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卒業 その漆
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高田も、七不思議の三番目について情報があるようだ。手帳を取りだして、開いてから話し始めた。
「窓ガラスが割れた後、破片は全て内側に落ちるらしい」
「じゃあ」新島が言った。「外側から力が加えられたということか?」
「俺の調べた限りでは、そのようだよ」
「低く小さい音と外側からの力。なんとなくだが、何か閃きそうだ」
新島は再度思考を凝らしたが、結局閃かなかった。
その後も三人は話し合い、八時を回った頃に高田と土方は新島の家を出た。
さて。色々とぶっ飛ばして話しが進み、現在は卒業式なわけだ。決して広いとは言えない体育館で、始められた。長々と校長がつまらない話しを続けるのは、毎回恒例の生徒が嫌う行事なわけだが、今はそのつまらない行事が行われている真っ最中だった。
「──であるから、生徒皆さんがちゃんと校則を守る必要があるのです」
などと、校長の肩書きを持つ白髪の初老がほざいていた。
生徒は、校長の話しの最中は立たされることはないが飽き飽きしている。次に、卒業生の合唱が始まり、在校生が退屈になる。そんな時間が続いていると、体育館の窓ガラスが一つ、割れた。破片が外に飛び散ったようだから、内側から力がかけられたようだ。
「「キャー」」
生徒の、特に女子がそう叫んだ。それから、恐怖が伝染するかたちで、体育館内はプチパニックになった。教職員数人は原因を解明して生徒を静めるために急いで、割れた窓ガラスの周辺に近づいた。割れた窓ガラスは二階の高さに取り付けられた細い通路、ギャラリーの位置にある。はしごでギャラリーに上がるのだが、教職員がはしごからギャラリーに向かう途中で別の窓ガラスが割れた。生徒がまた騒ぎ立てる。プチパニックを超えて、パニックと呼べるレベルになった。この状態で卒業式は続けられないだろう。教頭は焦りつつも、生徒を教室に帰すことを進めた。だが、それは無意味だ。すでに、体育館の窓ガラスは全て割れてしまったのだ。
卒業式は延期された。窓ガラスを修復し、破片を回収するためだろう。来週の金曜日に卒業式が移った。卒業式延期ですぐに
放課後になり、高田は新島の席に向かった。
「七不思議の三番目が起こったな」
高田の声に新島は反応した。「だな」
「急いで部室に行って、急遽三番目を解決する必要がある。そこで、新島の頭脳が活躍するわけだ」
「俺任せかよ」
「しょうがねえだろ? ガリが無いんだ」
「また、しょうもない洒落を......」
「こういうのは得意なんだ」
「そうか。よかったな」
新島はカバンを持って、立ち上がった。
「部室行くぞ」
「新島もやる気だな」
「そりゃ、どーも」
二人は階段を上がって、部室に向かった。部室には土方がいると、二人は考えていたが思いのほかいなかった。それから、扉が開く音がして振り返ると土方が入ってきた。
「七不思議の三番目を解決しよう」土方は息を切らせながら言った。
「やっぱり、卒業式での窓ガラス破損事件は解決しないとな。だが、七不思議の三番目の高田の情報と、今回の窓ガラス破損は少し違う。破片が飛び散る方向だ」
「確かに、逆っすね」
「そして、低く小さい音もしなかった。つまり、以前の七不思議の三番目と今回の窓ガラスを割ったトリックは違うというわけだ」
「なるほどっすね。だけど、だとしたら犯人は誰でしょう?」
「だよな......」新島は眉間に親指を当てた。
「私の意見だが、犯人を探すよりトリック解明の方が優先すべきだ」
「それもそうか。だったらまず、卒業式での件から解明しようか。
内側から力が加えられたから、おそらく体育館の窓ガラスに何らかの仕掛けがあった可能性がある。例えば規模の小さい時限爆弾、とか。だが、爆発音はしなかった。別の方法があるのかわからんが、少なからず窓ガラスに細工はしただろう」
「細工って?」
「それがわかったら苦労はしないだろ」
「だよな......」
新島は椅子に腰をおろした。高田は本棚に近づき、板を外して漫画を取りだした。
「高田、漫画読むのか?」土方は腰に手を当てながら言った。
「あ、気晴らしに読むだけっすよ......?」
「そうか」
土方は毛布に包まって、ソファに座った。高田は漫画を開いて読み始めた。
少しして、新島が声を上げた。
「鈴木真美先輩に聞けばいいんじゃないか!」
「なるほど」
鈴木は軽音楽部で、作曲を任されている。しかし、最近はスランプでろくな曲が出来ない。七不思議も、八坂中学校に言及できぬまま卒業だ。自分の人生を振り返ってため息をついた。それから、五時に家に帰るために正門を出ようとしたら、見覚えのある顔が三つあった。文芸部の三人だ。
「鈴木先輩。七不思議の三番目について聞きたいことがあります」
「新島......。それに土方、高田か」
「七不思議の三番目。あなたは卒業式の事件のトリックと七不思議の三番目のトリックが違うと気づいてますよね?」
そのことか。鈴木は安堵のため息をもらした。
「もちろん、私もちゃんとその点は気づいているわ」
「なら、話しが早そうですね。情報共有しましょう」
「窓ガラスが割れた後、破片は全て内側に落ちるらしい」
「じゃあ」新島が言った。「外側から力が加えられたということか?」
「俺の調べた限りでは、そのようだよ」
「低く小さい音と外側からの力。なんとなくだが、何か閃きそうだ」
新島は再度思考を凝らしたが、結局閃かなかった。
その後も三人は話し合い、八時を回った頃に高田と土方は新島の家を出た。
さて。色々とぶっ飛ばして話しが進み、現在は卒業式なわけだ。決して広いとは言えない体育館で、始められた。長々と校長がつまらない話しを続けるのは、毎回恒例の生徒が嫌う行事なわけだが、今はそのつまらない行事が行われている真っ最中だった。
「──であるから、生徒皆さんがちゃんと校則を守る必要があるのです」
などと、校長の肩書きを持つ白髪の初老がほざいていた。
生徒は、校長の話しの最中は立たされることはないが飽き飽きしている。次に、卒業生の合唱が始まり、在校生が退屈になる。そんな時間が続いていると、体育館の窓ガラスが一つ、割れた。破片が外に飛び散ったようだから、内側から力がかけられたようだ。
「「キャー」」
生徒の、特に女子がそう叫んだ。それから、恐怖が伝染するかたちで、体育館内はプチパニックになった。教職員数人は原因を解明して生徒を静めるために急いで、割れた窓ガラスの周辺に近づいた。割れた窓ガラスは二階の高さに取り付けられた細い通路、ギャラリーの位置にある。はしごでギャラリーに上がるのだが、教職員がはしごからギャラリーに向かう途中で別の窓ガラスが割れた。生徒がまた騒ぎ立てる。プチパニックを超えて、パニックと呼べるレベルになった。この状態で卒業式は続けられないだろう。教頭は焦りつつも、生徒を教室に帰すことを進めた。だが、それは無意味だ。すでに、体育館の窓ガラスは全て割れてしまったのだ。
卒業式は延期された。窓ガラスを修復し、破片を回収するためだろう。来週の金曜日に卒業式が移った。卒業式延期ですぐに
放課後になり、高田は新島の席に向かった。
「七不思議の三番目が起こったな」
高田の声に新島は反応した。「だな」
「急いで部室に行って、急遽三番目を解決する必要がある。そこで、新島の頭脳が活躍するわけだ」
「俺任せかよ」
「しょうがねえだろ? ガリが無いんだ」
「また、しょうもない洒落を......」
「こういうのは得意なんだ」
「そうか。よかったな」
新島はカバンを持って、立ち上がった。
「部室行くぞ」
「新島もやる気だな」
「そりゃ、どーも」
二人は階段を上がって、部室に向かった。部室には土方がいると、二人は考えていたが思いのほかいなかった。それから、扉が開く音がして振り返ると土方が入ってきた。
「七不思議の三番目を解決しよう」土方は息を切らせながら言った。
「やっぱり、卒業式での窓ガラス破損事件は解決しないとな。だが、七不思議の三番目の高田の情報と、今回の窓ガラス破損は少し違う。破片が飛び散る方向だ」
「確かに、逆っすね」
「そして、低く小さい音もしなかった。つまり、以前の七不思議の三番目と今回の窓ガラスを割ったトリックは違うというわけだ」
「なるほどっすね。だけど、だとしたら犯人は誰でしょう?」
「だよな......」新島は眉間に親指を当てた。
「私の意見だが、犯人を探すよりトリック解明の方が優先すべきだ」
「それもそうか。だったらまず、卒業式での件から解明しようか。
内側から力が加えられたから、おそらく体育館の窓ガラスに何らかの仕掛けがあった可能性がある。例えば規模の小さい時限爆弾、とか。だが、爆発音はしなかった。別の方法があるのかわからんが、少なからず窓ガラスに細工はしただろう」
「細工って?」
「それがわかったら苦労はしないだろ」
「だよな......」
新島は椅子に腰をおろした。高田は本棚に近づき、板を外して漫画を取りだした。
「高田、漫画読むのか?」土方は腰に手を当てながら言った。
「あ、気晴らしに読むだけっすよ......?」
「そうか」
土方は毛布に包まって、ソファに座った。高田は漫画を開いて読み始めた。
少しして、新島が声を上げた。
「鈴木真美先輩に聞けばいいんじゃないか!」
「なるほど」
鈴木は軽音楽部で、作曲を任されている。しかし、最近はスランプでろくな曲が出来ない。七不思議も、八坂中学校に言及できぬまま卒業だ。自分の人生を振り返ってため息をついた。それから、五時に家に帰るために正門を出ようとしたら、見覚えのある顔が三つあった。文芸部の三人だ。
「鈴木先輩。七不思議の三番目について聞きたいことがあります」
「新島......。それに土方、高田か」
「七不思議の三番目。あなたは卒業式の事件のトリックと七不思議の三番目のトリックが違うと気づいてますよね?」
そのことか。鈴木は安堵のため息をもらした。
「もちろん、私もちゃんとその点は気づいているわ」
「なら、話しが早そうですね。情報共有しましょう」
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