悪役令嬢は自分磨きに忙しい!

こゆき

文字の大きさ
2 / 19

1

しおりを挟む

「わたくし、美しくないものは嫌いなの」

この一言と共に、ピシャーン!という効果音が相応しいが如く、教室の中は静まり返った。

※※※

ここは聖ルナティア王国。月の女神ルーナ様を祀る、この世界におけるニ大大国のひとつだ。
隣国である太陽の女神サリア様を祀る国、聖サンタリア王国と共に、名実共にこの世界を率いる聖なる国である。

そして、それだけ位の高い国であるからには、国民の教育水準も勿論高い。
ここ、ルディア学園は聖ルナティア王国でも有数の名門校であり、その中でも名のある名家の御子息御息女が通う、所謂『金持ち学校』なのだ。

そして、そんな『金持ち学校』にあるまじき発言をしたのがわたくし、ラピス公爵家第一子、長女ユリアに御座います。
どうぞよろしく。

「貴方は!!反省しているのですか!!!」
「してないわ」

そして今、わたくしの目の前で大口を開けて怒鳴る品のない男は昔からの世話役であり執事のアレク。まったく、年々野蛮になって行くわね、アレクってば。
これみよがしにため息を吐けば、アレクの肩がふるふると震える。短気ねぇ、黙っていればアレクも美しいというのに。

アレクとの付き合いは長い。かれこれ10年になるだろうか。
だからこそ、アレクもわたくしがこの程度の事で反省しているはずがないと分かっているでしょうに。それでも小言を忘れないのは、執事の鑑というべきかしら。

「貴方だって、わたくしの言葉の意味くらい理解しているでしょう?」
「勿論。ですが、全てのものがそうではないという事くらい、貴女も分かっているでしょう……」
「あら、気にしないわ。そんな教養のない方々の評価なんて」
「お家の評価に繋がるのです!!」

がう!という効果音が見えるように噛み付いてくるアレクに、思わず辟易してしまう。
この容姿は気に入っているけれど、そういう所は面倒臭いわ。

──ほんの少しだけ、『前世』が懐かしくなってしまうわね。

扇で口元を隠し、アレクに気づかれないよう、小さく小さくため息を吐いた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

婚約破棄の、その後は

冬野月子
恋愛
ここが前世で遊んだ乙女ゲームの世界だと思い出したのは、婚約破棄された時だった。 身体も心も傷ついたルーチェは国を出て行くが… 全九話。 「小説家になろう」にも掲載しています。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

悪意には悪意で

12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。 私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。 ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する

ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。 皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。 ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。 なんとか成敗してみたい。

気絶した婚約者を置き去りにする男の踏み台になんてならない!

ひづき
恋愛
ヒロインにタックルされて気絶した。しかも婚約者は気絶した私を放置してヒロインと共に去りやがった。 え、コイツらを幸せにする為に私が悪役令嬢!?やってられるか!! それより気絶した私を運んでくれた恩人は誰だろう?

悪役令嬢は断罪回避に尽くします

夜桜 舞
恋愛
異世界中世風な乙女ゲームの世界に悪役令嬢「スティラ・レミラクシャ」として転生してしまった私。スティラはゲームだとハッピーエンドだろうがバッドエンドだろうが関係なく、断罪されて雑に死ぬ未来にある……。 「そんな未来、認めてたまるもんか!!」 死ぬ未来? そんなもん関係ない。ゲームのスティラは、わざわざヒロインを目の敵にして、いじめ倒したから断罪されたんだ。であれば、私はヒロインに関わらずに過ごせばいい!! と意気込んだものは良いが、あっちから私に関わってくると考え……。 私は、断罪後も自分の力で生きれるくらい強くなればいいという結論にいたり、早速行動に移した私は、色々な波乱もありながらも、ゲームの舞台である学園入学時には、魔法の腕前も剣の腕前も大人顔負けの技能を手に入れた。まぁ、ゲームのスティラの結末である断罪を回避するのが一番良いのだが……。※小説家になろう様にも投稿しております

処理中です...