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第8話 鷹と鳩の結婚
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婚姻の日、エリックは沈んだ気持ちを表に出さないようにと平常心を保とうとした。
(駄目だな。殺意が出てしまう)
エリックの気持ちに呼応するように、足元から冷気が漂い、薄い氷が張っていた。
エリックはこの世界でも珍しい魔力持ちであった。
制御について上手に行かず、こうして気持ちが出てしまうのだ。
「何とか抑えてください」
ニコラもオロオロと慌てながら時計とにらめっこしている。
間もなく時間なのに、エリックの魔法が不安定に発動しているため、このままでは入場出来ない。
「殺したいような相手と結婚とは、さすがに殺意も湧くのではないか?」
極自然な事だと思ってしまう。
「それではレナン様に嫌われてしまいますよ」
それを言われた途端にエリックの殺意が緩和する。
「そう、だな。心優しい彼女が実姉に向けての殺意を目の当たりにしたら、きっと傷つくだろう」
ようやく落ち着きを取り戻す。
「落ち着いて頂けてよかったです」
(とは言っても肝心のレナン様はいないようですけどね)
嘘か真か、体調不良で欠席と聞いている。
だがようやく収まったエリックに、余計な事を告げる気はない。
パロマ国王の手を取って、しずしずと花嫁が姿を見せる。
真っ白な羽と真っ白なドレス。顔は厚めのヴェールに包まれ、俯いているので見えない。
(このようなヴェールは用意した覚えがないが)
こちらの国からの贈り物のはずで、エリックも一度は目にしている。
その為このようなデザインではなかったと記憶していたが。
だが、顔が見えないのは都合がいい。
「エリック殿下。娘をよろしくお願いします」
「……はい」
パロマ国王の言葉に短く返事をし、エリックは腕を出す。
そっと細い指が遠慮がちに添えられる。
隣に立つ女性と目も合わせることもなく、エリックは視線をずっとそらしていた。
(何とか手紙を渡したいのだけれど)
機会を伺いたく顔を上げてエリックを見るが、気づかないふりをして見ようとしないままだ。
「エリック様……」
小さな声で呟くが、彼の視線は誰かを探しているようで、こちらへの意識はまるでない。
レナンを探して視線を彷徨わせているが、まるで見つけられず、苛立ちが募っている。
(まさかこのような席にも連れてこないというのか? どれだけ彼女は排斥しようとすれば気が済むのだ)
大事な大事な式のはずなのに。
怒りに拳を握り震えると、そっとエリックの腕に添える手に力を込められる。
不快気に視線を向けると、おずおずと手紙を差し出された。
このような席で何だろうと訝しむが、とりあえず受け取る。
「誰にも見せないようにしてくださいませ」
小声でそう頼まれた時は、身震いを起こした。
怒りではない、驚きでだ。
(駄目だな。殺意が出てしまう)
エリックの気持ちに呼応するように、足元から冷気が漂い、薄い氷が張っていた。
エリックはこの世界でも珍しい魔力持ちであった。
制御について上手に行かず、こうして気持ちが出てしまうのだ。
「何とか抑えてください」
ニコラもオロオロと慌てながら時計とにらめっこしている。
間もなく時間なのに、エリックの魔法が不安定に発動しているため、このままでは入場出来ない。
「殺したいような相手と結婚とは、さすがに殺意も湧くのではないか?」
極自然な事だと思ってしまう。
「それではレナン様に嫌われてしまいますよ」
それを言われた途端にエリックの殺意が緩和する。
「そう、だな。心優しい彼女が実姉に向けての殺意を目の当たりにしたら、きっと傷つくだろう」
ようやく落ち着きを取り戻す。
「落ち着いて頂けてよかったです」
(とは言っても肝心のレナン様はいないようですけどね)
嘘か真か、体調不良で欠席と聞いている。
だがようやく収まったエリックに、余計な事を告げる気はない。
パロマ国王の手を取って、しずしずと花嫁が姿を見せる。
真っ白な羽と真っ白なドレス。顔は厚めのヴェールに包まれ、俯いているので見えない。
(このようなヴェールは用意した覚えがないが)
こちらの国からの贈り物のはずで、エリックも一度は目にしている。
その為このようなデザインではなかったと記憶していたが。
だが、顔が見えないのは都合がいい。
「エリック殿下。娘をよろしくお願いします」
「……はい」
パロマ国王の言葉に短く返事をし、エリックは腕を出す。
そっと細い指が遠慮がちに添えられる。
隣に立つ女性と目も合わせることもなく、エリックは視線をずっとそらしていた。
(何とか手紙を渡したいのだけれど)
機会を伺いたく顔を上げてエリックを見るが、気づかないふりをして見ようとしないままだ。
「エリック様……」
小さな声で呟くが、彼の視線は誰かを探しているようで、こちらへの意識はまるでない。
レナンを探して視線を彷徨わせているが、まるで見つけられず、苛立ちが募っている。
(まさかこのような席にも連れてこないというのか? どれだけ彼女は排斥しようとすれば気が済むのだ)
大事な大事な式のはずなのに。
怒りに拳を握り震えると、そっとエリックの腕に添える手に力を込められる。
不快気に視線を向けると、おずおずと手紙を差し出された。
このような席で何だろうと訝しむが、とりあえず受け取る。
「誰にも見せないようにしてくださいませ」
小声でそう頼まれた時は、身震いを起こした。
怒りではない、驚きでだ。
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