【リメイク前】聖女は婚約破棄の上に追放されて、自由になりました。〜私は騎士と幸せを探しに行きますね〜

銀杏鹿

文字の大きさ
1 / 51
第一幕

01パラダイス・ロスト◇

しおりを挟む
◇◇◇◇◇◇◇◇

 私が叩き起こされて聞かされたのは、こんな言葉だった。

「もう聖女は不要だ。国から消えろ」

「お姉様ご心配なく、彼とは私が結婚しますの!」

 私を呼び出した二人、金髪碧眼の青年と桜色に髪の毛を染めた小柄な少女──異母兄弟であるハインリヒ第三王子、そして第二王女のアンナはそう告げた。


◇◇◇◇◇◇◇◇


「どういう…意味…?」

 私が下手な発音で聞き返すと、ハインリヒ様は舌打ちをした。

「……陛下亡き今、僕が作る国に古い制度はもはや不要だ。権威付けの為にでっち上げられた聖女なんて存在に頼る必要もない……無論、強制されたお前との婚約もな」

「……?お父様…亡くなった…?ハインリヒ様…国…作る…?つまり……?」
 
 突然の事で、何が何やら分からない。

 何で第三王子に国が継承される事になってるんだろう。

 ……第一、第二王子のお兄様達は?

「ダメですのお兄様、そんな言い方ではアホのお姉様は理解できませんの。"白痴"のお姉様でも、分かりやすく教えてやりますの!よーするに、外に出ても良いってことですの!」

 アンナは微笑みながら説明した。

 けど、何を要約したのか全然分からない。

「外へ……?」

「お姉様を閉じ込める役職も、怖ぁいお父様も"消え"ましたの!この帝国から出て行くことが出来ますの!めでたし!」

 今更、私を白痴扱いする事に何か思ったりしないけど……消えた……?これは……

「どうして…お父様…消えました?」


◇◇◇◇◇◇◇◇


「それはですね、お姉様。事故ですわ、事故!いやぁ、それは痛ましい事件でしたの!」

 何を言われているのか理解できなかった。

 ハインリヒは、皇帝になると言う。
 
 お父様……皇帝は事故で消えたと言う。

 そして、それを笑顔で話すアンナ。

 ……ああ、これは多分。

「……殺し──」

「あまり余計な言葉を口にするなよ、マナ」

 私の言葉を遮るハインリヒ。

 もう十分だった。

 ……殺したんだ、実の父親を。

 数少ない、血の繋がった私の家族を。

「どうして……!」

「説明する必要があるか?お前に?」

「知らない方が良いこともありますの」

「……っ」

 言うつもりは無いらしい。

 私は呆然と、ただ、父が亡くなった事実を感じていた。

 もう会えないと言う事実だけが、私の目の前にあった。

 ……呆然と理解していたのは、多分、これから、兄弟で皇帝の座を巡って戦争になる事だけ。

「……わかりました…神殿騎士…一人…連れて行きます…いいですね?」

 出られるなら早く出た方が良い、巻き込まれる前に。

「連中が一人減ったところで痛くも痒くもないですの、さっさと出て行くといいですの!」

「生かしておくだけで感謝しろ。まあ、宮殿の外に出たところで、暴君の娘が無事に国外まで行けるかは、知った事では無いが、くくっ」

 二人は勝ち誇ったような顔でそう言うけど、他人の心配より、自分の心配をした方が良いと思う。

──もう手遅れかもしれないけど。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します

スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」 眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。 隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。 エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。 しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。 彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。 「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」 裏切りへのカウントダウンが今、始まる。 スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

ゴースト聖女は今日までです〜お父様お義母さま、そして偽聖女の妹様、さようなら。私は魔神の妻になります〜

嘉神かろ
恋愛
 魔神を封じる一族の娘として幸せに暮していたアリシアの生活は、母が死に、継母が妹を産んだことで一変する。  妹は聖女と呼ばれ、もてはやされる一方で、アリシアは周囲に気付かれないよう、妹の影となって魔神の眷属を屠りつづける。  これから先も続くと思われたこの、妹に功績を譲る生活は、魔神の封印を補強する封魔の神儀をきっかけに思いもよらなかった方へ動き出す。

聖女の任期終了後、婚活を始めてみたら六歳の可愛い男児が立候補してきた!

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
23歳のメルリラは、聖女の任期を終えたばかり。結婚適齢期を少し過ぎた彼女は、幸せな結婚を夢見て婚活に励むが、なかなか相手が見つからない。原因は「元聖女」という肩書にあった。聖女を務めた女性は慣例として専属聖騎士と結婚することが多く、メルリラもまた、かつての専属聖騎士フェイビアンと結ばれるものと世間から思われているのだ。しかし、メルリラとフェイビアンは口げんかが絶えない関係で、恋愛感情など皆無。彼を結婚相手として考えたことなどなかった。それでも世間の誤解は解けず、婚活は難航する。そんなある日、聖女を辞めて半年が経った頃、メルリラの婚活を知った公爵子息ハリソン(6歳)がやって来て――。

【完結】捨てられた聖女は王子の愛鳥を無自覚な聖なる力で助けました〜ごはんを貰ったら聖なる力が覚醒。私を捨てた方は聖女の仕組みを知らないようで

よどら文鳥
恋愛
 ルリナは物心からついたころから公爵邸の庭、主にゴミ捨て場で生活させられていた。  ルリナを産んだと同時に公爵夫人は息絶えてしまったため、公爵は別の女と再婚した。  再婚相手との間に産まれたシャインを公爵令嬢の長女にしたかったがため、公爵はルリナのことが邪魔で追放させたかったのだ。  そのために姑息な手段を使ってルリナをハメていた。  だが、ルリナには聖女としての力が眠っている可能性があった。  その可能性のためにかろうじて生かしていたが、十四歳になっても聖女の力を確認できず。  ついに公爵家から追放させる最終段階に入った。  それは交流会でルリナが大恥をかいて貴族界からもルリナは貴族として人としてダメ人間だと思わせること。  公爵の思惑通りに進んだかのように見えたが、ルリナは交流会の途中で庭にある森の中へ逃げてから自体が変わる。  気絶していた白文鳥を発見。  ルリナが白文鳥を心配していたところにニルワーム第三王子がやってきて……。

【完結】婚約破棄して泥を投げつけた元婚約者が「無能」と笑う中、光り輝く幼なじみの王子に掠め取られました。

ムラサメ
恋愛
​「お前のような無能、我が家には不要だ。今すぐ消えろ!」 ​婚約者・エドワードのために身を粉にして尽くしてきたフィオナは、卒業パーティーの夜、雨の中に放り出される。 泥にまみれ、絶望に沈む彼女の前に現れたのは、かつての幼なじみであり、今や国中から愛される「黄金の王子」シリルだった。 ​「やっと見つけた。……ねえ、フィオナ。あんなゴミに君を傷つけさせるなんて、僕の落ち度だね」 ​汚れを厭わずフィオナを抱き上げたシリルは、彼女を自分の屋敷へと連れ帰る。 「自分には価値がない」と思い込むフィオナを、シリルは異常なまでの執着と甘い言葉で、とろけるように溺愛し始めて――。 ​一方で、フィオナを捨てたエドワードは気づいていなかった。 自分の手柄だと思っていた仕事も、領地の繁栄も、すべてはフィオナの才能によるものだったということに。 ボロボロになっていく元婚約者。美しく着飾られ、シリルの腕の中で幸せに微笑むフィオナ。 ​「僕の星を捨てた報い、たっぷりと受けてもらうよ?」 ​圧倒的な光を放つ幼なじみによる、最高に華やかな逆転劇がいま始まる!

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

処理中です...