17 / 19
16
しおりを挟む
「……ラピスさん、大丈夫でしたか?」
「あら、コンクシェル先生」
軽いノックの後に生徒会室にいらしたのは、監査でもあり顧問でもあるチャーリー=コンクシェル先生だ。
少し長めな焦げ茶色の髪は肩付近でひとつにまとめられ、常に優しげに細められている穏やかな瞳は薄桃色。
20代後半と聞くけれど、落ち着いた雰囲気からか実年齢よりも年嵩に見られることも少なくないようだ。
コンクシェル男爵家の次男で、城で文官を務めた後に、優秀な青少年を育成したいと自ら志願し、ルディア学園で教鞭を取る道を選んだという。
先生自身も優秀で、たいそう惜しまれてルディア学園へ就任したとか。
その心意気、とても美しくてよ。
素晴らしいわ、先生。
「アメシスト君ですか……彼は少々、思い込みが激しいところがありますからね」
「そこが彼の良いところでもありますわ。わたくしは気にしておりませんことよ」
コンクシェル先生は、アメシスト様が先程出ていった扉から入室された。
恐らく廊下で苦々しい顔をした彼とすれ違ったのだろう。やんわりとしたフォローのような言葉を頂いてしまった。
実の所、本当にアメシスト様の言動は気にしていないのだ。
先程も言った通り同じ土俵に立ってやるつもりはないし、何よりぶっちゃけ、これくらいの嫉妬は慣れっこというもの。
わたくしの──『ユリア』の産まれたラピス公爵家というのは、ここ、ルナティア王国において絶大なる権力を誇る名家中の名家だ。
国立時代から存在し、成り立ちは初代国王の弟君が臣籍降下をして興した公爵家というのだからその歴史が伺える。
それ以降も度々王家の血族を養子に迎えたり婚姻関係を結んでいるのだ。
そりゃあ、わたくしとジーク様も婚約者になるってもんでしょう。
つまりは公爵家の中でも、めちゃくちゃ凄い一族、ということね。
そんな家にこれだけ容姿端麗で成績優秀な才色兼備な美女が産まれたのだ。
そりゃあ『妬み僻み』で虐めが起きる貴族社会において、嫉妬の的にならないわけがないというもの。
──ま!『ユリア』を美しく磨くことに夢中で、周りの陰口とか聞こえてなかったけどね!
そうしたらそのうち陰口とかもほとんど消えて、『僻み』が『羨望』に変わっていったのだから、面白いものである。
ニッコリと笑って告げるわたくしに、コンクシェル先生はどこか眩しそうに目を細め、「君は強いですね……」と微笑んだ。
「あら、コンクシェル先生」
軽いノックの後に生徒会室にいらしたのは、監査でもあり顧問でもあるチャーリー=コンクシェル先生だ。
少し長めな焦げ茶色の髪は肩付近でひとつにまとめられ、常に優しげに細められている穏やかな瞳は薄桃色。
20代後半と聞くけれど、落ち着いた雰囲気からか実年齢よりも年嵩に見られることも少なくないようだ。
コンクシェル男爵家の次男で、城で文官を務めた後に、優秀な青少年を育成したいと自ら志願し、ルディア学園で教鞭を取る道を選んだという。
先生自身も優秀で、たいそう惜しまれてルディア学園へ就任したとか。
その心意気、とても美しくてよ。
素晴らしいわ、先生。
「アメシスト君ですか……彼は少々、思い込みが激しいところがありますからね」
「そこが彼の良いところでもありますわ。わたくしは気にしておりませんことよ」
コンクシェル先生は、アメシスト様が先程出ていった扉から入室された。
恐らく廊下で苦々しい顔をした彼とすれ違ったのだろう。やんわりとしたフォローのような言葉を頂いてしまった。
実の所、本当にアメシスト様の言動は気にしていないのだ。
先程も言った通り同じ土俵に立ってやるつもりはないし、何よりぶっちゃけ、これくらいの嫉妬は慣れっこというもの。
わたくしの──『ユリア』の産まれたラピス公爵家というのは、ここ、ルナティア王国において絶大なる権力を誇る名家中の名家だ。
国立時代から存在し、成り立ちは初代国王の弟君が臣籍降下をして興した公爵家というのだからその歴史が伺える。
それ以降も度々王家の血族を養子に迎えたり婚姻関係を結んでいるのだ。
そりゃあ、わたくしとジーク様も婚約者になるってもんでしょう。
つまりは公爵家の中でも、めちゃくちゃ凄い一族、ということね。
そんな家にこれだけ容姿端麗で成績優秀な才色兼備な美女が産まれたのだ。
そりゃあ『妬み僻み』で虐めが起きる貴族社会において、嫉妬の的にならないわけがないというもの。
──ま!『ユリア』を美しく磨くことに夢中で、周りの陰口とか聞こえてなかったけどね!
そうしたらそのうち陰口とかもほとんど消えて、『僻み』が『羨望』に変わっていったのだから、面白いものである。
ニッコリと笑って告げるわたくしに、コンクシェル先生はどこか眩しそうに目を細め、「君は強いですね……」と微笑んだ。
8
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
婚約破棄の、その後は
冬野月子
恋愛
ここが前世で遊んだ乙女ゲームの世界だと思い出したのは、婚約破棄された時だった。
身体も心も傷ついたルーチェは国を出て行くが…
全九話。
「小説家になろう」にも掲載しています。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
悪意には悪意で
12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。
私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。
ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する
ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。
皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。
ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。
なんとか成敗してみたい。
気絶した婚約者を置き去りにする男の踏み台になんてならない!
ひづき
恋愛
ヒロインにタックルされて気絶した。しかも婚約者は気絶した私を放置してヒロインと共に去りやがった。
え、コイツらを幸せにする為に私が悪役令嬢!?やってられるか!!
それより気絶した私を運んでくれた恩人は誰だろう?
悪役令嬢は断罪回避に尽くします
夜桜 舞
恋愛
異世界中世風な乙女ゲームの世界に悪役令嬢「スティラ・レミラクシャ」として転生してしまった私。スティラはゲームだとハッピーエンドだろうがバッドエンドだろうが関係なく、断罪されて雑に死ぬ未来にある……。
「そんな未来、認めてたまるもんか!!」
死ぬ未来? そんなもん関係ない。ゲームのスティラは、わざわざヒロインを目の敵にして、いじめ倒したから断罪されたんだ。であれば、私はヒロインに関わらずに過ごせばいい!! と意気込んだものは良いが、あっちから私に関わってくると考え……。
私は、断罪後も自分の力で生きれるくらい強くなればいいという結論にいたり、早速行動に移した私は、色々な波乱もありながらも、ゲームの舞台である学園入学時には、魔法の腕前も剣の腕前も大人顔負けの技能を手に入れた。まぁ、ゲームのスティラの結末である断罪を回避するのが一番良いのだが……。※小説家になろう様にも投稿しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる