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薄暗い森の中で、青い顔でへたり込む私。
そんな私にいつものへらりとした笑顔を隠さず剣を突き付けるプラム。
はい、いつもの死亡フラグ回収です!! もうやだ!!
心の中で叫んでみるも、今日のこれに関しては自分から代わりにきたから、自業自得とも言える。
だってこれ、プラムルートのバッドエンドシチュだもの。
ほんの少し、時はさかのぼる。
夕焼けに染まる裏庭で、レリアが「あれ!?」と大きな声を上げたのが始まりだ。
洗濯物を取り込んでいる最中だった。
レリアは一生懸命ロープから外した洗濯物をばさばさと籠から出しては仕舞い、何かを探しているようだった。
その光景に、ピーンと嫌な予感が脳天を突く。
はい来ましたバッドエンドフラグ。
このシチュエーションには覚えがあるぞ~、と心の中でヤケクソ祭りを繰り広げながら、しれっとした顔で「どうしたの?」と声を掛ける。
手伝っていてくれたイキシアも、首を傾げて彼女を待っていた。
「干してた洗濯物が一枚足りなくて……どうしよう」
「何が足りないんだ? 俺も探そう」
「私も手伝うよ」
持っていた籠をもう一度地面において、無駄と知りつつも洗濯物を検分し始める。
レリアは「ありがとう!」と半泣きでお礼を言って、また口を開いた。
その手はずっと動いているから、よっぽどその探し物が大切なんだと伝わってくる。
「お母さんが小さい時に、刺繍してくれたハンカチなの……! 宝物で、失くしたら、私……!」
はいバッドエンドルート確定。
これはカラン王子の側近、プラムのバッドエンドの一つだ。
カラン王子第一主義なプラムは、王子の意志をはねのけ続けるレリアを邪魔と判断し、独断でその刃で彼女を襲う。
実際レリアが継いでしまい、カラン王子に狙われる原因でもある「浄化の能力」。
それも「今の所有者」が亡くなれば別の人間に移るものだとその後国王が明言しているので、プラムの独断が罰せられることもなかった。
……と、言うわけで。
「もしかして風に飛ばされちゃったのかな……。ごめん、二人とも! 洗濯物お願いしていい?」
「あ、おい!」
「私、森の中を探してく、る!?」
ぐわし。
イキシアの制止も聞かず、森へ駈け込もうとするレリア。
そんな彼女の腕をとっ捕まえて、にっこり笑った。
「そのハンカチって、いつもレリアが使ってるあれでしょ? 白地にオレンジでレリアの名前と猫ちゃんの刺繍のしてある」
「そ、そう! だから、私、探しに……」
イキシアがぼそっと「あれ。ウサギじゃなかったのか……」って呟いてるけど、知らん。
誰がどう見てもとっても可愛い猫ちゃんだろがい。
「私が探してくるから、レリアは教会の中を探してきて? もしかしたら子供たちが拾ってきてるかもしれないし」
「え、けど……」
「それに、そろそろ晩御飯だよ? 今日はレリアがご飯当番だよね?」
「うっ……」
レリアは言葉に詰まり、視線をうろうろとさまよわせてから、小さく「……お願いしていい?」と尋ねてきた。
我ながらよく回る口だと思うよ。アラサー万歳。
任せといて! と頷いて、森へと入ろうとした、その時。
「ラーレ」
「? なぁに? イキシア」
珍しく、イキシアが声を掛けてくれた。
それだけで気分が上がってしまうのだから、もうどうしようもない。
多分これ死ぬし、死ぬ前にイキシアと話せるなんてラッキー、なんて思っていたら。
「気を付けて」
「へ……」
「もう暗くなってる。……一緒に行くといっても、お前は聞かないんだろう」
ラーレは意外と頑固だからな、と。
そう、困ったように笑う顔は、以前に、ほんの少し似ていて。
「……うん、いってきます」
ああ、こんなに思ったのは久しぶりだ。
「死にたくない、なぁ」
森へと進んで、ポツリとこぼれ出た一言は、こちらへ近づくプラムの足音で掻き消えた。
と、いうのが数分前の出来事。
そして今に至る。
プラム、お前の中の人の大ファンだから、お前のルートも飽きるほどやったんだよ! 残念だったな!
なんて内心では強がってみるけど、現実だと半泣きだ。普通に怖い。
プラムはカラン王子第一主義の男だ。
そんな男が、敬愛する主君ではなく、ヒロインを選び、苦悩しながらも王子に剣を向けて対決する。
そんなシチュにしびれたユーザーは数多い、罪作りな男である。
だが、それはあくまでも画面の向こうにいた時の話であって。
実際に対面すると、この男めちゃくちゃ怖いんだが!?
笑顔の狂気ってこういうこというんだね!?
「本当は、あの姫さんの方を狙ってたんですけどねぇ……」
「なっ、なら、私を殺さなくてもいいのでは……」
うーん、と小首をかしげる動作をするから、ワンチャン逃げれるのではと慌てて口を開く。
どもったけども、きちんと言えたあたり、私偉いと思う。
「けど、まぁ……見せしめにはなりますから」
「遠回り過ぎるアピールは伝わらないと思いますよ!?」
「教会の仲間が殺されるのは、結構直接的じゃないです?」
「ごもっともすぎる……」
死にたくない一心の必死の説得は正論で返されて終わった。
ああ、さようなら世界……。また初めからやり直しか……。
イキシアにただいまって言わなきゃいけないのに。
生きたくても、死にたくなくても、世界は私にとことん優しくない。
諦め半分、ヤケクソ半分。こうなればおとなしく痛くなく一発で仕留めてもらおう……。
と、居住まいを正したら、プラムに爆笑された。
「そんなに笑うなら見逃してください……」「すいませんね、無理です」「知ってた」なんて会話をしながら、プラムは剣を構え直す。
「いやぁ、あの姫さんのオトモダチじゃなかったら……仲良くしたかったんですけどね」
せめて苦しまないように送ってあげますよ、という言葉に、ぎゅうっと目を瞑った、その時。
「止めろ。プラム」
「──っ」
ひゅん、という風を斬る音に紛れて聞こえた声。
それと同時に、ピタリと首筋にナニカが当たり、静止する。
「……あ、れ」
生きて、る……?
恐る恐る目を開けば、投げ出された剣と、跪くプラム。
そして、冷たい瞳でこちらを見下ろす、カラン王子がそこにいた。
そんな私にいつものへらりとした笑顔を隠さず剣を突き付けるプラム。
はい、いつもの死亡フラグ回収です!! もうやだ!!
心の中で叫んでみるも、今日のこれに関しては自分から代わりにきたから、自業自得とも言える。
だってこれ、プラムルートのバッドエンドシチュだもの。
ほんの少し、時はさかのぼる。
夕焼けに染まる裏庭で、レリアが「あれ!?」と大きな声を上げたのが始まりだ。
洗濯物を取り込んでいる最中だった。
レリアは一生懸命ロープから外した洗濯物をばさばさと籠から出しては仕舞い、何かを探しているようだった。
その光景に、ピーンと嫌な予感が脳天を突く。
はい来ましたバッドエンドフラグ。
このシチュエーションには覚えがあるぞ~、と心の中でヤケクソ祭りを繰り広げながら、しれっとした顔で「どうしたの?」と声を掛ける。
手伝っていてくれたイキシアも、首を傾げて彼女を待っていた。
「干してた洗濯物が一枚足りなくて……どうしよう」
「何が足りないんだ? 俺も探そう」
「私も手伝うよ」
持っていた籠をもう一度地面において、無駄と知りつつも洗濯物を検分し始める。
レリアは「ありがとう!」と半泣きでお礼を言って、また口を開いた。
その手はずっと動いているから、よっぽどその探し物が大切なんだと伝わってくる。
「お母さんが小さい時に、刺繍してくれたハンカチなの……! 宝物で、失くしたら、私……!」
はいバッドエンドルート確定。
これはカラン王子の側近、プラムのバッドエンドの一つだ。
カラン王子第一主義なプラムは、王子の意志をはねのけ続けるレリアを邪魔と判断し、独断でその刃で彼女を襲う。
実際レリアが継いでしまい、カラン王子に狙われる原因でもある「浄化の能力」。
それも「今の所有者」が亡くなれば別の人間に移るものだとその後国王が明言しているので、プラムの独断が罰せられることもなかった。
……と、言うわけで。
「もしかして風に飛ばされちゃったのかな……。ごめん、二人とも! 洗濯物お願いしていい?」
「あ、おい!」
「私、森の中を探してく、る!?」
ぐわし。
イキシアの制止も聞かず、森へ駈け込もうとするレリア。
そんな彼女の腕をとっ捕まえて、にっこり笑った。
「そのハンカチって、いつもレリアが使ってるあれでしょ? 白地にオレンジでレリアの名前と猫ちゃんの刺繍のしてある」
「そ、そう! だから、私、探しに……」
イキシアがぼそっと「あれ。ウサギじゃなかったのか……」って呟いてるけど、知らん。
誰がどう見てもとっても可愛い猫ちゃんだろがい。
「私が探してくるから、レリアは教会の中を探してきて? もしかしたら子供たちが拾ってきてるかもしれないし」
「え、けど……」
「それに、そろそろ晩御飯だよ? 今日はレリアがご飯当番だよね?」
「うっ……」
レリアは言葉に詰まり、視線をうろうろとさまよわせてから、小さく「……お願いしていい?」と尋ねてきた。
我ながらよく回る口だと思うよ。アラサー万歳。
任せといて! と頷いて、森へと入ろうとした、その時。
「ラーレ」
「? なぁに? イキシア」
珍しく、イキシアが声を掛けてくれた。
それだけで気分が上がってしまうのだから、もうどうしようもない。
多分これ死ぬし、死ぬ前にイキシアと話せるなんてラッキー、なんて思っていたら。
「気を付けて」
「へ……」
「もう暗くなってる。……一緒に行くといっても、お前は聞かないんだろう」
ラーレは意外と頑固だからな、と。
そう、困ったように笑う顔は、以前に、ほんの少し似ていて。
「……うん、いってきます」
ああ、こんなに思ったのは久しぶりだ。
「死にたくない、なぁ」
森へと進んで、ポツリとこぼれ出た一言は、こちらへ近づくプラムの足音で掻き消えた。
と、いうのが数分前の出来事。
そして今に至る。
プラム、お前の中の人の大ファンだから、お前のルートも飽きるほどやったんだよ! 残念だったな!
なんて内心では強がってみるけど、現実だと半泣きだ。普通に怖い。
プラムはカラン王子第一主義の男だ。
そんな男が、敬愛する主君ではなく、ヒロインを選び、苦悩しながらも王子に剣を向けて対決する。
そんなシチュにしびれたユーザーは数多い、罪作りな男である。
だが、それはあくまでも画面の向こうにいた時の話であって。
実際に対面すると、この男めちゃくちゃ怖いんだが!?
笑顔の狂気ってこういうこというんだね!?
「本当は、あの姫さんの方を狙ってたんですけどねぇ……」
「なっ、なら、私を殺さなくてもいいのでは……」
うーん、と小首をかしげる動作をするから、ワンチャン逃げれるのではと慌てて口を開く。
どもったけども、きちんと言えたあたり、私偉いと思う。
「けど、まぁ……見せしめにはなりますから」
「遠回り過ぎるアピールは伝わらないと思いますよ!?」
「教会の仲間が殺されるのは、結構直接的じゃないです?」
「ごもっともすぎる……」
死にたくない一心の必死の説得は正論で返されて終わった。
ああ、さようなら世界……。また初めからやり直しか……。
イキシアにただいまって言わなきゃいけないのに。
生きたくても、死にたくなくても、世界は私にとことん優しくない。
諦め半分、ヤケクソ半分。こうなればおとなしく痛くなく一発で仕留めてもらおう……。
と、居住まいを正したら、プラムに爆笑された。
「そんなに笑うなら見逃してください……」「すいませんね、無理です」「知ってた」なんて会話をしながら、プラムは剣を構え直す。
「いやぁ、あの姫さんのオトモダチじゃなかったら……仲良くしたかったんですけどね」
せめて苦しまないように送ってあげますよ、という言葉に、ぎゅうっと目を瞑った、その時。
「止めろ。プラム」
「──っ」
ひゅん、という風を斬る音に紛れて聞こえた声。
それと同時に、ピタリと首筋にナニカが当たり、静止する。
「……あ、れ」
生きて、る……?
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