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第156話 意外な助け
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「レナン様?」
嘘のような光景にルドとライカは目を見張り、セシルはお化けでも見る様な目で呆然としていた。
「皆大丈夫?」
魔法など使えないと思っていたレナンが転移魔法にて現れ、しかも見張りの者達を倒していく。
(お母様ってこんなに強かったのですね)
内側から見ていたミューズもびっくりする。
(うん、昔から強くてね。ロキが何かするたびに止めていたのも彼女だから、その為ってのもあるよ)
ディエスが補足して話をしていく。
(かっこいい、わたくしもこのような魔術師になってみたいわ)
守られるだけの存在ではいたくないレナンはこのように魔力を駆使するリリュシーヌに憧れる。
「体を返したら少しは魔法を使用した感覚が残っているかもね。後はロキに教えてもらうといいわよ。性格は悪いけど知識は多いから」
レナンの口でそうリリュシーヌが言うと、ルドは違和感に気づく。
「あなた誰です?」
剣も持たず、縛られている三人は警戒心を強める。
ルビアの魔法によりレナンも操られている可能性を考えたのだ。
「大丈夫、私は味方よ」
リリュシーヌは三人を鎖から解き放つ。
魔法を手足のように使い、自身に満ち溢れた姿は普段のレナンとはかけ離れ過ぎていた。
「私はリリュシーヌ、ミューズの母親よ」
「「「?!」」」
三人はその名に覚えがあった。
「何故そのような方がレナン様の体に?」
ライカの言葉にミューズが話しかける。
(お母様、私に話をさせて欲しいの)
「わかったわ、話はミューズからするからね」
にこりと笑い、目を閉じる。
「皆、ごめんなさい。私のせいで。このような目に合わせてしまって」
ミューズは両手を胸の前で合わせ、三人へ謝罪をする。
「許して欲しいとはいえないけれど、でもティタン様は私が必ず助けますから」
そう伝えてから今までの事を三人に手短に話していく。
「気になさらないでください、ミューズ様。俺も操られているとはいえ、あなたに向かって切りかかってしまった……もうしわけありません。罰は後でいくらでも受けます。今は一刻も早くリオン様と合流し、皆を取り戻しましょう」
ルドはレナンに跪き、己が行なった事に対しての謝罪を行なう。
「あの状況では仕方ないわ、それにあなたの行なった事は正しい。あそこで私を殺していれば、少なくともルビアに体を奪われたままではなかっただろうし」
ティタンがルド達と戦う姿は見たくなかった。
自分がしっかりしていればこのような事にならなかったのに。
「すみません、情報が多くて俺の頭では何が何やら……ですが、ミューズ様の事がこうして生きていてくださって良かった。怒ってはおりません、卑怯なルビアには改めて殺意が湧きますが」
ライカは眉間に皺を寄せ、呼吸を荒くしている。
「どこまでも卑怯な女だ」
ミューズの肉親を操り、ミューズを人質にし、尊敬する主、ティタンさえも奪った。
これで怒りが沸かないわけがない。
「レナン様がいれば少なくともティタン様は取り戻せるでしょうけど、ミューズ様の体も取り戻せるのでしょうか?」
セシルは懸念を口にする。
魂だけになればルビアは生きていけない。
消滅してしまうならば必死の抵抗はするだろう。
「またミューズ様の体を傷つけるような事、それも致命傷を与える様な傷を付けられたら、僕の魔法では回復が追い付きません」
あの時助かったのはミューズの魔法があったからこそだ。
自分では助けられなかった事実にセシルは恐怖を感じていた。
しかも今は魔力が減った状態、同じような状況になった時、果たして死に至る様な傷を治せるかわからない。
「リオン様と合流すればサミュエルもキュアもいる。一人で抱え込もうとするな」
ライカに励まされ、セシルは震える手を握りしめた。
「ありがとうライカ」
(でも心配に思うのは確かよね……)
充分な魔力を持つ王太子が負け、戦で鬼のような活躍をした第二王子があちらの手駒となっている。
こちらはかなり疲労も見え、戦力も落ちている。
(何とか戦力を増やさないといけないわね)
リリュシーヌは一つの提案をしてみた。
嘘のような光景にルドとライカは目を見張り、セシルはお化けでも見る様な目で呆然としていた。
「皆大丈夫?」
魔法など使えないと思っていたレナンが転移魔法にて現れ、しかも見張りの者達を倒していく。
(お母様ってこんなに強かったのですね)
内側から見ていたミューズもびっくりする。
(うん、昔から強くてね。ロキが何かするたびに止めていたのも彼女だから、その為ってのもあるよ)
ディエスが補足して話をしていく。
(かっこいい、わたくしもこのような魔術師になってみたいわ)
守られるだけの存在ではいたくないレナンはこのように魔力を駆使するリリュシーヌに憧れる。
「体を返したら少しは魔法を使用した感覚が残っているかもね。後はロキに教えてもらうといいわよ。性格は悪いけど知識は多いから」
レナンの口でそうリリュシーヌが言うと、ルドは違和感に気づく。
「あなた誰です?」
剣も持たず、縛られている三人は警戒心を強める。
ルビアの魔法によりレナンも操られている可能性を考えたのだ。
「大丈夫、私は味方よ」
リリュシーヌは三人を鎖から解き放つ。
魔法を手足のように使い、自身に満ち溢れた姿は普段のレナンとはかけ離れ過ぎていた。
「私はリリュシーヌ、ミューズの母親よ」
「「「?!」」」
三人はその名に覚えがあった。
「何故そのような方がレナン様の体に?」
ライカの言葉にミューズが話しかける。
(お母様、私に話をさせて欲しいの)
「わかったわ、話はミューズからするからね」
にこりと笑い、目を閉じる。
「皆、ごめんなさい。私のせいで。このような目に合わせてしまって」
ミューズは両手を胸の前で合わせ、三人へ謝罪をする。
「許して欲しいとはいえないけれど、でもティタン様は私が必ず助けますから」
そう伝えてから今までの事を三人に手短に話していく。
「気になさらないでください、ミューズ様。俺も操られているとはいえ、あなたに向かって切りかかってしまった……もうしわけありません。罰は後でいくらでも受けます。今は一刻も早くリオン様と合流し、皆を取り戻しましょう」
ルドはレナンに跪き、己が行なった事に対しての謝罪を行なう。
「あの状況では仕方ないわ、それにあなたの行なった事は正しい。あそこで私を殺していれば、少なくともルビアに体を奪われたままではなかっただろうし」
ティタンがルド達と戦う姿は見たくなかった。
自分がしっかりしていればこのような事にならなかったのに。
「すみません、情報が多くて俺の頭では何が何やら……ですが、ミューズ様の事がこうして生きていてくださって良かった。怒ってはおりません、卑怯なルビアには改めて殺意が湧きますが」
ライカは眉間に皺を寄せ、呼吸を荒くしている。
「どこまでも卑怯な女だ」
ミューズの肉親を操り、ミューズを人質にし、尊敬する主、ティタンさえも奪った。
これで怒りが沸かないわけがない。
「レナン様がいれば少なくともティタン様は取り戻せるでしょうけど、ミューズ様の体も取り戻せるのでしょうか?」
セシルは懸念を口にする。
魂だけになればルビアは生きていけない。
消滅してしまうならば必死の抵抗はするだろう。
「またミューズ様の体を傷つけるような事、それも致命傷を与える様な傷を付けられたら、僕の魔法では回復が追い付きません」
あの時助かったのはミューズの魔法があったからこそだ。
自分では助けられなかった事実にセシルは恐怖を感じていた。
しかも今は魔力が減った状態、同じような状況になった時、果たして死に至る様な傷を治せるかわからない。
「リオン様と合流すればサミュエルもキュアもいる。一人で抱え込もうとするな」
ライカに励まされ、セシルは震える手を握りしめた。
「ありがとうライカ」
(でも心配に思うのは確かよね……)
充分な魔力を持つ王太子が負け、戦で鬼のような活躍をした第二王子があちらの手駒となっている。
こちらはかなり疲労も見え、戦力も落ちている。
(何とか戦力を増やさないといけないわね)
リリュシーヌは一つの提案をしてみた。
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