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ルディア学園の特待生制度は、至って単純だ。
一学年100名あまりの生徒のうち、上位3名以内の成績を維持し続けていれば良い、というもの。
そして、ルディア学園2学年における成績上位者というのが、わたくしユリアとヒロインたるアクア。そして生徒会所属のオニキス様となる。
『ツキオト』でのユリアは生徒会には所属していなかった気がするのだけれど……仕方ないわよね。
だって『わたくし』の育て上げた『ユリア』はとても美しい上に賢いんだもの!
ああ、今日も世界は素晴らしい!
※※※
「ラピスさん、失礼。こちらの書類の確認を願います」
「アメシスト様、相変わらずお仕事が迅速でいらっしゃいますわ。いつもありがとうございます」
確認させていただきますわ。
にこりと音が付きそうな完璧な笑顔を携え、アメシスト様からの書類を受け取る。
生徒会会計、ハンス=アメシスト様。
夜明け前の空のような、明るめの藍色の髪は軽いウェーブを描きその整ったお顔を彩っている。
銀縁のメガネの奥に隠れる透明感のある紫の瞳はとても神秘的ね。彼は彼でまた違った美しさを備えている。大変麗しくてよ。
彼はルディア学園の3年生で、ジーク様の同学年だ。
成績も優秀で、ジーク様に継ぐ学年次席を誇るお方でもある。
確か、伯爵家の嫡男にあらせられるはずだ。
同じ生徒会でもあるし、主力な貴族の情報は幼少期から叩き込まれてるけど……アメシスト家の周りからの評判は、良くも悪くもない、といった感じかしら。中立派、と言えば聞こえは良いかしらね?
そして、ハンス様自身は成績優秀で将来有望、と言われている。
ただ……
「それにしても、学年首席の上に王太子殿下の婚約者とは……ラピスさんは大忙しですね。その上生徒会の副会長まで務められるとは、少々荷が重いのでは?」
「あら、ご心配ありがとうございます。ですがこのくらいで荷が重いなど、軟弱な教育は受けておりませんことよ。ご安心なさって?」
それと、この書類、多少の不備がございますわ。手直しをお願いしてもよろしくて?
にこりと笑い受け取った書類を返せば、苦々しいという言葉がピッタリな程に歪んだ顔を隠そうともせず、彼は生徒会室を出ていく。
なんというか、彼、皮肉屋さんなのよね。
特に『ユリア』に対しては。
元々他者に対して皮肉屋で素直に物を言えない、所謂『ツンデレ』属性ではあったのだ。
それがわたくしが生徒会に入ってから、極端に風当たりが強くなった。
まあ、気持ちは分からなくもない。
公爵家という立場も、生徒会での副会長という役職も、学年首席という称号も。
全て彼の手にはないものだ。
自分より年下の女が、自分より色んな物に恵まれている、となれば、そりゃ面白くもないだろう。
ただの庶民であった『私』の感覚があるおかげで、彼のような複雑な気持ちも多少は理解出来る。
まあ、生まれた家は運と言えるが、それ以外は完全にわたくしの努力の賜物なので言いがかりとも言えるので。
「アメシスト様ってば、可愛らしいわねぇ」
同じ土俵に立ってやる筋合いはないので、一切気にしてあげる筋合いはない、というものだ。
彼の出ていった扉を見ながら、わたくしはころころと微笑んだ。
一学年100名あまりの生徒のうち、上位3名以内の成績を維持し続けていれば良い、というもの。
そして、ルディア学園2学年における成績上位者というのが、わたくしユリアとヒロインたるアクア。そして生徒会所属のオニキス様となる。
『ツキオト』でのユリアは生徒会には所属していなかった気がするのだけれど……仕方ないわよね。
だって『わたくし』の育て上げた『ユリア』はとても美しい上に賢いんだもの!
ああ、今日も世界は素晴らしい!
※※※
「ラピスさん、失礼。こちらの書類の確認を願います」
「アメシスト様、相変わらずお仕事が迅速でいらっしゃいますわ。いつもありがとうございます」
確認させていただきますわ。
にこりと音が付きそうな完璧な笑顔を携え、アメシスト様からの書類を受け取る。
生徒会会計、ハンス=アメシスト様。
夜明け前の空のような、明るめの藍色の髪は軽いウェーブを描きその整ったお顔を彩っている。
銀縁のメガネの奥に隠れる透明感のある紫の瞳はとても神秘的ね。彼は彼でまた違った美しさを備えている。大変麗しくてよ。
彼はルディア学園の3年生で、ジーク様の同学年だ。
成績も優秀で、ジーク様に継ぐ学年次席を誇るお方でもある。
確か、伯爵家の嫡男にあらせられるはずだ。
同じ生徒会でもあるし、主力な貴族の情報は幼少期から叩き込まれてるけど……アメシスト家の周りからの評判は、良くも悪くもない、といった感じかしら。中立派、と言えば聞こえは良いかしらね?
そして、ハンス様自身は成績優秀で将来有望、と言われている。
ただ……
「それにしても、学年首席の上に王太子殿下の婚約者とは……ラピスさんは大忙しですね。その上生徒会の副会長まで務められるとは、少々荷が重いのでは?」
「あら、ご心配ありがとうございます。ですがこのくらいで荷が重いなど、軟弱な教育は受けておりませんことよ。ご安心なさって?」
それと、この書類、多少の不備がございますわ。手直しをお願いしてもよろしくて?
にこりと笑い受け取った書類を返せば、苦々しいという言葉がピッタリな程に歪んだ顔を隠そうともせず、彼は生徒会室を出ていく。
なんというか、彼、皮肉屋さんなのよね。
特に『ユリア』に対しては。
元々他者に対して皮肉屋で素直に物を言えない、所謂『ツンデレ』属性ではあったのだ。
それがわたくしが生徒会に入ってから、極端に風当たりが強くなった。
まあ、気持ちは分からなくもない。
公爵家という立場も、生徒会での副会長という役職も、学年首席という称号も。
全て彼の手にはないものだ。
自分より年下の女が、自分より色んな物に恵まれている、となれば、そりゃ面白くもないだろう。
ただの庶民であった『私』の感覚があるおかげで、彼のような複雑な気持ちも多少は理解出来る。
まあ、生まれた家は運と言えるが、それ以外は完全にわたくしの努力の賜物なので言いがかりとも言えるので。
「アメシスト様ってば、可愛らしいわねぇ」
同じ土俵に立ってやる筋合いはないので、一切気にしてあげる筋合いはない、というものだ。
彼の出ていった扉を見ながら、わたくしはころころと微笑んだ。
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