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第二幕
11.秘密の求愛者-5(※三人称視点)
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「ナローシュ様!」
アトランタは、扉を素早く叩き、部屋の主の返事も待たずに部屋の中へと飛び込んだ。
「……ど、どうしたんだ?そんなに慌てて」
「どうも、こうもありませんわ!一大事ですの!」
興奮しきったアトランタに面食らったナローシュは、それを咎めることもしなかった。
「あの!……本で!……暗号なんですの!大変なんです!」
アトランタは肩で息をしながら、ナローシュへ掴みかかり、目を回しながら、途切れ途切れに話す。
「わ、わかった、わかったから一旦落ち着いてくれ、一体何があったんだ……?」
流石のナローシュにも、ここまでの勢いで迫ってくる人間は誰一人としていなかったので、動揺しつつも、話を聞くしか他にできることはなかった。
王に掴みかかるような、本来なら狼藉であろう行為であるし、危険人物となるわけだが、ナローシュを探して、アトランタは一度この部屋に来ていたので、部屋の前で控えていた兵達は特に何も考えずに通していた。
「あの、あの!あのっ!それが……うっ……!ひゅーっ、ひゅーっ」
「お、おいっ!大丈夫かっ!?」
走り回った挙句、興奮しきったアトランタは、過呼吸になって倒れ、ナローシュが慌てて受け止める。
「ひゅーっ、わ、わたくし、死ぬのかしら……想いを遂げることもなくっ、ひゅーっ、ひゅーっ」
アトランタに特に重大な病はない。
「お、落ち着け、落ち着くんだアトランタ、先ずはゆっくり息を吐け、ゆっくりだぞ、いいな、興奮しすぎただけだ、これは病ではないぞ、ゆっくりだ」
「はぁー、すぅー、はぁー……落ち着きましたわ!」
回復は早かった。
「お、おお、それで、いったい何の用が……」
「あぁぁ!!」
起こされたアトランタは机に置かれた本と栞を見ると、驚きに声を上げる。
「──っ、耳元で叫ぶな……っ」
ナローシュはその高い声が直撃して耳を塞いでいた。
「その本ですの!ナローシュ様も暗号は見たのですのね?」
「ああ、そうだが……それが」
「ふふふ、何を隠しましょう、それ、私のなんですの!」
アトランタは机上の本と、栞を指差すと、誇らしげにそう言った。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「……?これが?お前の……?」
ナローシュは困惑していた。ベルミダから受け取った筈の、恋文の持ち主は、その妹であるアトランタだと言うのである。
「ええ!そうですの!これで私達の本当の気持ちもわかった事でしょう!」
その瞳には一点の曇りもなく、嘘をついているような気配は、ナローシュにカケラも感じさせなかった。
「ん?つまりどういうことだ」
「つまりも何もありませんわ!それが私のものであるという事実は、何も揺らぎませんの!」
アトランタは、興奮のあまり、誰が自分に贈った物なのか伝えていない事に気がついていなかった。
「なるほど……?これはベルミダを呼んだ方が良さそうだな」
「ええ!是非呼んで下さいませ!ふ、ふふ!」
ベルミダから受け取ったのだから、ナローシュがそう判断するのは、なにもおかしな事ではなかった。
だが、アトランタは、アルサメナが本当に愛しているのは自分なのだと指摘して、ナローシュが姉を追求する場が用意されるように思えていた。
そして、姉が王妃になり、自分が好きな相手と結ばれる風景を妄想していた。
アトランタは、扉を素早く叩き、部屋の主の返事も待たずに部屋の中へと飛び込んだ。
「……ど、どうしたんだ?そんなに慌てて」
「どうも、こうもありませんわ!一大事ですの!」
興奮しきったアトランタに面食らったナローシュは、それを咎めることもしなかった。
「あの!……本で!……暗号なんですの!大変なんです!」
アトランタは肩で息をしながら、ナローシュへ掴みかかり、目を回しながら、途切れ途切れに話す。
「わ、わかった、わかったから一旦落ち着いてくれ、一体何があったんだ……?」
流石のナローシュにも、ここまでの勢いで迫ってくる人間は誰一人としていなかったので、動揺しつつも、話を聞くしか他にできることはなかった。
王に掴みかかるような、本来なら狼藉であろう行為であるし、危険人物となるわけだが、ナローシュを探して、アトランタは一度この部屋に来ていたので、部屋の前で控えていた兵達は特に何も考えずに通していた。
「あの、あの!あのっ!それが……うっ……!ひゅーっ、ひゅーっ」
「お、おいっ!大丈夫かっ!?」
走り回った挙句、興奮しきったアトランタは、過呼吸になって倒れ、ナローシュが慌てて受け止める。
「ひゅーっ、わ、わたくし、死ぬのかしら……想いを遂げることもなくっ、ひゅーっ、ひゅーっ」
アトランタに特に重大な病はない。
「お、落ち着け、落ち着くんだアトランタ、先ずはゆっくり息を吐け、ゆっくりだぞ、いいな、興奮しすぎただけだ、これは病ではないぞ、ゆっくりだ」
「はぁー、すぅー、はぁー……落ち着きましたわ!」
回復は早かった。
「お、おお、それで、いったい何の用が……」
「あぁぁ!!」
起こされたアトランタは机に置かれた本と栞を見ると、驚きに声を上げる。
「──っ、耳元で叫ぶな……っ」
ナローシュはその高い声が直撃して耳を塞いでいた。
「その本ですの!ナローシュ様も暗号は見たのですのね?」
「ああ、そうだが……それが」
「ふふふ、何を隠しましょう、それ、私のなんですの!」
アトランタは机上の本と、栞を指差すと、誇らしげにそう言った。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「……?これが?お前の……?」
ナローシュは困惑していた。ベルミダから受け取った筈の、恋文の持ち主は、その妹であるアトランタだと言うのである。
「ええ!そうですの!これで私達の本当の気持ちもわかった事でしょう!」
その瞳には一点の曇りもなく、嘘をついているような気配は、ナローシュにカケラも感じさせなかった。
「ん?つまりどういうことだ」
「つまりも何もありませんわ!それが私のものであるという事実は、何も揺らぎませんの!」
アトランタは、興奮のあまり、誰が自分に贈った物なのか伝えていない事に気がついていなかった。
「なるほど……?これはベルミダを呼んだ方が良さそうだな」
「ええ!是非呼んで下さいませ!ふ、ふふ!」
ベルミダから受け取ったのだから、ナローシュがそう判断するのは、なにもおかしな事ではなかった。
だが、アトランタは、アルサメナが本当に愛しているのは自分なのだと指摘して、ナローシュが姉を追求する場が用意されるように思えていた。
そして、姉が王妃になり、自分が好きな相手と結ばれる風景を妄想していた。
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