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第3話 悲しみ
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本日は他国との交流を深めるパーティだ。
多くの国の要人と挨拶を交わし、話をし、飲み物を飲んで一息をついていた。
隣にはもちろんエリックが……というわけではないので、レナンはため息をつく。
レナンは遠くからエリックとエーデルの様子を見ていた。
二人とも美形で、並ぶととても見栄えが良く、隣に立つのも様になっている。
周囲も美男美女のペアに賞賛の声を上げていた。
そして聞こえてくる噂話にレナンは肩を落とし、表情も翳りが帯びる。
「エリック様はエーデル様と恋仲であったが、国の益を優先し泣く泣く別れた」
「パロマが無理矢理よこした女性のせいで他の女性を選べなくなった。ラタのものも誘惑し販路を開いた事を笠に着て、側室も許さない心の狭い王女だ」
「長年想いを寄せていたエーデルが可哀想だ。彼女はファルケの者達に気に入られていたのに」
など。
(……わたくしでない方がエリック様にとっては良さそうね)
エリックの腕に触れているあの手も忌々しい。
そんな思いに駆られ、レナンは自分の醜い嫉妬に気づいた。
(こんな思いを抱いては駄目だわ)
とは思うもののエリックに相応しいのは自分ではないのだと再認識し、レナンはもう部屋に帰りたいほど悲しかった。
仕事の話で二人は一緒にいるのだが、それも許せそうにない。
レナンにはわからない話だからだとエーデルには言われ、エリックからも疲れているだろうから少しだけ待っていてくれと、断られてしまった。
自分が知識不足、力不足なので側にいられないのが悪いのだと痛感はしているが、納得は出来ていない。
「レナン様、少し席を外しましょう」
涙が零れそうなレナンを見てキュアはそう促し、急ぎパーティ会場を後にする。
エリックの方を見る余裕はなかった。
「レナン?」
ようやく長話が終わり、妻を探すが見つからない。
疲れている様子だったので少し休むようにと言って置いてきてしまったが、心配だ。
「一人で戻ったのか? もしかして具合を悪くしたのだろうか」
「きっとどこかで友人の方とお話でもなされているのですよ。大人ですもの、大丈夫ですわ」
そうふんわりとした口調で言うエリーゼだが、エリックは落ち着かない。
(誰かに拐かされたわけではないだろうな)
護衛もいるし、過保護すぎるとは自覚しているが、それでも心配だ。
話が終わった後、エリックはすぐさまエーデルの腕を解いていた。
商談中に勝手に繋がれたのだが、ふりほどいて剣呑な雰囲気にするわけにもいかず、そのままにしていたのだが。
まさか見られていたとは思っていない。
「すまないがエーデル王女、あとは好きに楽しんでくれ。俺はレナンを探しに行く」
「この後はダンスの時間ですよ。折角だから一緒に踊りましょう」
エーデルは強引に腕を掴もうとするが逃げられてしまう。
「参加する気はない。ファーストダンスの相手もいないしな」
初めに踊るのは配偶者か婚約者だ。
エーデルと踊るなど良からぬ誤解を生んでしまう為、するわけがない。
「今までは一番に私と踊ってくれていたではないですか」
尚も食い下がるエーデルに不信感を抱く。
「エーデル王女だけではないし、今までは相手がいなかったからだ。今後は妻意外と踊る事はない」
そう言ってあっさりと行ってしまう。残されたエーデルは怒り心頭だ。
「婚約者だという実姉を騙して、エリック様と関係を持った最低な女じゃない! そんな女より私の方が彼に相応しいのに!」
ずっと良好な関係を築いていたし、エリックは今までエーデルの誘いを拒否することはなかった。
しっかりとした約束はなかったものの、いずれは婚姻するだろうとエーデルのみならず誰しもが考えていた。
エーデルもまたエリックが自分に相応しいと思っている。
だが蝶よ花よと育てられたエーデルは、もっとエリックを振り向かせたいと思い、自分の価値を高めようと、他の国の王子とダンスを踊ったり、手紙などの交流を行なっていた。
他の男性の元へ行くかもと嫉妬させ、エリックの気を惹こうとしたのだ。
そのせいなのか、それともタイミングが悪かったのか。
いつの間にかパロマ国と政略結婚の話が出て、瞬く間に婚姻までしてしまった。
ショック過ぎて式に出られず、その為にレナンと会ったのは今回が初めてだ。
彼の隣に立つには不釣り合いな見た目、そしてパッとしないし自分に自信もなさそうな女。どう見ても自分の方が上だと確信した。
彼と商談についての話をしたいと言って、パーティの最中に連れ出した時の泣きそうな顔は痛快だった。
仕事の話だからとレナンを拒んだ後、エリックも休んでいてくれとアシストするものだから、彼も離れたいのだと内心歓喜した。
その後腕に触れることも許されたから、「やはりあのような女は本当は好きではないのだ」と思ったのだが……なのに話が終わったら、こうしてあっさりと取り残されてしまう。
ダンスの時間では他の者から誘われて一人になる事はなかったが、エーデルの気持ちは燻ったままだ。
(エリック様はきっと義務であの女を大事にしているのだわ。だって小さい頃から一緒に居た私の方が、あの人の側にいるのにふさわしいもの)
可愛らしい笑顔の裏で、エリーゼは何とかレナンを排除しようと考えていた。
多くの国の要人と挨拶を交わし、話をし、飲み物を飲んで一息をついていた。
隣にはもちろんエリックが……というわけではないので、レナンはため息をつく。
レナンは遠くからエリックとエーデルの様子を見ていた。
二人とも美形で、並ぶととても見栄えが良く、隣に立つのも様になっている。
周囲も美男美女のペアに賞賛の声を上げていた。
そして聞こえてくる噂話にレナンは肩を落とし、表情も翳りが帯びる。
「エリック様はエーデル様と恋仲であったが、国の益を優先し泣く泣く別れた」
「パロマが無理矢理よこした女性のせいで他の女性を選べなくなった。ラタのものも誘惑し販路を開いた事を笠に着て、側室も許さない心の狭い王女だ」
「長年想いを寄せていたエーデルが可哀想だ。彼女はファルケの者達に気に入られていたのに」
など。
(……わたくしでない方がエリック様にとっては良さそうね)
エリックの腕に触れているあの手も忌々しい。
そんな思いに駆られ、レナンは自分の醜い嫉妬に気づいた。
(こんな思いを抱いては駄目だわ)
とは思うもののエリックに相応しいのは自分ではないのだと再認識し、レナンはもう部屋に帰りたいほど悲しかった。
仕事の話で二人は一緒にいるのだが、それも許せそうにない。
レナンにはわからない話だからだとエーデルには言われ、エリックからも疲れているだろうから少しだけ待っていてくれと、断られてしまった。
自分が知識不足、力不足なので側にいられないのが悪いのだと痛感はしているが、納得は出来ていない。
「レナン様、少し席を外しましょう」
涙が零れそうなレナンを見てキュアはそう促し、急ぎパーティ会場を後にする。
エリックの方を見る余裕はなかった。
「レナン?」
ようやく長話が終わり、妻を探すが見つからない。
疲れている様子だったので少し休むようにと言って置いてきてしまったが、心配だ。
「一人で戻ったのか? もしかして具合を悪くしたのだろうか」
「きっとどこかで友人の方とお話でもなされているのですよ。大人ですもの、大丈夫ですわ」
そうふんわりとした口調で言うエリーゼだが、エリックは落ち着かない。
(誰かに拐かされたわけではないだろうな)
護衛もいるし、過保護すぎるとは自覚しているが、それでも心配だ。
話が終わった後、エリックはすぐさまエーデルの腕を解いていた。
商談中に勝手に繋がれたのだが、ふりほどいて剣呑な雰囲気にするわけにもいかず、そのままにしていたのだが。
まさか見られていたとは思っていない。
「すまないがエーデル王女、あとは好きに楽しんでくれ。俺はレナンを探しに行く」
「この後はダンスの時間ですよ。折角だから一緒に踊りましょう」
エーデルは強引に腕を掴もうとするが逃げられてしまう。
「参加する気はない。ファーストダンスの相手もいないしな」
初めに踊るのは配偶者か婚約者だ。
エーデルと踊るなど良からぬ誤解を生んでしまう為、するわけがない。
「今までは一番に私と踊ってくれていたではないですか」
尚も食い下がるエーデルに不信感を抱く。
「エーデル王女だけではないし、今までは相手がいなかったからだ。今後は妻意外と踊る事はない」
そう言ってあっさりと行ってしまう。残されたエーデルは怒り心頭だ。
「婚約者だという実姉を騙して、エリック様と関係を持った最低な女じゃない! そんな女より私の方が彼に相応しいのに!」
ずっと良好な関係を築いていたし、エリックは今までエーデルの誘いを拒否することはなかった。
しっかりとした約束はなかったものの、いずれは婚姻するだろうとエーデルのみならず誰しもが考えていた。
エーデルもまたエリックが自分に相応しいと思っている。
だが蝶よ花よと育てられたエーデルは、もっとエリックを振り向かせたいと思い、自分の価値を高めようと、他の国の王子とダンスを踊ったり、手紙などの交流を行なっていた。
他の男性の元へ行くかもと嫉妬させ、エリックの気を惹こうとしたのだ。
そのせいなのか、それともタイミングが悪かったのか。
いつの間にかパロマ国と政略結婚の話が出て、瞬く間に婚姻までしてしまった。
ショック過ぎて式に出られず、その為にレナンと会ったのは今回が初めてだ。
彼の隣に立つには不釣り合いな見た目、そしてパッとしないし自分に自信もなさそうな女。どう見ても自分の方が上だと確信した。
彼と商談についての話をしたいと言って、パーティの最中に連れ出した時の泣きそうな顔は痛快だった。
仕事の話だからとレナンを拒んだ後、エリックも休んでいてくれとアシストするものだから、彼も離れたいのだと内心歓喜した。
その後腕に触れることも許されたから、「やはりあのような女は本当は好きではないのだ」と思ったのだが……なのに話が終わったら、こうしてあっさりと取り残されてしまう。
ダンスの時間では他の者から誘われて一人になる事はなかったが、エーデルの気持ちは燻ったままだ。
(エリック様はきっと義務であの女を大事にしているのだわ。だって小さい頃から一緒に居た私の方が、あの人の側にいるのにふさわしいもの)
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