7 / 11
第7話 身内
しおりを挟む
「何故彼の話を聞きたいのです?」
アドガルム国とティがどのような関係なのか、彼は一体何を聞きたいのか、ミューズは気が気でなかった。
「落ち着きなさい、ミューズ。まずはこちらへ」
ディエスの促しで二人は側による。
「紹介が遅れましたが、娘のレナンとミューズです。ティさんとは仲良くさせて頂いたものですから、心配なのでしょう」
「それは嬉しいものです。僕達にとってもティは大事な人ですから」
青髪の男性が穏やかに返す。
「申し遅れましたが僕はリオン、そしてこちらが兄のエリック。共にアドガルムから来ました。国境を越え、こちらに来た理由というのは、ティという熊を追っての事なのです」
その言葉に二人は身を固くする。
「彼を大事な人と言いますが、あなた方はティとどういった関係なのですか?」
レナンが恐る恐る尋ねると、エリックを呼ばれた金髪の男性が口を開く。
「ティは我らの身内だ。ずっと探していたのだがこちらでお世話になっていたと聞いてな、お礼とそして仔細を聞きに来たのだが――」
射る様な視線がレナンとミューズに向けられるが、敵意は感じられなかった。
ただ単に目つきが悪いのかもしれない。
「仔細と言いましても、彼は特に自分の事を詳しくは話してくれませんでした。一緒に数日遊んだりしたくらいで」
「そうか……」
ただそれだけなのだが、それを聞いただけでもエリックは安心したようでホッとため息をついている。
「それはつまり、あなた方が優しく接してくれていたという事ですね。ありがとうございます」
リオンが頭を下げると何故かシグルドとディエスが動揺していた。
それをキョトンとした目でレナンとミューズは見つめると、リリュシーヌが説明してくれる。
「あの方々はアドガルムの偉い方だそうよ、お祖父様よりも身分が高いらしいの」
隣国とはいえ辺境伯であるシグルドより偉いとは、侯爵以上の身分にあたるだろうか。
(そんな凄い方の身内だなんて、ティって一体何者かしら)
この二人を見るにすらりとした美形だろうか。
二人とも整った顔立ちとすらっとした体型をしている、恐らく相当モテるだろう。
「話を聞けて良かった。後で改めてお礼をしに来させてほしい」
そう言うとエリックとリオンは立ち上がる。
「シグルド公に領地内を探索する許可も得られたし、有意義な話も聞けた。これから本格的にティを探しに行く。それと呪いをかけたという妖精も探さないとな」
「それならば私達も連れて行ってください!」
ミューズは食い気味にエリックに迫り、彼の側近に止められる。
だが引いたりはしない。
「妹が言う通り、わたくし達も連れて行ってください。先程わたくし達は妖精に会ったのです、少しはお役に立てるかもしれませんので」
「妖精に会った?」
その言葉にエリックは反応する。
「それはどんな姿でどんな力を有していた? 何か手がかりになるような事は言っていたか?」
「姿は、本に出て来るような姿でした。強力な風を起こすことが出来、また変身能力も持っています。護衛の騎士達が来た際に蛇の姿になって逃げて行きました」
詰め寄られ、半ば泣きそうになりながらレナンは答えた。
リオンは考える素振りをし、レナンとミューズを見る。
「情報は有難いですが、お二方はここで待っていた方がいい。あの妖精に会って怪我もなく済んだのは良かったですが、次も同じとは限らない。危険ですからここは僕達に任せていてください」
当然だが断られてしまう。
「でもあの妖精は侍女のラフィアの姿を翳めとろうとし、わたくし達に攻撃をしてきたのです。このままでは気もすみません」
「何だと?!」
怪我をさせられそうになったと聞いて、真っ先に反応したのはシグルドだ。
「妖精め、俺の孫達に手を出すとは許せん! おい、すぐに探しに行くぞ!」
シグルドの怒号に壁際に居た騎士達がワタワタと準備に向かう。
それを見てエリック達も立ち上がり、部屋を出ていく。
「待ってください!」
尚も追いすがろうとするミューズ達をエリックは手で制した。
「君たちはティに優しくしてくれた。そんな君らが危険な目に遭い、万が一にでも怪我をしたらティが悲しむ。だからここで待っていてくれ。解決したら必ず報告に来るから」
そうしてエリックの目がレナンに注がれる。
「侍女想いなのはいいが、まずは身を守れるようになった方がいい。そのままでは危なっかしい」
なんだか色々見透かされたようで、レナンは顔を赤くする。
「あ、あなたにはそんな事関係ないでしょ」
「色々な意味で無防備なようだ」
エリックが少しだけ口角を上げた。
何だか楽しそうに見えるのはレナンの気のせいだろうか。
「君がティのお気に入りではない事を祈るよ」
「?」
よくはわからないがそう言った後エリック達は行ってしまった。
結局連れて行ってもらえず、二人は部屋で待機しているようにと命じられる。
だがそんな命令を大人しく聞くつもりもない二人は策を案じていた。
アドガルム国とティがどのような関係なのか、彼は一体何を聞きたいのか、ミューズは気が気でなかった。
「落ち着きなさい、ミューズ。まずはこちらへ」
ディエスの促しで二人は側による。
「紹介が遅れましたが、娘のレナンとミューズです。ティさんとは仲良くさせて頂いたものですから、心配なのでしょう」
「それは嬉しいものです。僕達にとってもティは大事な人ですから」
青髪の男性が穏やかに返す。
「申し遅れましたが僕はリオン、そしてこちらが兄のエリック。共にアドガルムから来ました。国境を越え、こちらに来た理由というのは、ティという熊を追っての事なのです」
その言葉に二人は身を固くする。
「彼を大事な人と言いますが、あなた方はティとどういった関係なのですか?」
レナンが恐る恐る尋ねると、エリックを呼ばれた金髪の男性が口を開く。
「ティは我らの身内だ。ずっと探していたのだがこちらでお世話になっていたと聞いてな、お礼とそして仔細を聞きに来たのだが――」
射る様な視線がレナンとミューズに向けられるが、敵意は感じられなかった。
ただ単に目つきが悪いのかもしれない。
「仔細と言いましても、彼は特に自分の事を詳しくは話してくれませんでした。一緒に数日遊んだりしたくらいで」
「そうか……」
ただそれだけなのだが、それを聞いただけでもエリックは安心したようでホッとため息をついている。
「それはつまり、あなた方が優しく接してくれていたという事ですね。ありがとうございます」
リオンが頭を下げると何故かシグルドとディエスが動揺していた。
それをキョトンとした目でレナンとミューズは見つめると、リリュシーヌが説明してくれる。
「あの方々はアドガルムの偉い方だそうよ、お祖父様よりも身分が高いらしいの」
隣国とはいえ辺境伯であるシグルドより偉いとは、侯爵以上の身分にあたるだろうか。
(そんな凄い方の身内だなんて、ティって一体何者かしら)
この二人を見るにすらりとした美形だろうか。
二人とも整った顔立ちとすらっとした体型をしている、恐らく相当モテるだろう。
「話を聞けて良かった。後で改めてお礼をしに来させてほしい」
そう言うとエリックとリオンは立ち上がる。
「シグルド公に領地内を探索する許可も得られたし、有意義な話も聞けた。これから本格的にティを探しに行く。それと呪いをかけたという妖精も探さないとな」
「それならば私達も連れて行ってください!」
ミューズは食い気味にエリックに迫り、彼の側近に止められる。
だが引いたりはしない。
「妹が言う通り、わたくし達も連れて行ってください。先程わたくし達は妖精に会ったのです、少しはお役に立てるかもしれませんので」
「妖精に会った?」
その言葉にエリックは反応する。
「それはどんな姿でどんな力を有していた? 何か手がかりになるような事は言っていたか?」
「姿は、本に出て来るような姿でした。強力な風を起こすことが出来、また変身能力も持っています。護衛の騎士達が来た際に蛇の姿になって逃げて行きました」
詰め寄られ、半ば泣きそうになりながらレナンは答えた。
リオンは考える素振りをし、レナンとミューズを見る。
「情報は有難いですが、お二方はここで待っていた方がいい。あの妖精に会って怪我もなく済んだのは良かったですが、次も同じとは限らない。危険ですからここは僕達に任せていてください」
当然だが断られてしまう。
「でもあの妖精は侍女のラフィアの姿を翳めとろうとし、わたくし達に攻撃をしてきたのです。このままでは気もすみません」
「何だと?!」
怪我をさせられそうになったと聞いて、真っ先に反応したのはシグルドだ。
「妖精め、俺の孫達に手を出すとは許せん! おい、すぐに探しに行くぞ!」
シグルドの怒号に壁際に居た騎士達がワタワタと準備に向かう。
それを見てエリック達も立ち上がり、部屋を出ていく。
「待ってください!」
尚も追いすがろうとするミューズ達をエリックは手で制した。
「君たちはティに優しくしてくれた。そんな君らが危険な目に遭い、万が一にでも怪我をしたらティが悲しむ。だからここで待っていてくれ。解決したら必ず報告に来るから」
そうしてエリックの目がレナンに注がれる。
「侍女想いなのはいいが、まずは身を守れるようになった方がいい。そのままでは危なっかしい」
なんだか色々見透かされたようで、レナンは顔を赤くする。
「あ、あなたにはそんな事関係ないでしょ」
「色々な意味で無防備なようだ」
エリックが少しだけ口角を上げた。
何だか楽しそうに見えるのはレナンの気のせいだろうか。
「君がティのお気に入りではない事を祈るよ」
「?」
よくはわからないがそう言った後エリック達は行ってしまった。
結局連れて行ってもらえず、二人は部屋で待機しているようにと命じられる。
だがそんな命令を大人しく聞くつもりもない二人は策を案じていた。
2
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
(完結)婚約者の勇者に忘れられた王女様――行方不明になった勇者は妻と子供を伴い戻って来た
青空一夏
恋愛
私はジョージア王国の王女でレイラ・ジョージア。護衛騎士のアルフィーは私の憧れの男性だった。彼はローガンナ男爵家の三男で到底私とは結婚できる身分ではない。
それでも私は彼にお嫁さんにしてほしいと告白し勇者になってくれるようにお願いした。勇者は望めば王女とも婚姻できるからだ。
彼は私の為に勇者になり私と婚約。その後、魔物討伐に向かった。
ところが彼は行方不明となりおよそ2年後やっと戻って来た。しかし、彼の横には子供を抱いた見知らぬ女性が立っており・・・・・・
ハッピーエンドではない悲恋になるかもしれません。もやもやエンドの追記あり。ちょっとしたざまぁになっています。
白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。
新婚初夜に『白い結婚にしてほしい』と言われたので論理的に詰めたら夫が泣きました
ささい
恋愛
「愛人がいるから、白い結婚にしてほしい」
政略結婚の初夜にそう告げた夫ルーファス。
妻カレンの反応は——
「それ、契約不履行ですよね?」
「あなたの感情論、論理的に破綻してますよ?」
泣き落としは通じない。
そして初夜の翌朝、夫は泣いていた。
逃げ道は全部塞がれ、気づけば毎日論破されていた。
これは、論破され続けた夫がなぜか幸せになる話。
正妃として教育された私が「側妃にする」と言われたので。
水垣するめ
恋愛
主人公、ソフィア・ウィリアムズ公爵令嬢は生まれてからずっと正妃として迎え入れられるべく教育されてきた。
王子の補佐が出来るように、遊ぶ暇もなく教育されて自由がなかった。
しかしある日王子は突然平民の女性を連れてきて「彼女を正妃にする!」と宣言した。
ソフィアは「私はどうなるのですか?」と問うと、「お前は側妃だ」と言ってきて……。
今まで費やされた時間や努力のことを訴えるが王子は「お前は自分のことばかりだな!」と逆に怒った。
ソフィアは王子に愛想を尽かし、婚約破棄をすることにする。
焦った王子は何とか引き留めようとするがソフィアは聞く耳を持たずに王子の元を去る。
それから間もなく、ソフィアへの仕打ちを知った周囲からライアンは非難されることとなる。
※小説になろうでも投稿しています。
侯爵夫人のハズですが、完全に無視されています
猫枕
恋愛
伯爵令嬢のシンディーは学園を卒業と同時にキャッシュ侯爵家に嫁がされた。
しかし婚姻から4年、旦那様に会ったのは一度きり、大きなお屋敷の端っこにある離れに住むように言われ、勝手な外出も禁じられている。
本宅にはシンディーの偽物が奥様と呼ばれて暮らしているらしい。
盛大な結婚式が行われたというがシンディーは出席していないし、今年3才になる息子がいるというが、もちろん産んだ覚えもない。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる