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第18話 断罪
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「そんな人知らないわ」
アニスは淡々とそう応えたが、男は懇願するように訴えた。
「アニス様! 私はあなたのご命令通りに動いたのです、見捨てないでください」
怯え、震える男は必死だ。
罪を犯したのだから、このままでは厳罰だ。
アニスの命令とは言え、異国でこのような事をしたのだ。
もはや祖国に帰れないかもと必死である。
「アニス様が私にティタン様との仲を取り持つようにと命じたため、このような事をしたのですよ! 助けてください!」
「だから知らないと…」
ドカンと大きな音がして、テーブルが砕けた。
苛立ったライカが剣で真っ二つにした。
「ぴいぴい五月蝿え! お前ら、自分が誰にケンカ売ったのかわかってるのか?!」
怒り出し、目が据わってるライカを見て、やれやれとルドは身分証を出した。
「我々はただの令嬢を守っていたのではない。ミューズ様は王太子妃の妹君だからである」
王家の紋が入った証を見せ、この茶番を終わらせようとした。
「素直に認めれば、まだ軽い罰で済んだものを。王家の姻族を謀ろうとした罪は重い。貴殿らの国、シェスタ国からも厳罰が下されるであろう」
去年に続くアドガルム王家への迷惑に、教師陣は萎縮してしまった。
ミューズとしても自分のせいでトラブルが起きるのは心苦しい。
「お待ち下さい、王家の方なんて、知らなかったのです」
慌てふためく男の顔は真っ青だ。
「知らなければ陥れてもいいというのか? そんな奴はやはり厳罰しかないな」
ライカは意地悪い笑みを浮かべた。
ルドはアニス達に拘束の魔法を唱え、逃げ出さないようにする。
「なぜ、私達まで?!」
「同郷の出自ですよね? 皆が知り合いというのは学校へ提出した書類ですぐわかりますよ」
ライカはルドのすることに不満そうだ。
「ちまちまと証拠集めするなんて性に合わねぇ、いっそブチのめす方が楽だ」
ライカは血の気が多い。
先程テーブルを割った剣は抜身のままだ。
「ライカすまなかった、ありがとう。あとは任せてもらえるか?」
ティタンの言葉に姿勢を正す。
ガラリと表情を変え、敬意を示した。
「はい。また何かありましたらいつでもご命令を申し付けください。ティタン様の為ならば、どのような事でも成し遂げます」
ライカはティタンを非常に尊敬している。
主君が命じるならばとすぐさま剣を仕舞い、大人しくする。
引導を渡すべくティタンはアニス達に向き直った。
この国の第二王子として。
ティタンの言葉はアニス達を更に青ざめさせるものであった。
シェスタでは聖女という制度がある。
とても暑い地域であるシェスタには魔物が多く出没する。
男は騎士となり、女は聖女となり癒やし手となる。
シェスタでは昔からそう決まっていた。
騎士と聖女が一組となり、魔物討伐を命じられる事がある。
強い騎士というものが聖女の位の高さにもなる、いくら聖女の力が強くとも、騎士が弱ければ討伐はすすまないからだ。
逆をいえば聖女の力が弱くとも騎士が強ければ成り立つ関係。
魔物を倒せなければ、いつまでも地位が上がることもない。
男女の関係に発展することも少なくはなく、アニスのように異国の騎士を婚約者として自国へ迎えることも多い。
最初から強いティタンを自国へ連れて帰れば、爵位も聖女としての地位も一気にあがると考えたとのこと。
ミューズは体も気も弱く押し通せばいけると思われたようだ。
「取り巻きもあの男も、自国に戻れば優遇すると言われたそうです」
マオの報告にティタンはうんざりだ。
どいつもこいつもミューズの平穏を奪いやがって。
この制度は他国との交流が盛んになってきた今は翳りを見せている。
他国には女性の騎士も男性の神官もいる。
昔からの伝統のため根強い信仰はあるものの、それを払拭したいと現シェスタの王太子は密かに画策してるらしい。
ちなみにシェスタの王太子はエリックの学友だ。
送り返した後の厳罰について、ティタンは兄を通してがっつりお願いしておいた。
「いっそ俺が王族として断罪したい…」
身分を隠し、回りくどいやりかたをするのに疲れてしまう。
「いけません。この学校は貴族として振る舞いを見るためでもあるのです。無闇に権力を翳してはいけないのです。それくらいなら僕が闇討ちしますので我慢なのです」
「どちらもダメよ……」
疲労から熱を出してしまったミューズはベッド上から苦言を呈する。
心の不調は体に出るし、本当にトラブルは困ったものだ。
アニスは淡々とそう応えたが、男は懇願するように訴えた。
「アニス様! 私はあなたのご命令通りに動いたのです、見捨てないでください」
怯え、震える男は必死だ。
罪を犯したのだから、このままでは厳罰だ。
アニスの命令とは言え、異国でこのような事をしたのだ。
もはや祖国に帰れないかもと必死である。
「アニス様が私にティタン様との仲を取り持つようにと命じたため、このような事をしたのですよ! 助けてください!」
「だから知らないと…」
ドカンと大きな音がして、テーブルが砕けた。
苛立ったライカが剣で真っ二つにした。
「ぴいぴい五月蝿え! お前ら、自分が誰にケンカ売ったのかわかってるのか?!」
怒り出し、目が据わってるライカを見て、やれやれとルドは身分証を出した。
「我々はただの令嬢を守っていたのではない。ミューズ様は王太子妃の妹君だからである」
王家の紋が入った証を見せ、この茶番を終わらせようとした。
「素直に認めれば、まだ軽い罰で済んだものを。王家の姻族を謀ろうとした罪は重い。貴殿らの国、シェスタ国からも厳罰が下されるであろう」
去年に続くアドガルム王家への迷惑に、教師陣は萎縮してしまった。
ミューズとしても自分のせいでトラブルが起きるのは心苦しい。
「お待ち下さい、王家の方なんて、知らなかったのです」
慌てふためく男の顔は真っ青だ。
「知らなければ陥れてもいいというのか? そんな奴はやはり厳罰しかないな」
ライカは意地悪い笑みを浮かべた。
ルドはアニス達に拘束の魔法を唱え、逃げ出さないようにする。
「なぜ、私達まで?!」
「同郷の出自ですよね? 皆が知り合いというのは学校へ提出した書類ですぐわかりますよ」
ライカはルドのすることに不満そうだ。
「ちまちまと証拠集めするなんて性に合わねぇ、いっそブチのめす方が楽だ」
ライカは血の気が多い。
先程テーブルを割った剣は抜身のままだ。
「ライカすまなかった、ありがとう。あとは任せてもらえるか?」
ティタンの言葉に姿勢を正す。
ガラリと表情を変え、敬意を示した。
「はい。また何かありましたらいつでもご命令を申し付けください。ティタン様の為ならば、どのような事でも成し遂げます」
ライカはティタンを非常に尊敬している。
主君が命じるならばとすぐさま剣を仕舞い、大人しくする。
引導を渡すべくティタンはアニス達に向き直った。
この国の第二王子として。
ティタンの言葉はアニス達を更に青ざめさせるものであった。
シェスタでは聖女という制度がある。
とても暑い地域であるシェスタには魔物が多く出没する。
男は騎士となり、女は聖女となり癒やし手となる。
シェスタでは昔からそう決まっていた。
騎士と聖女が一組となり、魔物討伐を命じられる事がある。
強い騎士というものが聖女の位の高さにもなる、いくら聖女の力が強くとも、騎士が弱ければ討伐はすすまないからだ。
逆をいえば聖女の力が弱くとも騎士が強ければ成り立つ関係。
魔物を倒せなければ、いつまでも地位が上がることもない。
男女の関係に発展することも少なくはなく、アニスのように異国の騎士を婚約者として自国へ迎えることも多い。
最初から強いティタンを自国へ連れて帰れば、爵位も聖女としての地位も一気にあがると考えたとのこと。
ミューズは体も気も弱く押し通せばいけると思われたようだ。
「取り巻きもあの男も、自国に戻れば優遇すると言われたそうです」
マオの報告にティタンはうんざりだ。
どいつもこいつもミューズの平穏を奪いやがって。
この制度は他国との交流が盛んになってきた今は翳りを見せている。
他国には女性の騎士も男性の神官もいる。
昔からの伝統のため根強い信仰はあるものの、それを払拭したいと現シェスタの王太子は密かに画策してるらしい。
ちなみにシェスタの王太子はエリックの学友だ。
送り返した後の厳罰について、ティタンは兄を通してがっつりお願いしておいた。
「いっそ俺が王族として断罪したい…」
身分を隠し、回りくどいやりかたをするのに疲れてしまう。
「いけません。この学校は貴族として振る舞いを見るためでもあるのです。無闇に権力を翳してはいけないのです。それくらいなら僕が闇討ちしますので我慢なのです」
「どちらもダメよ……」
疲労から熱を出してしまったミューズはベッド上から苦言を呈する。
心の不調は体に出るし、本当にトラブルは困ったものだ。
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