 転生者がついに振り分けられたのか」
「そうなんですよ~。これでギルド活動が再開できます」
落ちてきた人物は全身銀の鎧に身を包み、真っ黒な槍を携えていた。
顔だけは装備を外しており、立派な髭と歴戦の戦いを想像させる大きな傷が顔に刻み込まれていた。
年齢は70歳ほどであろうか。紳士のような雰囲気を出しながら、そのガリウスと呼ばれる人物はリストに話しかけてきた。
「新たな転生者よ。名は何という」
「リストです……あなたは?」
「わしは、ガリウス。ここで門番をしとる者だ、シャルルの父上には色々助けて貰っていてな。お主もオリエントの所属と言うのなら、困ったらわしを頼れ」
「ありがとうございます。あの、では早速なんですが」
「なんじゃ?」
「自分の職業、無職……なんですが、これって一体どういった装備が出来るんでしょうか」
「ん?」
ガリウスは大きく目を見開くと少し固まり、しばらくすると大きな声をあげて笑い始めた。
「ははははは。シャルルよ、面白い冗談を言える転生者が来たのだな」
「いえ、違うんですよガリウスさん。私も最初見た時、冗談だと思っていたんですけど」
「本当にそうなのか……リスト君だったかな? カードを見せてくれ」
「は、はい」
リストはポケットから、自身のステータスが記載されたカードを取り出すとガリウスに渡した。
先程も確認したがリストのステータスは以下の通りである。
名前【リスト】
職業【無職】
Lv.1
HP10/10
MP10/10
攻撃力10+20
防御力10+20
速力10
魔力10
●装備品
【木の棒】攻撃力・防御力ともにUP。
やはり、カードには【無職】とハッキリ記載されている。
それを見てガリウスは顎に手を当てると、顔を傾けた。
「これは一体全体どう言うことじゃ? 何も装備できないということなのか?」
「いえ、それがガリウスさん。初心者用装備の【木の棒】は装備出来たんですよ」
「【木の棒】……あぁ、全職業対象の装備品の事か」
ガリウスは目を瞑ると、カードをリストに返した。
「すまない。わしには分からんよ」
「いえ、ありがとうございます」
「さてシャルルよ、この状況だと討伐クエストに行くわけではないよな?」
「もちろんです! 今回は採集クエストを行う予定ですから」
「なるほどな。それなら良いだろう、では行って参れ」
ガリウスが槍の切っ先を城門へ向けると、けたたましい音を立てながら巨大な城門は開いた。
これまた壮大な光景である。
「この門は、依頼者の願いを叶える為の門だ。死にに行く為の門ではない、リストよ。生きて帰ってこいよ」
「ははは。ありがとうございます」
リストは苦笑いをしながらガリウスに会釈すると、シャルルと共に前に進んだ。
木々が生い茂る王国の外へと。
リストとシャルル、2人がたどり着いた場所は王国の出入り口……願いの城門、いかなるモンスターの侵入も許されない。
レンガで形作られた城壁に、赤く輝く鉛の壁。
それを見てリストはただ驚愕していた。
「おい、何だよこれ」
「ふふっ」
リストの驚き様に、シャルルは両手を口に当てて微笑んでいる。どうやら立派な城門だと感じてもらえて嬉しいようだ。
シャルルが城門について説明を始めようとした時、城門の上から1人の人影が落ちてきた。
「シャルル代表。上からなんか落ちてきますよ」
「あ、来たようね」
「死ぬ気か?」
「大丈夫ですよ。彼は死にません」
高層ビルの屋上から飛び降りる距離を躊躇なく落ちてきた。やはり、衝撃の強さは計り知れないものであり、着地した地面が少しえぐれてしまっている。
それを見ながら独り言をブツブツ言った後、シャルルの呼びかけで気づいたようだ。
「ガリウスさん。お久しぶりです、オリエントとしてクエストを受けに行きたいのですが」
「お! シャルル新入りか? 転生者がついに振り分けられたのか」
「そうなんですよ~。これでギルド活動が再開できます」
落ちてきた人物は全身銀の鎧に身を包み、真っ黒な槍を携えていた。
顔だけは装備を外しており、立派な髭と歴戦の戦いを想像させる大きな傷が顔に刻み込まれていた。
年齢は70歳ほどであろうか。紳士のような雰囲気を出しながら、そのガリウスと呼ばれる人物はリストに話しかけてきた。
「新たな転生者よ。名は何という」
「リストです……あなたは?」
「わしは、ガリウス。ここで門番をしとる者だ、シャルルの父上には色々助けて貰っていてな。お主もオリエントの所属と言うのなら、困ったらわしを頼れ」
「ありがとうございます。あの、では早速なんですが」
「なんじゃ?」
「自分の職業、無職……なんですが、これって一体どういった装備が出来るんでしょうか」
「ん?」
ガリウスは大きく目を見開くと少し固まり、しばらくすると大きな声をあげて笑い始めた。
「ははははは。シャルルよ、面白い冗談を言える転生者が来たのだな」
「いえ、違うんですよガリウスさん。私も最初見た時、冗談だと思っていたんですけど」
「本当にそうなのか……リスト君だったかな? カードを見せてくれ」
「は、はい」
リストはポケットから、自身のステータスが記載されたカードを取り出すとガリウスに渡した。
先程も確認したがリストのステータスは以下の通りである。
名前【リスト】
職業【無職】
Lv.1
HP10/10
MP10/10
攻撃力10+20
防御力10+20
速力10
魔力10
●装備品
【木の棒】攻撃力・防御力ともにUP。
やはり、カードには【無職】とハッキリ記載されている。
それを見てガリウスは顎に手を当てると、顔を傾けた。
「これは一体全体どう言うことじゃ? 何も装備できないということなのか?」
「いえ、それがガリウスさん。初心者用装備の【木の棒】は装備出来たんですよ」
「【木の棒】……あぁ、全職業対象の装備品の事か」
ガリウスは目を瞑ると、カードをリストに返した。
「すまない。わしには分からんよ」
「いえ、ありがとうございます」
「さてシャルルよ、この状況だと討伐クエストに行くわけではないよな?」
「もちろんです! 今回は採集クエストを行う予定ですから」
「なるほどな。それなら良いだろう、では行って参れ」
ガリウスが槍の切っ先を城門へ向けると、けたたましい音を立てながら巨大な城門は開いた。
これまた壮大な光景である。
「この門は、依頼者の願いを叶える為の門だ。死にに行く為の門ではない、リストよ。生きて帰ってこいよ」
「ははは。ありがとうございます」
リストは苦笑いをしながらガリウスに会釈すると、シャルルと共に前に進んだ。
木々が生い茂る王国の外へと。
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