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寵愛のきっかけ
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婚約パーティが終わった数日後、ようやく二人っきりのティータイムとなった。
今日は膝の上ではなく、なんとか隣に座らせてもらう。
「聞こうと思っていたのですが、何であの時私が視たものを信じてくれたのですか?」
単純な疑問だ。
いくらなんでも荒唐無稽な話で、信じてくれるとは思っていなかった。
「いつだってロゼッタの言うことは信じてるよ。けど、それでは納得しないよな? いつか伝えようとは思っていたが、君は未来を視ることが出来るんだ」
ウォルミアがルアネドを匿った大きな理由、幼いロゼッタが、ルアネドが死ぬと国が無くなると予言したからだ。
「ロゼッタは怖い夢を見てからアルテミス嬢と共に眠るようになっただろ? そこで不思議な事を話す君に気づいたそうだ。君が言ったことは後日確実に起きると」
ロゼッタは当時3歳。
知らないはずの事を何でも言い当てたそうだ。
怖い夢とは誰かが怪我したり、死んでしまう夢。
ロゼッタ自身は起きても内容を覚えてはいなかったが。
「君の両親も確認して事実だと知った時は驚いたそうだ。未来が視える娘を周囲から隠さねばと躍起になったらしい」
「そういえば……」
両親からも他所へのお泊まりを禁止されていたし、大きくなってからも姉と別の部屋に眠ることを反対された。
その予言を聞くためだったのか。
「危険な事だから外部に漏らさないよう内緒にしていたんだ。もしも俺と敵対する者に知られたら、以前も今回も防ぐことが出来ず死んでいただろう」
ロゼッタが事前に教えてくれたからこそ助かった命だ。
「だからこれからも皆には内緒だ。君を無理矢理自分のものにしようとする奴が出るかもしれない」
ギューッとロゼッタを抱きしめる。
「未来が視られるから、私と婚約したのですか?」
「それは違う!」
ルアネドは強く否定した。
「君は暗殺に怯え、夜も眠れない俺に優しく言ってくれたんだ。怖い時は誰かと一緒に眠るといいんだよ、私が一緒にいてあげるって。その約束を俺は守りたかった」
「えっ?!」
そんな大胆な事を言っただろうか?
それに幼い頃にルアネドに会っていたなんて、覚えていない。
「あの頃の俺は身を隠すため令嬢の格好をしていた。そのために覚えてないかもしれない。一時期ミアという令嬢がロゼッタの家に泊まりに来ていただろ?」
ミアのことは覚えている。
長く美しい紫の髪に、お人形のような白い肌、赤い唇。
幼いのに大人っぽい雰囲気で、ミステリアスな魅力をもつ令嬢だ。
確かにあの頃のミアは常に何かに怯え、怖がっていた。
自分と眠るようになってから、安心することが増えたと笑顔になっていった。
「思い出してくれたようだね。俺は毎夜君の予言に従って、命を永らえさせてきた。こうすれば生きられるって君が導いてくれたおかげだ、君は俺の救いの女神なんだよ」
死なない方法を知れば、怖さなんてなくなった。
安心して眠れるようになり、精神的にも安定する。
何よりもロゼッタと一緒に眠ることは、感じたことのない温もりと安らぎがあった。
「眠りにつく数分だけ予言を齎してくれるんだけど、その後の君の寝顔が可愛くて……成長した今は本当の女神のように美しいよ」
予言を言った後のロゼッタの寝顔が、ルアネドは大好きだ。
特に明日のおやつはケーキだなどの嬉しい予言だと、ふにゃりと幸せそうに笑うのだ。
誰にも見せたくはない。
「これからも俺の隣で眠ってくれよ。君の寝顔は誰にも知られたくない」
くいっとロゼッタの顎をあげさせると、啄むようにキスをする。
「っ!!!」
突然の事に声が出ない。
蒸気が噴き出すんじゃないかというくらい顔が熱い。
「愛しいロゼッタ。ずっと傍にいておくれ」
強い視線と艶めいた声。
熱く甘く、心が搦め捕られてしまう。
この寵愛は不当だ。
私のほうがこの人に溺れているのだから。
婚姻まで心が持つのか自信がない。
今日は膝の上ではなく、なんとか隣に座らせてもらう。
「聞こうと思っていたのですが、何であの時私が視たものを信じてくれたのですか?」
単純な疑問だ。
いくらなんでも荒唐無稽な話で、信じてくれるとは思っていなかった。
「いつだってロゼッタの言うことは信じてるよ。けど、それでは納得しないよな? いつか伝えようとは思っていたが、君は未来を視ることが出来るんだ」
ウォルミアがルアネドを匿った大きな理由、幼いロゼッタが、ルアネドが死ぬと国が無くなると予言したからだ。
「ロゼッタは怖い夢を見てからアルテミス嬢と共に眠るようになっただろ? そこで不思議な事を話す君に気づいたそうだ。君が言ったことは後日確実に起きると」
ロゼッタは当時3歳。
知らないはずの事を何でも言い当てたそうだ。
怖い夢とは誰かが怪我したり、死んでしまう夢。
ロゼッタ自身は起きても内容を覚えてはいなかったが。
「君の両親も確認して事実だと知った時は驚いたそうだ。未来が視える娘を周囲から隠さねばと躍起になったらしい」
「そういえば……」
両親からも他所へのお泊まりを禁止されていたし、大きくなってからも姉と別の部屋に眠ることを反対された。
その予言を聞くためだったのか。
「危険な事だから外部に漏らさないよう内緒にしていたんだ。もしも俺と敵対する者に知られたら、以前も今回も防ぐことが出来ず死んでいただろう」
ロゼッタが事前に教えてくれたからこそ助かった命だ。
「だからこれからも皆には内緒だ。君を無理矢理自分のものにしようとする奴が出るかもしれない」
ギューッとロゼッタを抱きしめる。
「未来が視られるから、私と婚約したのですか?」
「それは違う!」
ルアネドは強く否定した。
「君は暗殺に怯え、夜も眠れない俺に優しく言ってくれたんだ。怖い時は誰かと一緒に眠るといいんだよ、私が一緒にいてあげるって。その約束を俺は守りたかった」
「えっ?!」
そんな大胆な事を言っただろうか?
それに幼い頃にルアネドに会っていたなんて、覚えていない。
「あの頃の俺は身を隠すため令嬢の格好をしていた。そのために覚えてないかもしれない。一時期ミアという令嬢がロゼッタの家に泊まりに来ていただろ?」
ミアのことは覚えている。
長く美しい紫の髪に、お人形のような白い肌、赤い唇。
幼いのに大人っぽい雰囲気で、ミステリアスな魅力をもつ令嬢だ。
確かにあの頃のミアは常に何かに怯え、怖がっていた。
自分と眠るようになってから、安心することが増えたと笑顔になっていった。
「思い出してくれたようだね。俺は毎夜君の予言に従って、命を永らえさせてきた。こうすれば生きられるって君が導いてくれたおかげだ、君は俺の救いの女神なんだよ」
死なない方法を知れば、怖さなんてなくなった。
安心して眠れるようになり、精神的にも安定する。
何よりもロゼッタと一緒に眠ることは、感じたことのない温もりと安らぎがあった。
「眠りにつく数分だけ予言を齎してくれるんだけど、その後の君の寝顔が可愛くて……成長した今は本当の女神のように美しいよ」
予言を言った後のロゼッタの寝顔が、ルアネドは大好きだ。
特に明日のおやつはケーキだなどの嬉しい予言だと、ふにゃりと幸せそうに笑うのだ。
誰にも見せたくはない。
「これからも俺の隣で眠ってくれよ。君の寝顔は誰にも知られたくない」
くいっとロゼッタの顎をあげさせると、啄むようにキスをする。
「っ!!!」
突然の事に声が出ない。
蒸気が噴き出すんじゃないかというくらい顔が熱い。
「愛しいロゼッタ。ずっと傍にいておくれ」
強い視線と艶めいた声。
熱く甘く、心が搦め捕られてしまう。
この寵愛は不当だ。
私のほうがこの人に溺れているのだから。
婚姻まで心が持つのか自信がない。
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