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愛しの婚約者
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……ルアネドはベッドで寝ているロゼッタを見て、ため息をついた。
なんと可愛らしいのだろう。
今は眠っているが、起きている時の彼女は、小柄でぴこぴこ動き、その様は鳥の雛のような、生まれたての子鹿のような、とにかく守りたくなるほど愛らしい。
ふわふわのくせ毛は柔らかな綿毛のようで、今は見えないが薄紫の瞳は奥ゆかしい清楚さを感じる。
まつ毛も長く、美しい。
日にあまり当たらない肌は白く、陶器のように滑らかでキレイだ。
ルアネドは幼い頃に命を狙われ、ウォルミア家に匿ってもらった事がある。
そこで知ったが、ロゼッタは未来が見える珍しい能力の持ち主だった。
最初はむにゃむにゃと呟く寝言が予言とは全く思っていなかった。
そして彼女は自分の口からそんなものが出てるとは知らないらしい。
悪用されては大変と、彼女の家族と相談をし、何とか側に居てもらってるが……ルアネドを露骨に避けてる感は否めない。
ロゼッタの姉は面白がりながらも二人の仲を応援してくれており、ロゼッタの両親もニコニコとしてこの婚約を賛成している。
だが、頑なに彼女だけは抗っているのだ。
(昔した約束を忘れてしまったか……)
悲しくもなるが、諦めてなるものかと毎日必死に口説いている。
ルアネドも自分のベッドに入り、眠くなるまでロゼッタの寝顔を見つめていた。
翌日、ここ最近の日課であるロゼッタの悲鳴という目覚ましで起こされた。
「あの、ルアネド様。お願いが……」
「何だ?」
今はお茶の時間だ。
花々が美しい中庭でのティータイム、季節は春先、色鮮やかな花々が所狭しと咲き誇っている。
「私、あちらに座りたいのですが」
今いるのはルアネドの膝の上。
落ち着くわけがない。
「あぁ、君の座る場所は俺の膝と決まっている。そしてあちらの椅子はつい先程壊れてしまった、なぁシュゼット」
「ソウデスネ」
無表情で受け答えする従者の目は焦点が合ってない。
呆れ返っているのだ。
(私を見捨てないで! 思考を放棄しないで!)
シュゼットはルアネドに口出し出来る、数少ない者だ。
そんなシュゼットが止めてくれないとロゼッタじゃ止められない。
ルアネドからの溺愛が半端ないのだ。
「今度の婚約パーティが楽しみだ」
優しく髪を撫でられ、慈しむ声が聞こえる。
イケボ過ぎて耳までどうにかなりそうだ。
パーティまで心臓が保つかしら?
深呼吸をし、気持ちを落ち着かせようとする。
「ルアネド様、今からでも間に合います。別な方にいたしません?」
「変える理由がないな」
ロゼッタの提案をバッサリと切って捨てられる。
「いや、私より王妃になるに相応しい人や綺麗な人はいっぱい居ますよ」
「……そんな者いたか?」
ルアネドがシュゼットを見ると、溜息をつきつつ従者が答えた。
「ロゼッタ様以外に陛下の寵愛を受け止められる方はいませんね。ロゼッタ様、もう諦めてください」
シュゼットの声音には変えられないという事以外にも、もう面倒だから文句も言わず王妃に収まれという、投げ遣りなものも含まれていた。
決定は覆らないという通達だ。
「パルス国には素晴らしい公爵令嬢の方々がいらっしゃいますよね。隣国にも素敵な王女様がたくさん」
ロゼッタはそれでも諦めきれない。
外交先でも社交の場でもルアネドは人気がある。
周辺諸国からもだ。
パルスは宝石の国なので、他国の令嬢方に話しかけられる事も多々あった。
ロゼッタは壁の花となり見ていたが、毎回パーティでの人気は凄かった。
他の王子も人気だったが、物腰が柔らかく驕らない態度のルアネドは好感度が非常に高く、会場でロゼッタが近づくことは、今まで一度も出来なかった。
「他の令嬢で、こんなにふわふわな髪を持ち、白磁のような肌をして、アメジストのようなキレイな瞳をした、俺の腕に収まってくれる小柄で可愛らしい女性がいるのかな?」
「……」
まずここまでくるくる髪の令嬢がいただろうか。
(皆きちんと髪の手入れをし、もっと見栄えのよいアレンジをしているわよね)
時間がなくて、そんな事毎日は出来ないと、ロゼッタはそこそこのヘアケアだけをお願いしていた。
ルアネドも、ふわふわのロゼッタの髪が好きだから、ムリに真っ直ぐにしなくていいと許容している。
膝の上で真剣に考えているロゼッタがたまらなく愛おしかった。
いるわけないと知っていて言ったのだから、ロゼッタがいくら考えても出てくるわけがないのだ。
結局ロゼッタはティータイムが終わるまで膝からおろして貰えなかった。
なんと可愛らしいのだろう。
今は眠っているが、起きている時の彼女は、小柄でぴこぴこ動き、その様は鳥の雛のような、生まれたての子鹿のような、とにかく守りたくなるほど愛らしい。
ふわふわのくせ毛は柔らかな綿毛のようで、今は見えないが薄紫の瞳は奥ゆかしい清楚さを感じる。
まつ毛も長く、美しい。
日にあまり当たらない肌は白く、陶器のように滑らかでキレイだ。
ルアネドは幼い頃に命を狙われ、ウォルミア家に匿ってもらった事がある。
そこで知ったが、ロゼッタは未来が見える珍しい能力の持ち主だった。
最初はむにゃむにゃと呟く寝言が予言とは全く思っていなかった。
そして彼女は自分の口からそんなものが出てるとは知らないらしい。
悪用されては大変と、彼女の家族と相談をし、何とか側に居てもらってるが……ルアネドを露骨に避けてる感は否めない。
ロゼッタの姉は面白がりながらも二人の仲を応援してくれており、ロゼッタの両親もニコニコとしてこの婚約を賛成している。
だが、頑なに彼女だけは抗っているのだ。
(昔した約束を忘れてしまったか……)
悲しくもなるが、諦めてなるものかと毎日必死に口説いている。
ルアネドも自分のベッドに入り、眠くなるまでロゼッタの寝顔を見つめていた。
翌日、ここ最近の日課であるロゼッタの悲鳴という目覚ましで起こされた。
「あの、ルアネド様。お願いが……」
「何だ?」
今はお茶の時間だ。
花々が美しい中庭でのティータイム、季節は春先、色鮮やかな花々が所狭しと咲き誇っている。
「私、あちらに座りたいのですが」
今いるのはルアネドの膝の上。
落ち着くわけがない。
「あぁ、君の座る場所は俺の膝と決まっている。そしてあちらの椅子はつい先程壊れてしまった、なぁシュゼット」
「ソウデスネ」
無表情で受け答えする従者の目は焦点が合ってない。
呆れ返っているのだ。
(私を見捨てないで! 思考を放棄しないで!)
シュゼットはルアネドに口出し出来る、数少ない者だ。
そんなシュゼットが止めてくれないとロゼッタじゃ止められない。
ルアネドからの溺愛が半端ないのだ。
「今度の婚約パーティが楽しみだ」
優しく髪を撫でられ、慈しむ声が聞こえる。
イケボ過ぎて耳までどうにかなりそうだ。
パーティまで心臓が保つかしら?
深呼吸をし、気持ちを落ち着かせようとする。
「ルアネド様、今からでも間に合います。別な方にいたしません?」
「変える理由がないな」
ロゼッタの提案をバッサリと切って捨てられる。
「いや、私より王妃になるに相応しい人や綺麗な人はいっぱい居ますよ」
「……そんな者いたか?」
ルアネドがシュゼットを見ると、溜息をつきつつ従者が答えた。
「ロゼッタ様以外に陛下の寵愛を受け止められる方はいませんね。ロゼッタ様、もう諦めてください」
シュゼットの声音には変えられないという事以外にも、もう面倒だから文句も言わず王妃に収まれという、投げ遣りなものも含まれていた。
決定は覆らないという通達だ。
「パルス国には素晴らしい公爵令嬢の方々がいらっしゃいますよね。隣国にも素敵な王女様がたくさん」
ロゼッタはそれでも諦めきれない。
外交先でも社交の場でもルアネドは人気がある。
周辺諸国からもだ。
パルスは宝石の国なので、他国の令嬢方に話しかけられる事も多々あった。
ロゼッタは壁の花となり見ていたが、毎回パーティでの人気は凄かった。
他の王子も人気だったが、物腰が柔らかく驕らない態度のルアネドは好感度が非常に高く、会場でロゼッタが近づくことは、今まで一度も出来なかった。
「他の令嬢で、こんなにふわふわな髪を持ち、白磁のような肌をして、アメジストのようなキレイな瞳をした、俺の腕に収まってくれる小柄で可愛らしい女性がいるのかな?」
「……」
まずここまでくるくる髪の令嬢がいただろうか。
(皆きちんと髪の手入れをし、もっと見栄えのよいアレンジをしているわよね)
時間がなくて、そんな事毎日は出来ないと、ロゼッタはそこそこのヘアケアだけをお願いしていた。
ルアネドも、ふわふわのロゼッタの髪が好きだから、ムリに真っ直ぐにしなくていいと許容している。
膝の上で真剣に考えているロゼッタがたまらなく愛おしかった。
いるわけないと知っていて言ったのだから、ロゼッタがいくら考えても出てくるわけがないのだ。
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