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㊽ジェラルド視点
それからしばらく経ったある夜のこと。
寝間着に着替えたがまだ眠る気になれず、僕にしては強めの酒を舐めるように飲みながら、膝の上で寝そべるマーレを撫でていた。
マーレというのは、灰色の縞模様の雌猫だ。
お忍びで下町に遊びに行ったアーレンが拾ってきて、自分は遠征やら演習やらで城を離れることが多いから育てられない、と言って僕に押しつけてきたのだ。
最初は面倒だとしか思わなかったが、すぐに小さな仔猫の愛らしさに絆されてしまった。
今では僕の唯一の癒しと言っていいくらいの存在になっている。
ゴロゴロと喉をならすマーレに、自然と笑みが零れた。
「マーレ。きみがいてくれてよかったよ」
僕の家族は、きみ以外だれもいなくなってしまったからね。
きみだけは、ずっと側にいてくれるよね。
そう思いながら撫でていたのに、マーレはぱちっと目を開いて僕の膝から飛び降り、トコトコと庭に続く扉に向かった。
外に遊びに行きたいのだろうか。
もう少し一緒にいてほしいところだが、気まぐれな猫を縛ることもできない。
カリカリと扉をひっかくマーレに溜息をついて立ち上がると、ふいに扉が開かれた。
外にいる誰かがノックもせずに扉を開いたのだ。
第一王子である僕の部屋に、なんの断りもなく入ってくるとはどういうことだ。
まさか刺客?それにしては、マーレが全く警戒していない。
「久しいな、マーレ。俺を覚えているか」
それはとても聞き覚えのある声だった。
黒い羽毛に覆われた腕が扉の外から伸びて、ひょいとマーレを抱え上げた。
マーレもなんの抵抗もせず、むしろ嬉しそうに身を任せている。
「アーレン……!」
全身を覆う黒い羽毛、二対の大きな翼、鋭いかぎ爪のある足。
精霊の祝福により姿を変えたアーレンがそこにいた。
母上がこれを呪いと言っていた時は禍々しく見えたその姿も、真実を知った今は神々しくしか見えない。
「兄上も、お久しぶりです」
かつてもアーレンは、たまにこうやって僕の部屋に何の前触れもなく押しかけては、酒を飲んでとりとめもない話をしたりしていた。
そんな時、マーレはいつも僕ではなくアーレンの膝の上にいて、僕はそれがちょっと悔しかった。
マーレもアーレンのことが大好きなのだ。
アーレンは全く遠慮することなくずかずかと室内に入ってきて、当然のようにカウチに座った。
「アーレン、いったい、どうして」
「いろいろと大変だったようですね。新聞で読みましたよ」
ブリジットは病気で突然死、父上は退位して母上と一緒に隠居する、という内容の記事が新聞に載ったのは先週のことだった。
僕は現在、即位に向けて準備を進めていて、とても忙しい日々をおくってる。
「兄上にいいものを持ってきました」
膝の上にマーレを乗せて、アーレンは小脇に抱えた布袋から紙の束を取り出した。
「この前のことに加え、三百年前ナイジェルの時代に起こったことの記録です。その他にも、妖精やらドラゴンやら魔物やら、わかるだけ聞き出してまとめてあります」
「聞き出した?誰から?」
「この祝福を授けてくれた黒い大鷲の精霊ですよ。なんというか、意識をつなげて会話ができるようになったので」
「そんなことができるの!?」
「こういった情報も必要でしょう。次にドラゴンが現れる時のためにも」
「ありがとう、とても助かるよ……」
ざっと目を通すと、どれだけ調べてもわからなかったことが、痒い所に手が届くように網羅されている。
東の山脈での一連の出来事は、サミュエルの副官バーナードが詳細な報告を上げてくれた。
遠見や遠耳の祝福をもつ部下たちを適所に配置し、起こったことの全てを記録してくれていたのだが、それでもわからないことが多かった。
中でも、妖精がなにをしていたのか、ドラゴンの死体はなぜ消えてしまったのかなどは不明のままだった。
アーレンに問い合わせをしたくても、こちらから接触しないという約束を破るわけにもいかない。
僕も後世に中途半端な情報しか残せないのか、と忸怩たる思いでいたのだが、それが一気にまとめて解決してしまった。
こんなに有難いことはない。
「まだあります。次はこれです」
手渡されたのは、数枚のハンカチだった。
それぞれに刺繍が刺されていて、当然のように素晴らしい加護が付加されている。
「幸運、体力向上、生命力向上、解毒、疲労軽減……すごいな……」
「俺とナディアからの即位祝いだとでも思ってください」
「ありがとう。本当に、助かる……」
元々体が弱い僕は、精神的にも体力的にもかなり疲弊していた。
即位式まで体調を崩すわけにはいかないと思いつつも、近いうちに寝込んでしまいそうな気配がしていたのだが、このハンカチがあればそれを防ぐことができそうだ。
即位した後も、助けられ続けることになるだろう。
「それから……一つ、提案があります」
「提案?」
「もし、兄上が望むなら、なのですが……」
どこか気恥ずかしそうに言い淀んだアーレンに、僕は首を傾げた。
「月に一度、新月の夜に、こうやって会いに来ますよ」
願ってもない提案に、思わず目を見張った。
もう一生会えないと諦めていた弟に、月に一度でも会えるようになるのだ。
嬉しい。心の底から嬉しい。
「本当に!?でも……いいの?その、ナディアさんは」
「これはナディアからの提案です。兄上は大変な立場になるだろうから、たまに顔を見に行ってやれって言われまして」
「そうか……」
「俺の翼なら、エケルトからここまで二時間くらいです。たいした距離でもありません」
「そうか……そうなのか……」
年甲斐もなく涙が滲みそうになり、ぐっと堪えた。
兄として、弟の前で泣くわけにはいかない。
「ありがとう、とても嬉しいよ……是非、会いに来てほしい。新月の夜は、何としてでも時間を空けておくから。きみの好きな酒を準備しておくよ」
「それは有難い。できれば、ナディアの土産になるような、王都で有名な菓子なんかも頼みます」
「わかった。見繕っておこう……ああ、それにしても、ナディアさんは女神のようなひとだね」
アーレンが東の山脈に向かった後のナディアさんの様子も、護衛として残した騎士から報告を受けている。
祝福のことを除いても、ナディアさんは本当に得難い女性だ。
「そうでしょう?なにせ、俺の妻ですからね。兄上も早く相手を見つけて結婚するといいですよ」
「実は、まだ公表していないんだけど、即位後に結婚することになっているんだ」
「へぇ?俺の知ってる相手ですか?」
「セイル公国のロジーナ公女だよ。前に会ったことあるよね?」
「あのザルか!飲み比べで俺を負かした女を忘れるはずがない!」
「そんなこともあったね。懐かしいな」
「次の日、俺は二日酔いで死にかけた……そうか、あのザルが、オルランディア王妃になるのか……ザルだが、俺の見たところでは肝がすわっているし、頭も悪くない。いい王妃になってくれそうですね」
「僕もそう思うよ」
「ただし、酒は飲ませすぎないように!この城に備蓄している酒くらい、あの女なら三日で飲み尽くしてしまいますから!」
「それは大袈裟すぎるんじゃないか」
「大袈裟なんかではない!兄上はもっと現実を見なくては!あ、そういえば、ナディアの解毒の加護は、酒も消すんです。そのハンカチを持っていたら、どれだけ飲んでも酔いませんよ」
「そうなの!?そ、それは!……いい……こと?……なのかな?」
「状況次第でしょうね。まぁ、どう使うかは、自己責任ということで」
それから僕たちはいろんな話をした。
僕の今の生活のこと、マーレのこと、アーレンのエケルトでの生活のこと、ナディアさんのこと。
というか、アーレンの話の大半は惚気話だった。
アーレンをここまで惚気させるなんて、ナディアさんはやっぱり女神なのではないだろうか。
腹の探り合いもなく、言質をとられないように慎重に言葉を選ぶこともなく、事務的でもない、そんなただの雑談をするのは、僕にとっては本当に久しぶりのことだった。
早速ハンカチの加護が効果を発揮しているのか、しばらく続いていた頭痛もいつのまにか消えている。
アーレンのくだらない話に声を出して笑うたびに、長い間僕の心の中に重くたちこめていた暗雲が晴れていくようだった。
僕たちはそのまま夜が更けるのも忘れてしゃべり続けた。
寝間着に着替えたがまだ眠る気になれず、僕にしては強めの酒を舐めるように飲みながら、膝の上で寝そべるマーレを撫でていた。
マーレというのは、灰色の縞模様の雌猫だ。
お忍びで下町に遊びに行ったアーレンが拾ってきて、自分は遠征やら演習やらで城を離れることが多いから育てられない、と言って僕に押しつけてきたのだ。
最初は面倒だとしか思わなかったが、すぐに小さな仔猫の愛らしさに絆されてしまった。
今では僕の唯一の癒しと言っていいくらいの存在になっている。
ゴロゴロと喉をならすマーレに、自然と笑みが零れた。
「マーレ。きみがいてくれてよかったよ」
僕の家族は、きみ以外だれもいなくなってしまったからね。
きみだけは、ずっと側にいてくれるよね。
そう思いながら撫でていたのに、マーレはぱちっと目を開いて僕の膝から飛び降り、トコトコと庭に続く扉に向かった。
外に遊びに行きたいのだろうか。
もう少し一緒にいてほしいところだが、気まぐれな猫を縛ることもできない。
カリカリと扉をひっかくマーレに溜息をついて立ち上がると、ふいに扉が開かれた。
外にいる誰かがノックもせずに扉を開いたのだ。
第一王子である僕の部屋に、なんの断りもなく入ってくるとはどういうことだ。
まさか刺客?それにしては、マーレが全く警戒していない。
「久しいな、マーレ。俺を覚えているか」
それはとても聞き覚えのある声だった。
黒い羽毛に覆われた腕が扉の外から伸びて、ひょいとマーレを抱え上げた。
マーレもなんの抵抗もせず、むしろ嬉しそうに身を任せている。
「アーレン……!」
全身を覆う黒い羽毛、二対の大きな翼、鋭いかぎ爪のある足。
精霊の祝福により姿を変えたアーレンがそこにいた。
母上がこれを呪いと言っていた時は禍々しく見えたその姿も、真実を知った今は神々しくしか見えない。
「兄上も、お久しぶりです」
かつてもアーレンは、たまにこうやって僕の部屋に何の前触れもなく押しかけては、酒を飲んでとりとめもない話をしたりしていた。
そんな時、マーレはいつも僕ではなくアーレンの膝の上にいて、僕はそれがちょっと悔しかった。
マーレもアーレンのことが大好きなのだ。
アーレンは全く遠慮することなくずかずかと室内に入ってきて、当然のようにカウチに座った。
「アーレン、いったい、どうして」
「いろいろと大変だったようですね。新聞で読みましたよ」
ブリジットは病気で突然死、父上は退位して母上と一緒に隠居する、という内容の記事が新聞に載ったのは先週のことだった。
僕は現在、即位に向けて準備を進めていて、とても忙しい日々をおくってる。
「兄上にいいものを持ってきました」
膝の上にマーレを乗せて、アーレンは小脇に抱えた布袋から紙の束を取り出した。
「この前のことに加え、三百年前ナイジェルの時代に起こったことの記録です。その他にも、妖精やらドラゴンやら魔物やら、わかるだけ聞き出してまとめてあります」
「聞き出した?誰から?」
「この祝福を授けてくれた黒い大鷲の精霊ですよ。なんというか、意識をつなげて会話ができるようになったので」
「そんなことができるの!?」
「こういった情報も必要でしょう。次にドラゴンが現れる時のためにも」
「ありがとう、とても助かるよ……」
ざっと目を通すと、どれだけ調べてもわからなかったことが、痒い所に手が届くように網羅されている。
東の山脈での一連の出来事は、サミュエルの副官バーナードが詳細な報告を上げてくれた。
遠見や遠耳の祝福をもつ部下たちを適所に配置し、起こったことの全てを記録してくれていたのだが、それでもわからないことが多かった。
中でも、妖精がなにをしていたのか、ドラゴンの死体はなぜ消えてしまったのかなどは不明のままだった。
アーレンに問い合わせをしたくても、こちらから接触しないという約束を破るわけにもいかない。
僕も後世に中途半端な情報しか残せないのか、と忸怩たる思いでいたのだが、それが一気にまとめて解決してしまった。
こんなに有難いことはない。
「まだあります。次はこれです」
手渡されたのは、数枚のハンカチだった。
それぞれに刺繍が刺されていて、当然のように素晴らしい加護が付加されている。
「幸運、体力向上、生命力向上、解毒、疲労軽減……すごいな……」
「俺とナディアからの即位祝いだとでも思ってください」
「ありがとう。本当に、助かる……」
元々体が弱い僕は、精神的にも体力的にもかなり疲弊していた。
即位式まで体調を崩すわけにはいかないと思いつつも、近いうちに寝込んでしまいそうな気配がしていたのだが、このハンカチがあればそれを防ぐことができそうだ。
即位した後も、助けられ続けることになるだろう。
「それから……一つ、提案があります」
「提案?」
「もし、兄上が望むなら、なのですが……」
どこか気恥ずかしそうに言い淀んだアーレンに、僕は首を傾げた。
「月に一度、新月の夜に、こうやって会いに来ますよ」
願ってもない提案に、思わず目を見張った。
もう一生会えないと諦めていた弟に、月に一度でも会えるようになるのだ。
嬉しい。心の底から嬉しい。
「本当に!?でも……いいの?その、ナディアさんは」
「これはナディアからの提案です。兄上は大変な立場になるだろうから、たまに顔を見に行ってやれって言われまして」
「そうか……」
「俺の翼なら、エケルトからここまで二時間くらいです。たいした距離でもありません」
「そうか……そうなのか……」
年甲斐もなく涙が滲みそうになり、ぐっと堪えた。
兄として、弟の前で泣くわけにはいかない。
「ありがとう、とても嬉しいよ……是非、会いに来てほしい。新月の夜は、何としてでも時間を空けておくから。きみの好きな酒を準備しておくよ」
「それは有難い。できれば、ナディアの土産になるような、王都で有名な菓子なんかも頼みます」
「わかった。見繕っておこう……ああ、それにしても、ナディアさんは女神のようなひとだね」
アーレンが東の山脈に向かった後のナディアさんの様子も、護衛として残した騎士から報告を受けている。
祝福のことを除いても、ナディアさんは本当に得難い女性だ。
「そうでしょう?なにせ、俺の妻ですからね。兄上も早く相手を見つけて結婚するといいですよ」
「実は、まだ公表していないんだけど、即位後に結婚することになっているんだ」
「へぇ?俺の知ってる相手ですか?」
「セイル公国のロジーナ公女だよ。前に会ったことあるよね?」
「あのザルか!飲み比べで俺を負かした女を忘れるはずがない!」
「そんなこともあったね。懐かしいな」
「次の日、俺は二日酔いで死にかけた……そうか、あのザルが、オルランディア王妃になるのか……ザルだが、俺の見たところでは肝がすわっているし、頭も悪くない。いい王妃になってくれそうですね」
「僕もそう思うよ」
「ただし、酒は飲ませすぎないように!この城に備蓄している酒くらい、あの女なら三日で飲み尽くしてしまいますから!」
「それは大袈裟すぎるんじゃないか」
「大袈裟なんかではない!兄上はもっと現実を見なくては!あ、そういえば、ナディアの解毒の加護は、酒も消すんです。そのハンカチを持っていたら、どれだけ飲んでも酔いませんよ」
「そうなの!?そ、それは!……いい……こと?……なのかな?」
「状況次第でしょうね。まぁ、どう使うかは、自己責任ということで」
それから僕たちはいろんな話をした。
僕の今の生活のこと、マーレのこと、アーレンのエケルトでの生活のこと、ナディアさんのこと。
というか、アーレンの話の大半は惚気話だった。
アーレンをここまで惚気させるなんて、ナディアさんはやっぱり女神なのではないだろうか。
腹の探り合いもなく、言質をとられないように慎重に言葉を選ぶこともなく、事務的でもない、そんなただの雑談をするのは、僕にとっては本当に久しぶりのことだった。
早速ハンカチの加護が効果を発揮しているのか、しばらく続いていた頭痛もいつのまにか消えている。
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