日常探偵団

髙橋朔也

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稲穂祭と予言者 その肆

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 部室に戻った二人は話し合いを始めた。
「まず、当初の予定通り俺は七不思議の一番目を調べたい」
「いや、まずは俺の家に送られた予言の書についてだ」
 二人は互いに睨んで、一歩も譲らなかった。
「いや、良い案を思いついた」
「言ってみろ、新島」
「両方調べよう」
「ん~? まあ、やるだけやろう」
「まず、わかっていることを出していこう」
「予言者は一日後を予言できる」
「事故は特定のメカニズムで起こる」
「どんな?」
「わからんが、決まった法則があるんだろ? 意図的な可能性はないだろう」
「あんまり定かじゃないな」
「仕方ないだろ?」
「だとすると、まずは事故のメカニズムを知らないといけないか」
「ああ、まったくその通りだ。だとすると、道路付近に何かがあるはずだ」
「どんな仕掛けをしたら事故が起こるんだ?」
「さあな」
「駄目じゃないか。だったら、予言者の推理をする」
「ああ、仕方ないな」
「ほら、予言者の手紙だ」
 新島は高田から手紙を受け取った。
「なるほど。やっぱり、この手紙はおとといの消印だ」
「その消印が偽物の可能性はあるか?」
「うーん? 高田の家のポストにあったんだな?」
「もちろん」
「なるほど。ここまで精巧に作られた消印はないだろ? それに、大体のトリックは理解出来た」
「マジで?」
「ああ。これを見ろ」
「...どれだ?」
「ここ」
「ああ、そういうことか」
「ライトあるか?」
「ほら」
 新島はライトを手紙にかざした。

 新島と高田は手紙を持って、軽音楽部のライブが行われている舞台裏に向かった。
「文芸部だが、軽音楽部部員の鈴木真美(すずきまみ)さんはいるか?」
 新島の言葉で、軽音楽部の部員が反応した。
「文芸部が真美に何の用かしら?」
「あんたが真美さん?」
「違うわ。私は永井未来(ながいみく)。真美のクラスメイト」
「真美さんはどこに?」
「何であんた達が真美に会いたいの?」
「お話しする義務はないと思うが...」
「あっそ。なら、教えない」
「あ、ちょっと!」
 永井は奥に消えていった。
「どうする、新島?」
「予言者は鈴木真美で決まりなんだが...」
「だよな...」
「予言の手紙を出すからにはそれなりの理由があったはずだ」
「その理由は?」
「知らん。まずはそれを見つける」
「でもまさか、二重でポストに出していたとは」
「だな。あの手紙はまず、鈴木真美が自分の家宛てにして郵便局に出す。それから手紙が家に届いたら、鈴木真美はシャーペンか何かで書いていた家の住所を消して、上からボールペンで高田の家の住所を書いた。そして、手紙を予言の手紙と入れかえてから、高田のポストにいれた。つまり、すり替えが行われていた。
 シャーペンで自分宛に手紙を出して、届いたらシャーペンの文字を消して宛名を書く。そして、届けたい所に朝、投函(とうかん)したら昨日の日付の消印になる、か。とんだトリックだぜ」
「まったくだ。それから、新島がライトをかざして凹凸を読み取った結果、鈴木真美の名前が出てきたから奇跡みたいだな」
「だが、軽音楽部に来ても成果はなかった」
「どうする?」
「さあ」
「じゃあ、鈴木真美が予言の手紙を出した理由を探すぞ!」
「それが、一番だな」
 二人は軽音楽部を知るために、図書室に向かった。八坂中学校の各部活の活動記録は図書室に置かれているからだ。
「あ、あれ?」
「どうした、高田」
「扉に鍵が掛かっているらしい」
「あ、今日は稲穂祭か」
「どうする?」
「まかせろ」
 新島は扉付近にある小さい窓を開けた。
「おい、その窓からは入れないぞ」
「だから、こうする」
 窓に手を入れて、中から扉の鍵を開けた。
「やるな、新島」
「だろ?」
 二人は図書室に入るとすぐに扉に鍵を掛けた。
「活動記録はどこに保管してあるんだ?」
「さあ?」
「新島、しっかりしろよ」
 高田は引き出しを弄(まさぐ)って、鍵を取りだした。
「多分、この鍵で開けられる奴じゃないか?」
「だとすると、図書蔵書室だ」
「なんだそれ?」
「高田は知らないのか」
「ああ」
「あの扉の向こうだ」
 新島は高田から鍵を受け取ると、奥の扉の鍵穴に差し込んで右に回した。
「入るぞ」
 二人は蔵書室に入った。蔵書室は元々別の場所だったが、数年前にここが蔵書室になったらしい。
「本棚に並んでいる本が、どうやら活動記録だぜ。高田も見てみろ」
「本当だ。軽音楽部のはあるか?」
「あるぜ。開こう」
 新島は軽音楽部の活動記録を取りだして、開いた。
「平成三年に軽音楽部が結成されたらしい」
「そこ年から活動記録があるか?」
「ああ。毎日ちゃんと書かれている」
「マメだな」
「そのようだ」
 活動記録を机に置くと、二人は読み始めた。
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