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第5話 宣言
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「どういう事?」
翌日、ニコラがエリックの代わりにエーデルに伝えに来た。
エリックはレナンの側にいることで忙しいし、もう会う気はないのでニコラが伝言を承ったのだ。
「これからは僕がエーデル様のお相手をします。ダンスでもエスコートでも商談でも。何かあれば何でも言ってください、以後よろしくお願いします」
エーデルは露骨に嫌そうな顔をする。
「私は王族よ。それをもてなすのは王族ではなくて? 従者のあなたとだなんて、外聞が悪いわ、申し訳ないけど、お断りするわ」
いつもの優しい口調ではない。
苛立ち混じりのその声に、周囲の者は驚いていた。
だが、ニコラはあくまで笑顔を見せ崩さず、優しく話しかける。
「では仕方ありませんね。今後は商談の話は外交官とし、エスコートもダンスも宿泊先もご自身で探されてください。まぁファルケから出す招待状は両陛下と王太子様のみとさせて頂きますので、エーデル様が来られることは今後ないのですが」
にこにことした笑顔を崩さず、今後はエーデル単独では城に入れないという宣言がなされる。
「あなた、何を言っているの? 従者なんかにそんな権限あるわけがないでしょうが!」
見下すような発言は今までのエーデルからは考えられない事だった。
言っていることは間違ってはいないがこれまでの行いを考えると良くはない。
天使のように美しく優しいというエーデルの評価が崩れていく。
「残念ながら、これらは国王陛下にも了承されているの事項なのです。申し訳ございませんが受け入れてもらうしかありません」
心底辛そうな顔で告げているが、引く気はないと言葉にしている。
「どうしてそんな急に……」
エーデルはハッとした。
どう考えても昨日レナンがいなくなってから、エーデルに対する扱いが変わった。
レナンがファルケ国に何かを吹き込んだに違いないと考える。
「ねぇ、もしかしてレナン様のせいでは? 彼女が私にそんな酷い扱いをするように言ったのでしょ?」
「いいえ。レナン様はそのような事は言いません。全てエリック様の判断です」
「彼が私を拒む理由なんてないわ」
「側に寄せる理由もないでしょう。エリック様は結婚されましたし、エーデル様は独身。そろそろ身を固める頃合いでしょうし、幼馴染といてもこれからは一般的な距離を保った方がよろしいかと。エーデル様の婚約者候補は数多くいらっしゃると聞きます。今後はぜひご夫婦でおいでください。それなら歓迎しますよ」
エリック以上の男を見つけていないエーデルはその言葉に、顔を顰めた。
婚約者候補ではエリックが筆頭であったので、正直まだ他の者の事は考えていないのだ。
「応援してくれるならファルケのパーティに来るのは構わないでしょう? そこでだって出会いはあるし」
何年も話をし、側にいたエリックと離れがたいし、このままでは踏ん切りがつかない。
正直側室でもいいから、側に置いてもらいたいのだ。
「ファルケにこだわる理由もありませんよね。自国でも他国でも、今は国同士繋がりを強化するために様々なところでパーティは開かれ、エーデル様はそちらに招かれているはずですから」
「私にとってファルケは特別なのよ。エリック様とは幼馴染だし、小さい頃から訪れているから何でも知っているし。レナン様よりも付き合いも長いのに、どうして駄目というの?」
「ただの幼馴染と大事な王太子妃を比べるのも烏滸がましい事ですよ。どちらが大事かなんて、あなたもわかるでしょう?」
ガツンと殴られたような衝撃だ。
自分は特別ではないと、そう言われたのだ。
「あなた、王女の私にそんな口を聞いていいと思っているの? 国に帰ってお父様に言えばあなたの首は飛ぶわ」
「僕はエリック様の大事な従者でファルケの者です。僕に何かすればエリック様も国も黙っていませんが、よろしいですか?」
「くっ……」
「他国の知り合いの王女よりも自国の王太子妃の方が当然上で、その王太子妃を庇った忠臣の僕の方があなたよりも大事と決まっています」
悔しそうに睨みつけてくるエーデルに、二コラは震えあがる様な仕草をする。
「怖いですね。僕は気が弱いんです、そんな睨みつけられるなんて恐ろしくて震えてしまう……皆さんはどうですか?」
エーデルの付き添いの侍女と護衛に視線を移した。
彼らは話の展開に戸惑い、そして美しく優しいエーデルが、今は鬼のような形相で二コラを睨んでいるのを見て驚くばかりだ。
「唐突な宣言で申し訳ないとは思ったのですけれど、どうもレナン様を悪しく言ったり、エリック様の本当の恋人は自分だと吹聴なされているようなので、こちらも黙って見過ごすわけには行かず。申し訳ございませんが、早々にシスネにお帰り頂くようにとも言われまして。本当に申し訳ない」
「そんな事、私言っていないわ!」
「そうですね、直接言うのは周囲の者でしたね。ですが涙を堪え、じっと耐える素振りをし「私がもっと早くに想いを伝えていたら……」などと思わせぶりな事を言うのは誤解を与えると思いますよ。今後は誤解無きよう婚約者及び配偶者と共にお越しください」
ニコラは全く持って怯まない。
「わかったわ、すぐに国に帰るわよ。でも覚えておいてね、私を虚仮にしたことは絶対に許さない。選ばなかった事も後悔させてあげるわ」
「後悔ですか? しないと思いますよ。隣国の瑕疵もない王女なのに、エリック様の婚約者候補にも上がらなかったのですから。大した価値はなかったように思えます」
またしても腹が立つことを言われ、エーデルは顔を真っ赤にした。
「絶対にお前の首は刎ねてやる!」
「申し訳ございません、つい口が滑りました。その時は出来るだけ痛くないようにお願いします。では失礼しました」
ニコラはそう言って退室をした。
「さすがに失言でしたね。首を何回落とせば許されるでしょうか?」
顎に手を当てうんうんと唸り、エリックの元に帰っていった。
翌日、ニコラがエリックの代わりにエーデルに伝えに来た。
エリックはレナンの側にいることで忙しいし、もう会う気はないのでニコラが伝言を承ったのだ。
「これからは僕がエーデル様のお相手をします。ダンスでもエスコートでも商談でも。何かあれば何でも言ってください、以後よろしくお願いします」
エーデルは露骨に嫌そうな顔をする。
「私は王族よ。それをもてなすのは王族ではなくて? 従者のあなたとだなんて、外聞が悪いわ、申し訳ないけど、お断りするわ」
いつもの優しい口調ではない。
苛立ち混じりのその声に、周囲の者は驚いていた。
だが、ニコラはあくまで笑顔を見せ崩さず、優しく話しかける。
「では仕方ありませんね。今後は商談の話は外交官とし、エスコートもダンスも宿泊先もご自身で探されてください。まぁファルケから出す招待状は両陛下と王太子様のみとさせて頂きますので、エーデル様が来られることは今後ないのですが」
にこにことした笑顔を崩さず、今後はエーデル単独では城に入れないという宣言がなされる。
「あなた、何を言っているの? 従者なんかにそんな権限あるわけがないでしょうが!」
見下すような発言は今までのエーデルからは考えられない事だった。
言っていることは間違ってはいないがこれまでの行いを考えると良くはない。
天使のように美しく優しいというエーデルの評価が崩れていく。
「残念ながら、これらは国王陛下にも了承されているの事項なのです。申し訳ございませんが受け入れてもらうしかありません」
心底辛そうな顔で告げているが、引く気はないと言葉にしている。
「どうしてそんな急に……」
エーデルはハッとした。
どう考えても昨日レナンがいなくなってから、エーデルに対する扱いが変わった。
レナンがファルケ国に何かを吹き込んだに違いないと考える。
「ねぇ、もしかしてレナン様のせいでは? 彼女が私にそんな酷い扱いをするように言ったのでしょ?」
「いいえ。レナン様はそのような事は言いません。全てエリック様の判断です」
「彼が私を拒む理由なんてないわ」
「側に寄せる理由もないでしょう。エリック様は結婚されましたし、エーデル様は独身。そろそろ身を固める頃合いでしょうし、幼馴染といてもこれからは一般的な距離を保った方がよろしいかと。エーデル様の婚約者候補は数多くいらっしゃると聞きます。今後はぜひご夫婦でおいでください。それなら歓迎しますよ」
エリック以上の男を見つけていないエーデルはその言葉に、顔を顰めた。
婚約者候補ではエリックが筆頭であったので、正直まだ他の者の事は考えていないのだ。
「応援してくれるならファルケのパーティに来るのは構わないでしょう? そこでだって出会いはあるし」
何年も話をし、側にいたエリックと離れがたいし、このままでは踏ん切りがつかない。
正直側室でもいいから、側に置いてもらいたいのだ。
「ファルケにこだわる理由もありませんよね。自国でも他国でも、今は国同士繋がりを強化するために様々なところでパーティは開かれ、エーデル様はそちらに招かれているはずですから」
「私にとってファルケは特別なのよ。エリック様とは幼馴染だし、小さい頃から訪れているから何でも知っているし。レナン様よりも付き合いも長いのに、どうして駄目というの?」
「ただの幼馴染と大事な王太子妃を比べるのも烏滸がましい事ですよ。どちらが大事かなんて、あなたもわかるでしょう?」
ガツンと殴られたような衝撃だ。
自分は特別ではないと、そう言われたのだ。
「あなた、王女の私にそんな口を聞いていいと思っているの? 国に帰ってお父様に言えばあなたの首は飛ぶわ」
「僕はエリック様の大事な従者でファルケの者です。僕に何かすればエリック様も国も黙っていませんが、よろしいですか?」
「くっ……」
「他国の知り合いの王女よりも自国の王太子妃の方が当然上で、その王太子妃を庇った忠臣の僕の方があなたよりも大事と決まっています」
悔しそうに睨みつけてくるエーデルに、二コラは震えあがる様な仕草をする。
「怖いですね。僕は気が弱いんです、そんな睨みつけられるなんて恐ろしくて震えてしまう……皆さんはどうですか?」
エーデルの付き添いの侍女と護衛に視線を移した。
彼らは話の展開に戸惑い、そして美しく優しいエーデルが、今は鬼のような形相で二コラを睨んでいるのを見て驚くばかりだ。
「唐突な宣言で申し訳ないとは思ったのですけれど、どうもレナン様を悪しく言ったり、エリック様の本当の恋人は自分だと吹聴なされているようなので、こちらも黙って見過ごすわけには行かず。申し訳ございませんが、早々にシスネにお帰り頂くようにとも言われまして。本当に申し訳ない」
「そんな事、私言っていないわ!」
「そうですね、直接言うのは周囲の者でしたね。ですが涙を堪え、じっと耐える素振りをし「私がもっと早くに想いを伝えていたら……」などと思わせぶりな事を言うのは誤解を与えると思いますよ。今後は誤解無きよう婚約者及び配偶者と共にお越しください」
ニコラは全く持って怯まない。
「わかったわ、すぐに国に帰るわよ。でも覚えておいてね、私を虚仮にしたことは絶対に許さない。選ばなかった事も後悔させてあげるわ」
「後悔ですか? しないと思いますよ。隣国の瑕疵もない王女なのに、エリック様の婚約者候補にも上がらなかったのですから。大した価値はなかったように思えます」
またしても腹が立つことを言われ、エーデルは顔を真っ赤にした。
「絶対にお前の首は刎ねてやる!」
「申し訳ございません、つい口が滑りました。その時は出来るだけ痛くないようにお願いします。では失礼しました」
ニコラはそう言って退室をした。
「さすがに失言でしたね。首を何回落とせば許されるでしょうか?」
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