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第二幕
44 ゴット・ア・グルーヴィー・シング.1
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◆◆◆◆◆◆◆◆
雲の上、その上空よりか遥か高く、星の世界である暗闇との境界。
鯨はその境目を泳ぐ。
「本気でここまで飛ぶとか正気ですか?私が改造してなかったら死んでましたよ」
青白い顔をしたアリアが、呆れたように言う。
「長い間飛ぶつもりは無い。本来の速度よりも早く飛ぶために、ここから勢いをつける」
「なんで、そこまですんですかね?」
「約束の為だ」
「出来ない約束をしたくないなら、最初からしなきゃいいんですよ」
「俺にその選択はない」
「きゃー。カッコいいー。……けっ、クソガキがカッコつけてんじゃねぇよ。多少強いだけで、どうにかなったら世話はありませんよ」
修道服に似合わない悪態を吐く。
「男はカッコつけるものだ」
「お前がカッコつけるために反逆に巻き込まれた上に、帝国を支配する計画まで潰されてるんですよ?どれだけ準備したと思ってるんですか?魔術も使えないってのに」
とんでもないヤツを味方にしたものだ……
「……今は使えるんじゃないのか?」
「はぁ?いつも通り、魔力なんてまるで感じませんけど?」
「マナ様は使っていた……それにあの化け物や珊瑚は魔術じゃないのか?」
「魔術ってのは、世界に満ちる魔力を行使するんですよ。それがまるでないのに、どうやって使うんですかねぇ?」
「じゃあ、マナ様のアレは何だ……?」
「化け物だからに決まってるじゃないですか」
「……あのアンナが言ってたようにか?」
「はぁー、何で人間の世界で暴れてんですかねぇ、私のような人間にとっては迷惑も良いところですよ」
「……何を知ってるんだ、お前は」
「言ってたじゃありませんか、唯一の神を目覚めさせるとか、本気で世界を滅ぼすつもりですよ、アレ」
ヘラヘラしているアリア。
……マナ様が人間じゃ無い……だからなんだと言う。
「……で、オード君。お前は何でそうまでして、あの化け物を助けたいんですかぁ?いいやこう言いましょうか、"あんた、あの子のなんなんですか?"」
「決まっている、俺はあの子の騎士だ、それ以上でも以下でもない」
「……はぁ、私は嘘吐きの反逆を手伝わないと行けないんですかぁ、いやですねぇ」
「嘘など言っていない」
「私は分かりますからぁ、人が嘘つく時の仕草ぐらい、余裕です」
……俺が嘘を……何を馬鹿な。
「くひひ、オード君。お前、自分の願いとか無いでしょう──いや、願うことが間違ってると思ってますねぇ?それで自分に嘘をついている」
「は……?何をでたらめな」
「人間の心理について、それなりに詳しいつもりですが、別に詳しくなくても分かるでしょうね。ぁー、こう言うの私恥ずかしくて見てられないんですよね、共感性羞恥って奴です」
訳が分からないことを……
俺が何の嘘をついているって言うんだ?
◆◆◆◆◆◆◆◆
「あ、そうだ。とぼけてるところ悪いですが、どうやらアンナっぽい化け物に、この機体、深傷を負わされてるみたいですよぉ」
「程度は?」
「安心してください、辛うじて致命傷で済みました」
「……冗談は嫌いだ」
「あと少ししたら、ディスコルディアは揚力を失って墜落します」
「なぜ言わなかった!」
「え?なんで脅してきた相手にそんなこと言わないと行けないんですか?私が不幸になったのに、お前がのうのうとしてるとか、許せないでしょ?」
「いい性格してるな、お前」
「ありがとうございます!よく言われるんですよぉ~」
「くっ、予定には早いが今から降りるぞ!」
「あ、私は手伝いませんので。ここでオード君が死ぬ気で頑張ってるのを眺めてますね!」
「本気で女に腹が立ったのは、人生でこれが二度目だな」
「それは光栄な事ですねぇ!」
などと言っている間に、ディスコルディアは操縦するまでもなく下降し始める。
「間に合えよっ!」
「きゃー。頑張れー。」
真横でおちょくってくるアリア。
「だめだ!舵がまるで効かない!」
「ディスコルディアって結構早いですよ。それに落ちる速度まで足されて、無事で済みますかぁ?」
外に見える空の景色はゆっくりとしたものだったが、実際の速さは尋常じゃないのは間違いない。
「済むわけが……」
舵が効かないままでは、不時着は不可能だ。
なす術は無い。
「いや、まだフォルトゥーナがあるな」
「あれって二人乗れますか?」
「なんで当たり前のように乗るつもりなんだ……?」
「えっ、ここで私を見殺しにするような男が、カッコつけるとか抜かすんですか?死んだ方がいいですよ、そんな奴」
と、言っている間にも見える景色は加速していく。
「不本意だが、仕方ない……いくぞ!」
「きゃー。カッコいいー。あ、私走ったり出来ないんで、抱えて貰えますかぁ?」
「なんなんだお前……」
ふざけた奴だが、一応は元同僚だ……放置したら目覚めが悪い。
◆◆◆◆◆◆◆◆
「何とか……なったか……それにしても……」
フォルトゥーナに乗って、墜落寸前のディスコルディアから抜け出した。
墜落したディスコルディアは派手に地面を吹き飛ばし、大地に窪みを作った。
形は残ったが、もう動けそうになかった。
「チッ。オード君も大人しく死んでおけばよかったものを」
「その時はお前も死んでるからな」
「自分だけ助かる方法くらい用意しておくものですよぉ?なんなら、お前が一人でフォルトゥーナに乗ったら、ディスコルディアを直して一人で帝国に帰りましたし」
「直せるなら、何故」
「ディスコルディアは、イムラーナの流れや波に与える影響が大きすぎるので、辿れば位置がバレます。このままだと必ず追いつかれます。お前が私を置いていくようなら、普通に七元徳としてお前を始末して、復帰するだけ。そうじゃないなら、ここで痕跡を消すのが妥当です」
「お前を信用しない方がいいと言うことだけは分かったよ」
「そうですか?私はオード君が信用に足る人間だと言うことは分かりましたよぉ?」
もっと御し易い奴を味方にした方が良かったかもしれない。
雲の上、その上空よりか遥か高く、星の世界である暗闇との境界。
鯨はその境目を泳ぐ。
「本気でここまで飛ぶとか正気ですか?私が改造してなかったら死んでましたよ」
青白い顔をしたアリアが、呆れたように言う。
「長い間飛ぶつもりは無い。本来の速度よりも早く飛ぶために、ここから勢いをつける」
「なんで、そこまですんですかね?」
「約束の為だ」
「出来ない約束をしたくないなら、最初からしなきゃいいんですよ」
「俺にその選択はない」
「きゃー。カッコいいー。……けっ、クソガキがカッコつけてんじゃねぇよ。多少強いだけで、どうにかなったら世話はありませんよ」
修道服に似合わない悪態を吐く。
「男はカッコつけるものだ」
「お前がカッコつけるために反逆に巻き込まれた上に、帝国を支配する計画まで潰されてるんですよ?どれだけ準備したと思ってるんですか?魔術も使えないってのに」
とんでもないヤツを味方にしたものだ……
「……今は使えるんじゃないのか?」
「はぁ?いつも通り、魔力なんてまるで感じませんけど?」
「マナ様は使っていた……それにあの化け物や珊瑚は魔術じゃないのか?」
「魔術ってのは、世界に満ちる魔力を行使するんですよ。それがまるでないのに、どうやって使うんですかねぇ?」
「じゃあ、マナ様のアレは何だ……?」
「化け物だからに決まってるじゃないですか」
「……あのアンナが言ってたようにか?」
「はぁー、何で人間の世界で暴れてんですかねぇ、私のような人間にとっては迷惑も良いところですよ」
「……何を知ってるんだ、お前は」
「言ってたじゃありませんか、唯一の神を目覚めさせるとか、本気で世界を滅ぼすつもりですよ、アレ」
ヘラヘラしているアリア。
……マナ様が人間じゃ無い……だからなんだと言う。
「……で、オード君。お前は何でそうまでして、あの化け物を助けたいんですかぁ?いいやこう言いましょうか、"あんた、あの子のなんなんですか?"」
「決まっている、俺はあの子の騎士だ、それ以上でも以下でもない」
「……はぁ、私は嘘吐きの反逆を手伝わないと行けないんですかぁ、いやですねぇ」
「嘘など言っていない」
「私は分かりますからぁ、人が嘘つく時の仕草ぐらい、余裕です」
……俺が嘘を……何を馬鹿な。
「くひひ、オード君。お前、自分の願いとか無いでしょう──いや、願うことが間違ってると思ってますねぇ?それで自分に嘘をついている」
「は……?何をでたらめな」
「人間の心理について、それなりに詳しいつもりですが、別に詳しくなくても分かるでしょうね。ぁー、こう言うの私恥ずかしくて見てられないんですよね、共感性羞恥って奴です」
訳が分からないことを……
俺が何の嘘をついているって言うんだ?
◆◆◆◆◆◆◆◆
「あ、そうだ。とぼけてるところ悪いですが、どうやらアンナっぽい化け物に、この機体、深傷を負わされてるみたいですよぉ」
「程度は?」
「安心してください、辛うじて致命傷で済みました」
「……冗談は嫌いだ」
「あと少ししたら、ディスコルディアは揚力を失って墜落します」
「なぜ言わなかった!」
「え?なんで脅してきた相手にそんなこと言わないと行けないんですか?私が不幸になったのに、お前がのうのうとしてるとか、許せないでしょ?」
「いい性格してるな、お前」
「ありがとうございます!よく言われるんですよぉ~」
「くっ、予定には早いが今から降りるぞ!」
「あ、私は手伝いませんので。ここでオード君が死ぬ気で頑張ってるのを眺めてますね!」
「本気で女に腹が立ったのは、人生でこれが二度目だな」
「それは光栄な事ですねぇ!」
などと言っている間に、ディスコルディアは操縦するまでもなく下降し始める。
「間に合えよっ!」
「きゃー。頑張れー。」
真横でおちょくってくるアリア。
「だめだ!舵がまるで効かない!」
「ディスコルディアって結構早いですよ。それに落ちる速度まで足されて、無事で済みますかぁ?」
外に見える空の景色はゆっくりとしたものだったが、実際の速さは尋常じゃないのは間違いない。
「済むわけが……」
舵が効かないままでは、不時着は不可能だ。
なす術は無い。
「いや、まだフォルトゥーナがあるな」
「あれって二人乗れますか?」
「なんで当たり前のように乗るつもりなんだ……?」
「えっ、ここで私を見殺しにするような男が、カッコつけるとか抜かすんですか?死んだ方がいいですよ、そんな奴」
と、言っている間にも見える景色は加速していく。
「不本意だが、仕方ない……いくぞ!」
「きゃー。カッコいいー。あ、私走ったり出来ないんで、抱えて貰えますかぁ?」
「なんなんだお前……」
ふざけた奴だが、一応は元同僚だ……放置したら目覚めが悪い。
◆◆◆◆◆◆◆◆
「何とか……なったか……それにしても……」
フォルトゥーナに乗って、墜落寸前のディスコルディアから抜け出した。
墜落したディスコルディアは派手に地面を吹き飛ばし、大地に窪みを作った。
形は残ったが、もう動けそうになかった。
「チッ。オード君も大人しく死んでおけばよかったものを」
「その時はお前も死んでるからな」
「自分だけ助かる方法くらい用意しておくものですよぉ?なんなら、お前が一人でフォルトゥーナに乗ったら、ディスコルディアを直して一人で帝国に帰りましたし」
「直せるなら、何故」
「ディスコルディアは、イムラーナの流れや波に与える影響が大きすぎるので、辿れば位置がバレます。このままだと必ず追いつかれます。お前が私を置いていくようなら、普通に七元徳としてお前を始末して、復帰するだけ。そうじゃないなら、ここで痕跡を消すのが妥当です」
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