10 / 32
第10話 気の合う者と合わない者
しおりを挟む
そしてもう一人、他のものよりはずば抜けている者を見つけた。
「すごい体力だな」
「ありがとう」
目線が合い、自然と会話が始まる。
「ティタンだったな、俺はキール。いずれは騎士になりたいと思っている」
ここでは貴族性を名乗ることはあまりしない。
従者を連れたりなど若干の特別な事はあるが、基本差別をなくそうと取り計らわれている。
表向きはそうだが調べ上げたり侮蔑したり、腰巾着になるものも多い。
「俺も将来は騎士になりたいと考えていた。いずれ辺境伯に仕えたいなと思って」
「ほぅ?」
仕えるどころかその者になる予定なのだが、そうなると身分がばれてしまう。
「魔物が多い場所だな。魔物退治がしたいのか?」
人里離れたところが多く、辺境地では魔獣が出やすい。
その点で対人スキルより対魔獣相手の多体との戦いがメインになる。
「そういうわけではないが、そのスキルが必要になるな。なので武器の相性も探りたい。一対一と多人数相手では戦略も異なるし、ここで色々試したいと思う」
「そうなると来年は騎士コースになるのか。俺もそこを目指している。これから色々と話したいものだ」
どうやらティタンと話が合うようだ。
「そうだな、強くなるためどんな鍛え方してるかも知りたい。キールには俊敏さがあるし俺とは違う方法なのだろう?訓練でも一際目を引いた」
「ティタンこそ凄い力だ。腕だけではなく、下半身も強いな。踏ん張りがきくわけだ」
話の合う相手が出来、とても楽しそうな二人だった。
「良かったですね、友達出来たみたいです」
ベンチから眺める二人は楽しそうにするティタンを見れて嬉しい。
キール=ガードナー伯爵令息。
栗色の髪に赤い瞳をしている。
ティタンよりは細身だが、鍛えているのはありありと分かる。
切れ長の目は鋭く冷たい印象を受けるが、今はティタンとのお喋りで楽しそうに細められていた。
いい鍛錬相手ができて何よりだ。
「ねぇ、あなた。本当は仮病じゃないかしら?」
ティタンがキールと話しているのを見て、ミラが話しかけに来た。
ミューズはうんざりする。
暇があればわざわざ嫌味を言いに来るのか。
しかも今回は周りと離れている。どんな事を言われるのか。
すっとマオが手を途中まで上げ、下ろす。
取り巻き達がわざわざ見えないようマオの前に立ったからだ。
「毎回毎回、少し大変だと思えば休むのね。学校に何しに来ているの?」
他の者から見たら、ただおしゃべりをしているように見えるだろう。
現にミラたちは笑っている。
「従者や護衛まで連れてきて、あなたそんなに偉い人なのかしら? それにしてもパーティでも見なかったわよ」
王太子妃の妹ですとは言えない。
「わたしの父は公爵なのよ。父の名は言えないけれどとても偉い人なの。だから私も護衛騎士を連れているわ」
少しだけ距離があるが、こちらを睨むように見ている男性がいる。
学生ではなさそうだ。
「あなたの護衛、まだ学生でしょ。どうせ子爵か男爵か、とにかくまだ子ども。形だけの騎士であなた大事にされてはいないようね」
オホホと笑い、マオにも目をやる。
「連れて歩くなら見目も重要になるわ。黒髪黒目なんて平民もいいところね、もう少しマシな子を連れ歩いたらどうかしら」
マオはちらりと目線を反らすと軽く俯き、顔を少し上げて睨みつける。
「何よ、その目。お父様に言いつけるわよ」
「そんなにお父様は偉い人物なのか。しかし娘がこれではかわいそうだな」
「!!?」
背後から突如聞こえた声に驚き振り返る。
ティタンが口元に笑みを浮かべ、立っていた。
急いでミラの護衛騎士が走ってきて、間に立ちふさがる。
「何よ、この無礼者!人の話を盗み聞きして!」
振り向けば皆がこちらを見ている。
驚きと蔑みの目だ。
「これだから田舎者は。ご覧なさい、非常識なお前に呆れているわ」
「呆れているのはお前にだ。全て筒抜けだったぞ」
先程マオが、少し手をあげたのはティタンを呼ぼうと思ったのではない。
風魔法を使い、ミラの声をあちらにしらせる為だ。
軽く俯いたのもティタンへ出したgoサインである。
これ以上ミューズの心労が溜まっては大変と判断したからだ。
「すごい体力だな」
「ありがとう」
目線が合い、自然と会話が始まる。
「ティタンだったな、俺はキール。いずれは騎士になりたいと思っている」
ここでは貴族性を名乗ることはあまりしない。
従者を連れたりなど若干の特別な事はあるが、基本差別をなくそうと取り計らわれている。
表向きはそうだが調べ上げたり侮蔑したり、腰巾着になるものも多い。
「俺も将来は騎士になりたいと考えていた。いずれ辺境伯に仕えたいなと思って」
「ほぅ?」
仕えるどころかその者になる予定なのだが、そうなると身分がばれてしまう。
「魔物が多い場所だな。魔物退治がしたいのか?」
人里離れたところが多く、辺境地では魔獣が出やすい。
その点で対人スキルより対魔獣相手の多体との戦いがメインになる。
「そういうわけではないが、そのスキルが必要になるな。なので武器の相性も探りたい。一対一と多人数相手では戦略も異なるし、ここで色々試したいと思う」
「そうなると来年は騎士コースになるのか。俺もそこを目指している。これから色々と話したいものだ」
どうやらティタンと話が合うようだ。
「そうだな、強くなるためどんな鍛え方してるかも知りたい。キールには俊敏さがあるし俺とは違う方法なのだろう?訓練でも一際目を引いた」
「ティタンこそ凄い力だ。腕だけではなく、下半身も強いな。踏ん張りがきくわけだ」
話の合う相手が出来、とても楽しそうな二人だった。
「良かったですね、友達出来たみたいです」
ベンチから眺める二人は楽しそうにするティタンを見れて嬉しい。
キール=ガードナー伯爵令息。
栗色の髪に赤い瞳をしている。
ティタンよりは細身だが、鍛えているのはありありと分かる。
切れ長の目は鋭く冷たい印象を受けるが、今はティタンとのお喋りで楽しそうに細められていた。
いい鍛錬相手ができて何よりだ。
「ねぇ、あなた。本当は仮病じゃないかしら?」
ティタンがキールと話しているのを見て、ミラが話しかけに来た。
ミューズはうんざりする。
暇があればわざわざ嫌味を言いに来るのか。
しかも今回は周りと離れている。どんな事を言われるのか。
すっとマオが手を途中まで上げ、下ろす。
取り巻き達がわざわざ見えないようマオの前に立ったからだ。
「毎回毎回、少し大変だと思えば休むのね。学校に何しに来ているの?」
他の者から見たら、ただおしゃべりをしているように見えるだろう。
現にミラたちは笑っている。
「従者や護衛まで連れてきて、あなたそんなに偉い人なのかしら? それにしてもパーティでも見なかったわよ」
王太子妃の妹ですとは言えない。
「わたしの父は公爵なのよ。父の名は言えないけれどとても偉い人なの。だから私も護衛騎士を連れているわ」
少しだけ距離があるが、こちらを睨むように見ている男性がいる。
学生ではなさそうだ。
「あなたの護衛、まだ学生でしょ。どうせ子爵か男爵か、とにかくまだ子ども。形だけの騎士であなた大事にされてはいないようね」
オホホと笑い、マオにも目をやる。
「連れて歩くなら見目も重要になるわ。黒髪黒目なんて平民もいいところね、もう少しマシな子を連れ歩いたらどうかしら」
マオはちらりと目線を反らすと軽く俯き、顔を少し上げて睨みつける。
「何よ、その目。お父様に言いつけるわよ」
「そんなにお父様は偉い人物なのか。しかし娘がこれではかわいそうだな」
「!!?」
背後から突如聞こえた声に驚き振り返る。
ティタンが口元に笑みを浮かべ、立っていた。
急いでミラの護衛騎士が走ってきて、間に立ちふさがる。
「何よ、この無礼者!人の話を盗み聞きして!」
振り向けば皆がこちらを見ている。
驚きと蔑みの目だ。
「これだから田舎者は。ご覧なさい、非常識なお前に呆れているわ」
「呆れているのはお前にだ。全て筒抜けだったぞ」
先程マオが、少し手をあげたのはティタンを呼ぼうと思ったのではない。
風魔法を使い、ミラの声をあちらにしらせる為だ。
軽く俯いたのもティタンへ出したgoサインである。
これ以上ミューズの心労が溜まっては大変と判断したからだ。
0
あなたにおすすめの小説
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』
鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ】悪妃は余暇を楽しむ
ごろごろみかん。
恋愛
「こちら、離縁届です。私と、離縁してくださいませ、陛下」
ある日、悪妃と名高いクレメンティーナが夫に渡したのは、離縁届だった。彼女はにっこりと笑って言う。
「先日、あなた方の真実の愛を拝見させていただきまして……有難いことに目が覚めましたわ。ですので、王妃、やめさせていただこうかと」
何せ、あれだけ見せつけてくれたのである。ショックついでに前世の記憶を取り戻して、千年の恋も瞬間冷凍された。
都合のいい女は本日で卒業。
今後は、余暇を楽しむとしましょう。
吹っ切れた悪妃は身辺整理を終えると早々に城を出て行ってしまった。
望まぬ結婚をさせられた私のもとに、死んだはずの護衛騎士が帰ってきました~不遇令嬢が世界一幸せな花嫁になるまで
越智屋ノマ
恋愛
「君を愛することはない」で始まった不遇な結婚――。
国王の命令でクラーヴァル公爵家へと嫁いだ伯爵令嬢ヴィオラ。しかし夫のルシウスに愛されることはなく、毎日つらい仕打ちを受けていた。
孤独に耐えるヴィオラにとって唯一の救いは、護衛騎士エデン・アーヴィスと過ごした日々の思い出だった。エデンは強くて誠実で、いつもヴィオラを守ってくれた……でも、彼はもういない。この国を襲った『災禍の竜』と相打ちになって、3年前に戦死してしまったのだから。
ある日、参加した夜会の席でヴィオラは窮地に立たされる。その夜会は夫の愛人が主催するもので、夫と結託してヴィオラを陥れようとしていたのだ。誰に救いを求めることもできず、絶体絶命の彼女を救ったのは――?
(……私の体が、勝手に動いている!?)
「地獄で悔いろ、下郎が。このエデン・アーヴィスの目の黒いうちは、ヴィオラ様に指一本触れさせはしない!」
死んだはずのエデンの魂が、ヴィオラの体に乗り移っていた!?
――これは、望まぬ結婚をさせられた伯爵令嬢ヴィオラと、死んだはずの護衛騎士エデンのふしぎな恋の物語。理不尽な夫になんて、もう絶対に負けません!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる