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第二幕
04.
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「アルサメナ様とベルミダ……」
二人をどうにかして、くっつけて仕舞えば、ナローシュを悔しがらせられる筈──
「──誰だ?私の後をつけているのは」
夜半、王宮を抜け出して王弟殿下とその従者が待つ小屋へ向かおうとすると、私の後を尾ける足音に気が付く。
「……あら、異国の騎士様。今晩は、今宵はどちらへ?」
この間の子だった。
昼間の偽花売りほどじゃないけど、この人もだいぶ危険な気配がする。
「……散歩ですよ。お嬢さん」
「なら……ご一緒させて頂けませんか?」
ここで断ったら余計怪しいかな。
「もちろん、構いませんが……ナローシュ様は大丈夫なのでしょうか」
「……今ここにいるのは私達だけですよ?」
そう言って腕を組んでくる。
「……どうやら、そのようですね」
……適当に歩いたら王宮に戻るフリしてもう一度外に出るしかなさそう。
それにしても、一体何が目的なんだろこの子は……
◇◇◇◇◇◇◇◇
冷めた大地の上に吹く静かな風、隣に寄り添う薄桃色の髪。
何となしに見上げる夜天には月と星が瞬く。
私の方から彼女に振る話題はない、むしろ何を話せというのさ。
月が綺麗ですね、とでも言えばいいのかな?
……ナローシュじゃあるまいし。
「……騎士様、以前、貴方にどこかでお会いしましたか?」
絶妙な気まずさに遠くを眺めていると、不思議な事を聞いてきた。
「……この間が初めてだったかと」
「そう……だったのですね」
何か含みのあるような反応をする。
……やっぱりバレてるんじゃ……?
でも、他の誰も気づいてなかったしなぁ……
「ところで、先程誰かのお名前をおっしゃっていませんでしたか?」
「…ああ、いえ。王弟殿下と王の意中の女性が気の毒だな、と」
一瞬、どきりとしてしまったけど、口が上手いこと誤魔化してくれた。
「……ベルミダ……それにアルサメナ様の事ですか?」
「ベルミダ様はお名前しか知りませんが、アルサメナ様は追放された、という事は聞いたので」
「私、ベルミダの事は、よく存じ上げておりますわ」
「本当ですか?宜しければ教えて頂きたいのですが……」
「ここにいない人の話はしたくありませんの」
そう言って悪戯っぽい笑みを浮かべる。
自分から言っておいて……めんどくさいなぁこの人。
でも、あの胡散臭い従者相手に何の情報もなしで向かったら、何となく危険な気がするし。
「私の目的の為には絶対に必要な情報なのです、どうか教えて頂きたい」
「……そこまでおっしゃるのでしたら」
そうして、彼女から何とか聞き出すことができたベルミダという娘の情報は、
将軍の娘で、
同じくらいの姉妹がいて、
アルサメナ様と愛し合っていて、
大人しく、
本を読むのが好きだとか、
特に叙事詩を好んでいるらしい。
しかし、今はナローシュの王宮に住んでいて
後宮でもないから多方面から睨まれている。
アルサメナ様からの便りも来ていないそうだ。
「そして、今は新しい恋をしてしまったのかもしれません」
「……まさか、ナローシュ様に?」
「まさか。でもそれは叶わぬ夢でしょう、ナローシュ様に捕らえられている限りは」
「……そうですか。やはり許しては置けませんね」
一体あの人の我儘で何人が苦しめられているのだろう。本当にお灸を据えてやらねば。
「そんな事を言ってよろしいのですか?」
「今、ここにいるのは私達だけですから」
「ふふ、それもそうですね」
詳しい事はわからないけれど、この子もナローシュには何か、恨みがあるのだろう。
後宮に入って探る事ができない以上、今後何かしらの手助けになるかもしれない。
……妙に探られているような気配がするから、信用していいのか分からないけど。
二人をどうにかして、くっつけて仕舞えば、ナローシュを悔しがらせられる筈──
「──誰だ?私の後をつけているのは」
夜半、王宮を抜け出して王弟殿下とその従者が待つ小屋へ向かおうとすると、私の後を尾ける足音に気が付く。
「……あら、異国の騎士様。今晩は、今宵はどちらへ?」
この間の子だった。
昼間の偽花売りほどじゃないけど、この人もだいぶ危険な気配がする。
「……散歩ですよ。お嬢さん」
「なら……ご一緒させて頂けませんか?」
ここで断ったら余計怪しいかな。
「もちろん、構いませんが……ナローシュ様は大丈夫なのでしょうか」
「……今ここにいるのは私達だけですよ?」
そう言って腕を組んでくる。
「……どうやら、そのようですね」
……適当に歩いたら王宮に戻るフリしてもう一度外に出るしかなさそう。
それにしても、一体何が目的なんだろこの子は……
◇◇◇◇◇◇◇◇
冷めた大地の上に吹く静かな風、隣に寄り添う薄桃色の髪。
何となしに見上げる夜天には月と星が瞬く。
私の方から彼女に振る話題はない、むしろ何を話せというのさ。
月が綺麗ですね、とでも言えばいいのかな?
……ナローシュじゃあるまいし。
「……騎士様、以前、貴方にどこかでお会いしましたか?」
絶妙な気まずさに遠くを眺めていると、不思議な事を聞いてきた。
「……この間が初めてだったかと」
「そう……だったのですね」
何か含みのあるような反応をする。
……やっぱりバレてるんじゃ……?
でも、他の誰も気づいてなかったしなぁ……
「ところで、先程誰かのお名前をおっしゃっていませんでしたか?」
「…ああ、いえ。王弟殿下と王の意中の女性が気の毒だな、と」
一瞬、どきりとしてしまったけど、口が上手いこと誤魔化してくれた。
「……ベルミダ……それにアルサメナ様の事ですか?」
「ベルミダ様はお名前しか知りませんが、アルサメナ様は追放された、という事は聞いたので」
「私、ベルミダの事は、よく存じ上げておりますわ」
「本当ですか?宜しければ教えて頂きたいのですが……」
「ここにいない人の話はしたくありませんの」
そう言って悪戯っぽい笑みを浮かべる。
自分から言っておいて……めんどくさいなぁこの人。
でも、あの胡散臭い従者相手に何の情報もなしで向かったら、何となく危険な気がするし。
「私の目的の為には絶対に必要な情報なのです、どうか教えて頂きたい」
「……そこまでおっしゃるのでしたら」
そうして、彼女から何とか聞き出すことができたベルミダという娘の情報は、
将軍の娘で、
同じくらいの姉妹がいて、
アルサメナ様と愛し合っていて、
大人しく、
本を読むのが好きだとか、
特に叙事詩を好んでいるらしい。
しかし、今はナローシュの王宮に住んでいて
後宮でもないから多方面から睨まれている。
アルサメナ様からの便りも来ていないそうだ。
「そして、今は新しい恋をしてしまったのかもしれません」
「……まさか、ナローシュ様に?」
「まさか。でもそれは叶わぬ夢でしょう、ナローシュ様に捕らえられている限りは」
「……そうですか。やはり許しては置けませんね」
一体あの人の我儘で何人が苦しめられているのだろう。本当にお灸を据えてやらねば。
「そんな事を言ってよろしいのですか?」
「今、ここにいるのは私達だけですから」
「ふふ、それもそうですね」
詳しい事はわからないけれど、この子もナローシュには何か、恨みがあるのだろう。
後宮に入って探る事ができない以上、今後何かしらの手助けになるかもしれない。
……妙に探られているような気配がするから、信用していいのか分からないけど。
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