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第一幕
05.
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"すぐ戻れるように"離れるフリをして、物陰に隠れた。
すれ違ったのは大人しそうな女の子で、髪は薄桃色がかった金髪だった。
……この宮殿にいるということは、多分後宮の子なんでしょうけど。
知らない間に、また後宮の人数を増やして……今更その程度で怒りはしないけど、あまりいい気分はしない。
「なあ、いいだろう?」
「いいえ……ご了承下さい……」
しかし、何やら不穏な空気。
体調が優れないなら流石に、王からの誘いでも断る事は問題ない筈だけど……
「なんだと、俺の言葉に逆らうのか?」
ああ、ダメだわ、こりゃ。止めよう。
「陛下、おやめください。拒否するという事は理由があるのでしょう、陛下もご存知の筈では?」
「……俺に口答えするつもりか?おい、誰ぞ!こいつを牢へ連れて行け!」
兵士達が集まってくる。
うわぁ、すっかりご立派になられた事で……
「ならば、私はここで死にます!その意味を問うまでもなくお分かりでしょう!」
剣を抜いて、私の喉へ突き立てる。
私がここで死んだと分かれば、同盟関係もお終いだ。
そうでなくても、一応、形上は私の国からの"好意"でここにいる事になっているのだから、幽閉も殺害もできやしないはず。
「くそ、なんでどいつも、こいつも思い通りにならないんだ!おい、おまえら、娘ともども、適当に"分からせて"おけ、俺は寝る!」
ちょっと酷すぎる……これはお灸を据えてやらないと。
「……は!」
「くれぐれも殺すな!」
兵士達の一瞬の間が空いた返事を聞くと、ナローシュは、ふて寝しに去っていった。
見送った兵達は、私に向けて剣を構える。
彼らは何故か、最初から私を囲ったりはしていない。
武人としての誠実か、それとも普段、横並びで進軍する戦列歩兵の性なのか分からないけど、こちらとしては助かる。
「さて……こんな事で怪我をするのも、お互い損じゃありませんか?」
私も剣を抜いて、応戦の構えを取る。
「いやいや、美少年君。我々、"不死隊"に一万人もいれば、中には陛下の取り立てられた"新人"にキチンと"ご挨拶"しないと気が済まない者もいてな。我々も多忙であるし……もしも納得しうる"理由"があれば、後に回しても構わないのだ。例えば──財布の落し物があって至急、届けなければならない、だとか」
金を出せば見逃す、かな。舐められたものだ。
……それにしても何が"不死隊"ですか。
いくら一昔前に、他国を脅かしたとは言っても、最近は負け続きでしょうが。
人数で威圧するだけの連中が図に乗って、揺すりとは。
ナローシュ様の守護を任されておきながら、何という体たらく、これは許しがたい。
「落とし物の受け渡しなぞ、小間使いの仕事を、貴兄らに任せるわけにも参りますまい。ならば私がその、財布とやらを届けて差し上げてもよろしいのですが、持ち主はどちらに?酒場か、水茶屋か、いや或いは──娼館であるかもしれませんが」
どうせ使い途はそれしかないでしょう?
「貴様──」
男は俄かに怒りを顔に浮かべた。
「もし、そちらのお嬢さんのように"体調が優れない"のでしたら、誘いを断るのも、また赦された行為ではありますが──いかが致しますか?」
どうせ私を殺す事は出来ないし、こんな兵士を一人二人斬ったところで、彼らの言う通り、一万人もいるんだから、幾らでも補充はできる……いや、流石に殺すつもりはないけど。
「生意気な小僧が──」
激昂した隊長格の男が、大振りで切り込んでくる。
「……参りましたね」
本当に。
──本当に自分達が"分からせる側"だと思ってるなんて。
すれ違ったのは大人しそうな女の子で、髪は薄桃色がかった金髪だった。
……この宮殿にいるということは、多分後宮の子なんでしょうけど。
知らない間に、また後宮の人数を増やして……今更その程度で怒りはしないけど、あまりいい気分はしない。
「なあ、いいだろう?」
「いいえ……ご了承下さい……」
しかし、何やら不穏な空気。
体調が優れないなら流石に、王からの誘いでも断る事は問題ない筈だけど……
「なんだと、俺の言葉に逆らうのか?」
ああ、ダメだわ、こりゃ。止めよう。
「陛下、おやめください。拒否するという事は理由があるのでしょう、陛下もご存知の筈では?」
「……俺に口答えするつもりか?おい、誰ぞ!こいつを牢へ連れて行け!」
兵士達が集まってくる。
うわぁ、すっかりご立派になられた事で……
「ならば、私はここで死にます!その意味を問うまでもなくお分かりでしょう!」
剣を抜いて、私の喉へ突き立てる。
私がここで死んだと分かれば、同盟関係もお終いだ。
そうでなくても、一応、形上は私の国からの"好意"でここにいる事になっているのだから、幽閉も殺害もできやしないはず。
「くそ、なんでどいつも、こいつも思い通りにならないんだ!おい、おまえら、娘ともども、適当に"分からせて"おけ、俺は寝る!」
ちょっと酷すぎる……これはお灸を据えてやらないと。
「……は!」
「くれぐれも殺すな!」
兵士達の一瞬の間が空いた返事を聞くと、ナローシュは、ふて寝しに去っていった。
見送った兵達は、私に向けて剣を構える。
彼らは何故か、最初から私を囲ったりはしていない。
武人としての誠実か、それとも普段、横並びで進軍する戦列歩兵の性なのか分からないけど、こちらとしては助かる。
「さて……こんな事で怪我をするのも、お互い損じゃありませんか?」
私も剣を抜いて、応戦の構えを取る。
「いやいや、美少年君。我々、"不死隊"に一万人もいれば、中には陛下の取り立てられた"新人"にキチンと"ご挨拶"しないと気が済まない者もいてな。我々も多忙であるし……もしも納得しうる"理由"があれば、後に回しても構わないのだ。例えば──財布の落し物があって至急、届けなければならない、だとか」
金を出せば見逃す、かな。舐められたものだ。
……それにしても何が"不死隊"ですか。
いくら一昔前に、他国を脅かしたとは言っても、最近は負け続きでしょうが。
人数で威圧するだけの連中が図に乗って、揺すりとは。
ナローシュ様の守護を任されておきながら、何という体たらく、これは許しがたい。
「落とし物の受け渡しなぞ、小間使いの仕事を、貴兄らに任せるわけにも参りますまい。ならば私がその、財布とやらを届けて差し上げてもよろしいのですが、持ち主はどちらに?酒場か、水茶屋か、いや或いは──娼館であるかもしれませんが」
どうせ使い途はそれしかないでしょう?
「貴様──」
男は俄かに怒りを顔に浮かべた。
「もし、そちらのお嬢さんのように"体調が優れない"のでしたら、誘いを断るのも、また赦された行為ではありますが──いかが致しますか?」
どうせ私を殺す事は出来ないし、こんな兵士を一人二人斬ったところで、彼らの言う通り、一万人もいるんだから、幾らでも補充はできる……いや、流石に殺すつもりはないけど。
「生意気な小僧が──」
激昂した隊長格の男が、大振りで切り込んでくる。
「……参りましたね」
本当に。
──本当に自分達が"分からせる側"だと思ってるなんて。
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