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第二幕
28 サムウェア・ゼイ・キャント・ファインド・アス.1◇◆
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◇◇◇◇◇◇◇◇
夢を見た。
私の庭園が海底の様に、色取り取りの珊瑚で飾られ、埋め尽くされている夢だった。
壁に描いた海の生き物達が、絵から飛び出して泳ぎ回り、庭園の扉へ押し寄せて破り、外へ流れ出て行く。
扉から溢れた水流と波は、回廊を駆け巡って宮殿を満たし、宮殿はまるで海に沈んだ様に、海藻や珊瑚に覆われる。
宮殿にいた人々はその海の中で、それぞれ魚や海獣に変わって泳ぎ出す。
景色は蒼く染められ、波が宮殿から滝の様に溢れ出して降り注ぐ。
私の描いた庭園が外の世界に混ざり合っていく。
私はそれを眺めていた。
けれど、やがて泳ぎ回っていた者達から、枝の様な珊瑚が生えて固まり、動かなくなった。
宮殿は静寂に包まれていった。
珊瑚は灰になって砕け散った。
宮殿は灰色の埃に塗れた。
陸の上では生きていけないのだと、言われている様だった。
残ったのは寂寞だった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「……様……」
誰かが私を読んでいるような気がした。
「ん……?」
「マナ様!」
目を開けると、オードが私を心配そうに、覗き込んでいた。
「え……オード……?どうしたの……?」
「落ちた時の衝撃で二人とも気絶したらしい。俺は先に起きたんだが…マナ様が起きなくてな……」
「ここ…どこ?」
「下界の中間層、旧首都だ」
起き上がると、辺りは乱雑に積み上げられた鉄屑やら、何かの部品で埋め尽くされたガラクタの山だった。
◆◆◆◆◆◆◆◆
「……ここが…」
マナ様の目は相変わらず眠たげな目をしているが、いつもより少しだけ声色が明るく聞こえた。
「……外なんだ」
俺達が身を隠した場所は、積み上がったガラクタで雑然としていて、綺麗とは言い難い。
「……」
無言でスタスタと歩き回る彼女は、地面を足で突いたり、転がった鉄屑を触ったりしていた。
「危険だからあまり不用意に……」
「…大丈夫…私…子供…違う…」
俺にとって見慣れたガラクタの山でも、彼女にとっては見た事の無い光景なのだろう。
「あ……ケトス……」
瓦礫の前で眠っていた機海獣──今は俺達に襲い掛かった時の竜の姿──に気がつくと、マナ様は、その黒い装甲を撫でた。
「柔らかく…ない」
「◾︎◾︎……?」
機海獣は首を持ち上げ、マナ様を見た。
「大丈夫…これ?」
「問題ない、あの橋の一件からずっと言う事を聞いてくれている」
原因は全く分からない。マナ様とあの光に何か関係があるのだろうか?
「そう…よろしく…ね」
「◾︎◾︎◾︎」
機海獣は返事をするように唸ると、再び眠り始めた。
「ねぇ…オード…外って…みんな…同じ?」
「使えなくなった魔導具がみんな捨ててあるだけだ。もっと綺麗な場所を見せたかったが……この機体……《オルキヌス》は"ここ"だと飛べないからな」
マナ様は機海獣……オルキヌスを眺めて首を傾げた。
「…飛べない?…何で?」
「下層はイムラーナの流れが弱い。だから、大きい機海獣は殆ど飛べない。お陰で追手も直ぐには来られないがな」
「◾︎◾︎……」
鈍く唸るオルキヌス。イムラーナの力が弱い場所では彼ら機海獣の力は発揮できないのだ。
「そう…じゃあ…これから…どうするの?」
「飛べる場所まで行く。上空にイムラーナを集めている風車塔にな」
「でも、飛べる場所…高い位置…追手…くる?」
「ああ、だからあまり使われていない風車塔まで行かないとならない……だが、下層から上に登る道は帝国の監視がある」
「どうやって…行くの?」
「……まだ魔術があった頃の通路を使う他無いだろうな」
「魔術……」
そう呟いて、彼女は首に下げた暗い虹色の宝石を眺めた。
「どうしたんだ?」
「ううん…何でもない」
宝石を見つめる彼女の瞳。
俺はその意味をすぐに理解することが出来なかった。
夢を見た。
私の庭園が海底の様に、色取り取りの珊瑚で飾られ、埋め尽くされている夢だった。
壁に描いた海の生き物達が、絵から飛び出して泳ぎ回り、庭園の扉へ押し寄せて破り、外へ流れ出て行く。
扉から溢れた水流と波は、回廊を駆け巡って宮殿を満たし、宮殿はまるで海に沈んだ様に、海藻や珊瑚に覆われる。
宮殿にいた人々はその海の中で、それぞれ魚や海獣に変わって泳ぎ出す。
景色は蒼く染められ、波が宮殿から滝の様に溢れ出して降り注ぐ。
私の描いた庭園が外の世界に混ざり合っていく。
私はそれを眺めていた。
けれど、やがて泳ぎ回っていた者達から、枝の様な珊瑚が生えて固まり、動かなくなった。
宮殿は静寂に包まれていった。
珊瑚は灰になって砕け散った。
宮殿は灰色の埃に塗れた。
陸の上では生きていけないのだと、言われている様だった。
残ったのは寂寞だった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「……様……」
誰かが私を読んでいるような気がした。
「ん……?」
「マナ様!」
目を開けると、オードが私を心配そうに、覗き込んでいた。
「え……オード……?どうしたの……?」
「落ちた時の衝撃で二人とも気絶したらしい。俺は先に起きたんだが…マナ様が起きなくてな……」
「ここ…どこ?」
「下界の中間層、旧首都だ」
起き上がると、辺りは乱雑に積み上げられた鉄屑やら、何かの部品で埋め尽くされたガラクタの山だった。
◆◆◆◆◆◆◆◆
「……ここが…」
マナ様の目は相変わらず眠たげな目をしているが、いつもより少しだけ声色が明るく聞こえた。
「……外なんだ」
俺達が身を隠した場所は、積み上がったガラクタで雑然としていて、綺麗とは言い難い。
「……」
無言でスタスタと歩き回る彼女は、地面を足で突いたり、転がった鉄屑を触ったりしていた。
「危険だからあまり不用意に……」
「…大丈夫…私…子供…違う…」
俺にとって見慣れたガラクタの山でも、彼女にとっては見た事の無い光景なのだろう。
「あ……ケトス……」
瓦礫の前で眠っていた機海獣──今は俺達に襲い掛かった時の竜の姿──に気がつくと、マナ様は、その黒い装甲を撫でた。
「柔らかく…ない」
「◾︎◾︎……?」
機海獣は首を持ち上げ、マナ様を見た。
「大丈夫…これ?」
「問題ない、あの橋の一件からずっと言う事を聞いてくれている」
原因は全く分からない。マナ様とあの光に何か関係があるのだろうか?
「そう…よろしく…ね」
「◾︎◾︎◾︎」
機海獣は返事をするように唸ると、再び眠り始めた。
「ねぇ…オード…外って…みんな…同じ?」
「使えなくなった魔導具がみんな捨ててあるだけだ。もっと綺麗な場所を見せたかったが……この機体……《オルキヌス》は"ここ"だと飛べないからな」
マナ様は機海獣……オルキヌスを眺めて首を傾げた。
「…飛べない?…何で?」
「下層はイムラーナの流れが弱い。だから、大きい機海獣は殆ど飛べない。お陰で追手も直ぐには来られないがな」
「◾︎◾︎……」
鈍く唸るオルキヌス。イムラーナの力が弱い場所では彼ら機海獣の力は発揮できないのだ。
「そう…じゃあ…これから…どうするの?」
「飛べる場所まで行く。上空にイムラーナを集めている風車塔にな」
「でも、飛べる場所…高い位置…追手…くる?」
「ああ、だからあまり使われていない風車塔まで行かないとならない……だが、下層から上に登る道は帝国の監視がある」
「どうやって…行くの?」
「……まだ魔術があった頃の通路を使う他無いだろうな」
「魔術……」
そう呟いて、彼女は首に下げた暗い虹色の宝石を眺めた。
「どうしたんだ?」
「ううん…何でもない」
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俺はその意味をすぐに理解することが出来なかった。
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