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第7話 鳩の国 企て
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「やはりあのような男と共に暮らすなんて無理だわ。絶対に嫌よ」
ヘルガはヒステリックに喚き散らす。
「王妃になるのはいいけれど、始終あのような目線を向けられるなんて、恐ろしくて耐えられない」
蔑むように見下ろしてきた冷たい目は、例え一緒にいても心変わりをするなんて思えない。
第一王女として蝶よ花よと育てられた自分にとっては耐えきれないのもあるし、何より屈辱だ。
「だがヘルガ、式は明日だぞ?」
娘の我儘で覆すことなど出来ないと、国王は何とか宥めようとする。
「レナンに行かせればいいわ」
「そんな事をしたのでは両国の関係にヒビが入る! 下手したらファルケに攻め入られるぞ?!」
さすがに可愛い娘の頼みでも聞くわけにはいかない。
「お願い、お父様。このままでは私、生きていけないわ」
事実殺害を示唆されているし、ファルケに行きたくない。
パロマにいれば、少なくとも命は狙えないはずだ。
「最初に会った時からエリック様はレナンの話しをしてきたし、手紙でもレナンの事ばかりよ。ならば私が行くよりは妹を行かせた方が喜ぶわ」
文をきちんとは見ていないが、妹を大事にするようにとは書かれていた。
そうして案じているならば、あちらにとっても良いことであろう。
「駄目だ」
きっぱりと王は言い切る。
「ただの婚姻ではない。国同士の信用のためだ。こればかりは我儘は聞けない」
話は終わりだと国王は部屋を去る。
ヘルガはそれでも諦められない。
「そうだわレナンが勝手に入れ替わったようにすればいい」
「だ、駄目です、そんな事」
身代わりを命じられ、レナンは拒否をする。
「進んで手紙やプレゼントを渡していたし、嫌いではないでしょ?」
「それは、失礼があってはならないからというもので、けして進んででは……」
レナンは恥ずかしさで俯いてしまう。
恋心がバレてしまったのかと思ったのだ。
だが、ヘルガにとってはレナンもエリックのもとに嫁ぐのを嫌がったからだと映った。
レナンの嫌がる素振りに、ヘルガの嗜虐心が煽られる。
「きっとバレないわ、だってあれ以来会ってないし、式ではヴェールを被るもの。あちらもパロマからの王女であればいいはずよ」
いい案だとヘルガは笑う。
「どうせあなたは好いた男もいないし、いなくなってもこの国に支障はないわ。ならば私の代わりに嫁いだ方が余程役に立つわ。エリック様も喜ぶもの」
バレて咎めを受けるとしてもレナンだけだ。
「私が事情を記した手紙を書くから、隙をついて渡しなさい。そうすればエリック様もわかってくれるわ」
有無を言わさぬ迫力に、レナンはそれ以上反抗が出来なかった。
ヘルガはヒステリックに喚き散らす。
「王妃になるのはいいけれど、始終あのような目線を向けられるなんて、恐ろしくて耐えられない」
蔑むように見下ろしてきた冷たい目は、例え一緒にいても心変わりをするなんて思えない。
第一王女として蝶よ花よと育てられた自分にとっては耐えきれないのもあるし、何より屈辱だ。
「だがヘルガ、式は明日だぞ?」
娘の我儘で覆すことなど出来ないと、国王は何とか宥めようとする。
「レナンに行かせればいいわ」
「そんな事をしたのでは両国の関係にヒビが入る! 下手したらファルケに攻め入られるぞ?!」
さすがに可愛い娘の頼みでも聞くわけにはいかない。
「お願い、お父様。このままでは私、生きていけないわ」
事実殺害を示唆されているし、ファルケに行きたくない。
パロマにいれば、少なくとも命は狙えないはずだ。
「最初に会った時からエリック様はレナンの話しをしてきたし、手紙でもレナンの事ばかりよ。ならば私が行くよりは妹を行かせた方が喜ぶわ」
文をきちんとは見ていないが、妹を大事にするようにとは書かれていた。
そうして案じているならば、あちらにとっても良いことであろう。
「駄目だ」
きっぱりと王は言い切る。
「ただの婚姻ではない。国同士の信用のためだ。こればかりは我儘は聞けない」
話は終わりだと国王は部屋を去る。
ヘルガはそれでも諦められない。
「そうだわレナンが勝手に入れ替わったようにすればいい」
「だ、駄目です、そんな事」
身代わりを命じられ、レナンは拒否をする。
「進んで手紙やプレゼントを渡していたし、嫌いではないでしょ?」
「それは、失礼があってはならないからというもので、けして進んででは……」
レナンは恥ずかしさで俯いてしまう。
恋心がバレてしまったのかと思ったのだ。
だが、ヘルガにとってはレナンもエリックのもとに嫁ぐのを嫌がったからだと映った。
レナンの嫌がる素振りに、ヘルガの嗜虐心が煽られる。
「きっとバレないわ、だってあれ以来会ってないし、式ではヴェールを被るもの。あちらもパロマからの王女であればいいはずよ」
いい案だとヘルガは笑う。
「どうせあなたは好いた男もいないし、いなくなってもこの国に支障はないわ。ならば私の代わりに嫁いだ方が余程役に立つわ。エリック様も喜ぶもの」
バレて咎めを受けるとしてもレナンだけだ。
「私が事情を記した手紙を書くから、隙をついて渡しなさい。そうすればエリック様もわかってくれるわ」
有無を言わさぬ迫力に、レナンはそれ以上反抗が出来なかった。
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