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旅立ち
4。
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「改めて自己紹介するわね。私はシェル」
「シェル・・・・?」
何処かで聞いた事がある。
「シェル・・・シェラ・・・、シェラ・フィータ・・・う~ん」
「あら、良く分かったわね。私のフルネーム」
彼女はにっこりして答える。
「ええっ!?」
シェラ・フィータといえば、古代遺跡を荒らし回る有名な大盗賊だ。
でもまさかこんな人が・・・・。
いや、まてよ。別人かもしれないよな。そういう名前の人なんか・・・・。
と思ってたら彼女が、
「じゃあ他の別紹介を。ええ、そうよ。私が大盗賊と言われているシェラ・フィータ。シェルって呼んで」
・・・・・・・・・どうりで暗闇の中でも眼が利くし、足も速いし、身のこなしも軽やかなわけだ。
あれ?
「あの・・・でもどうして牢は抜けられなかったの?」
「何もかも取られてしまったのよ。くやしいことにね」
そういえば僕も何もかも取られてしまったままだ。ここのままだと宿屋でただ働きか、野宿か・・・・。
僕は野宿に慣れているけど、彼女はどうだろう?
そう考えていると、
「ロムル、野宿慣れている?」
「あ、うん」
彼女の方から言い出してきた。
「ちょっとやることがあるの。だから今日はここら辺で休みましょう」
お城に用があるのかな?
まあ幸い、城壁の裏は昼間でさえ余り光が入らない鬱蒼とした森だった。
僕は取りあえず森に入って薪になりそうな木の枝を拾ってきた。
火の魔法を使おうとしたらラクナスがそっと火を吹いてくれた。
「・・・そうだよな。お前は一吹きするだけで良いんだもんな・・・」
なんだか自分が空しくなってしまった。
シェルは木の上で日の沈むのを待っていたが、完全に日が沈むのを確認するといとも簡単に木から滑り落ちてきて、
「じゃあちょっと出かけてくるから。帰りは遅いと思うから辺りに気を付けて先に休んでて良いわよ。あ、あとそれから良かったらラクナス・・・?だっけ?貸してくれない?」
「?・・・いいけど・・・」
「ありがとう。じゃ、行ってくるわね」
ラクナスは言葉が分かるように彼女の肩に飛び乗り、彼女は風のようにそこを去っていった。
何時間経っただろうか。
フクロウの声で目が覚めた。
どうやらそんな深い眠りではなかったらしい。
でもいつもいつの間にか眠っていた。
「目が覚めた?ロムル」
!?
「・・・シェル・・・。お帰り」
彼女は驚いた僕の顔に笑っていた。
僕がばつの悪い顔をしていると、ラクナスが飛んできて僕の顔に頬ずりする。まるで「ただいま」と言っているように。
僕はそれに応えるようにラクナスの喉を撫でてやった。
「ラクナス、貸してくれてありがとう。はい。ロムル、お礼に・・・これ」
「あ、れ・・・?」
シェルが御礼にと渡してくれたものは、取られたはずの僕の荷物だった。
シェルが取り返してきてくれたんだ。
「ロムルのはどれだか分らなかったけど、ラクナスが見つけてくれたの」
そうか。
その為にラクナスを連れて行ったんだ。
「シェル、ありがとう」
そう言うと彼女はクスっと笑い、どういたしまして、と返してくれた。
「ああ、そういえばロムル。貴方の荷物・・・そう、それ。重かったけど何が入っているの?」
「うーん、食料。能天気な母さんのせいで、ね。これ全部だよ」
「ええ!?」
今度は彼女が驚く。無理もない。いくら5日間食べてきたとはいえ、僕の座高と頭一つ分kぐらいしか違わないのだ。
「うーん。貴方がこれから何処に行くのかは分からないけど、一週間分くらい残してあとは金貨に変えちゃったらどうかしら?その方が貴方も楽でしょう?私、そういうお店知っているから明日案内してあげるわ」
にっこりとシェルが笑う。本当にシェルは一目見ただけじゃ、いいや、何度見たって誰も盗賊だなんて思えない程邪気の無い笑顔を僕に見せてくれた。
「さて、でもこれからどうしよう」
兄さんもいない・・・。このままいたってどうしようもない。探すといったって見当もつかない。敵が何の魔法を使ったのかさえ分からないのだから・・・。
「そういえば、ロムルはどうして捕まってしまったの?」
シェルは不思議そうな顔をして僕に問いかける。
僕はいままでの事を一部始終シェルに話した。
「お兄さんを探しているのね」
「うん、でももう手がかりがなくなっちゃって・・・」
「・・・・・・・あるかもしれないわ。例えばロムルを蹴った人、お兄さんに似ていたんでしょ?どうして?」
わけのわからない質問だ。
「そりゃあ僕は兄さん以外に紅蓮の髪を持っている人を見たことなかったから・・・」
「私も今まで色々なところに行ってはいるけれど、赤い髪なんて見たことないわ」
シェルは笑いながら応える。答えは見つかった?とでも言うように。
ええと、でも戦士隊の方は行けないよな。何しろあんな暴言を吐いてしまったし。
他に戦士隊の事を良く知っている人・・・・!!
「分かった。分かったよ、シェル」
「どうする?」
「明日街に出て、魔法隊のストルーアさんに会って聞いてみる」
「そう。でも万が一狙われるといけないから私も付き合うわ」
「本当!?シェル」
「ええ、それにその重いものも売らなきゃいけないしね」
「あ・・・・」
食料のことだ。
「シェル・・・・?」
何処かで聞いた事がある。
「シェル・・・シェラ・・・、シェラ・フィータ・・・う~ん」
「あら、良く分かったわね。私のフルネーム」
彼女はにっこりして答える。
「ええっ!?」
シェラ・フィータといえば、古代遺跡を荒らし回る有名な大盗賊だ。
でもまさかこんな人が・・・・。
いや、まてよ。別人かもしれないよな。そういう名前の人なんか・・・・。
と思ってたら彼女が、
「じゃあ他の別紹介を。ええ、そうよ。私が大盗賊と言われているシェラ・フィータ。シェルって呼んで」
・・・・・・・・・どうりで暗闇の中でも眼が利くし、足も速いし、身のこなしも軽やかなわけだ。
あれ?
「あの・・・でもどうして牢は抜けられなかったの?」
「何もかも取られてしまったのよ。くやしいことにね」
そういえば僕も何もかも取られてしまったままだ。ここのままだと宿屋でただ働きか、野宿か・・・・。
僕は野宿に慣れているけど、彼女はどうだろう?
そう考えていると、
「ロムル、野宿慣れている?」
「あ、うん」
彼女の方から言い出してきた。
「ちょっとやることがあるの。だから今日はここら辺で休みましょう」
お城に用があるのかな?
まあ幸い、城壁の裏は昼間でさえ余り光が入らない鬱蒼とした森だった。
僕は取りあえず森に入って薪になりそうな木の枝を拾ってきた。
火の魔法を使おうとしたらラクナスがそっと火を吹いてくれた。
「・・・そうだよな。お前は一吹きするだけで良いんだもんな・・・」
なんだか自分が空しくなってしまった。
シェルは木の上で日の沈むのを待っていたが、完全に日が沈むのを確認するといとも簡単に木から滑り落ちてきて、
「じゃあちょっと出かけてくるから。帰りは遅いと思うから辺りに気を付けて先に休んでて良いわよ。あ、あとそれから良かったらラクナス・・・?だっけ?貸してくれない?」
「?・・・いいけど・・・」
「ありがとう。じゃ、行ってくるわね」
ラクナスは言葉が分かるように彼女の肩に飛び乗り、彼女は風のようにそこを去っていった。
何時間経っただろうか。
フクロウの声で目が覚めた。
どうやらそんな深い眠りではなかったらしい。
でもいつもいつの間にか眠っていた。
「目が覚めた?ロムル」
!?
「・・・シェル・・・。お帰り」
彼女は驚いた僕の顔に笑っていた。
僕がばつの悪い顔をしていると、ラクナスが飛んできて僕の顔に頬ずりする。まるで「ただいま」と言っているように。
僕はそれに応えるようにラクナスの喉を撫でてやった。
「ラクナス、貸してくれてありがとう。はい。ロムル、お礼に・・・これ」
「あ、れ・・・?」
シェルが御礼にと渡してくれたものは、取られたはずの僕の荷物だった。
シェルが取り返してきてくれたんだ。
「ロムルのはどれだか分らなかったけど、ラクナスが見つけてくれたの」
そうか。
その為にラクナスを連れて行ったんだ。
「シェル、ありがとう」
そう言うと彼女はクスっと笑い、どういたしまして、と返してくれた。
「ああ、そういえばロムル。貴方の荷物・・・そう、それ。重かったけど何が入っているの?」
「うーん、食料。能天気な母さんのせいで、ね。これ全部だよ」
「ええ!?」
今度は彼女が驚く。無理もない。いくら5日間食べてきたとはいえ、僕の座高と頭一つ分kぐらいしか違わないのだ。
「うーん。貴方がこれから何処に行くのかは分からないけど、一週間分くらい残してあとは金貨に変えちゃったらどうかしら?その方が貴方も楽でしょう?私、そういうお店知っているから明日案内してあげるわ」
にっこりとシェルが笑う。本当にシェルは一目見ただけじゃ、いいや、何度見たって誰も盗賊だなんて思えない程邪気の無い笑顔を僕に見せてくれた。
「さて、でもこれからどうしよう」
兄さんもいない・・・。このままいたってどうしようもない。探すといったって見当もつかない。敵が何の魔法を使ったのかさえ分からないのだから・・・。
「そういえば、ロムルはどうして捕まってしまったの?」
シェルは不思議そうな顔をして僕に問いかける。
僕はいままでの事を一部始終シェルに話した。
「お兄さんを探しているのね」
「うん、でももう手がかりがなくなっちゃって・・・」
「・・・・・・・あるかもしれないわ。例えばロムルを蹴った人、お兄さんに似ていたんでしょ?どうして?」
わけのわからない質問だ。
「そりゃあ僕は兄さん以外に紅蓮の髪を持っている人を見たことなかったから・・・」
「私も今まで色々なところに行ってはいるけれど、赤い髪なんて見たことないわ」
シェルは笑いながら応える。答えは見つかった?とでも言うように。
ええと、でも戦士隊の方は行けないよな。何しろあんな暴言を吐いてしまったし。
他に戦士隊の事を良く知っている人・・・・!!
「分かった。分かったよ、シェル」
「どうする?」
「明日街に出て、魔法隊のストルーアさんに会って聞いてみる」
「そう。でも万が一狙われるといけないから私も付き合うわ」
「本当!?シェル」
「ええ、それにその重いものも売らなきゃいけないしね」
「あ・・・・」
食料のことだ。
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