20 / 32
第20話 男の学友
しおりを挟む
男の話が出て、ティタンはムスッとしている。
「セシル=ボルドーか、怪しい男じゃないといいな。王家の影にも伝え探って貰おう」
「僕も調べましたが、再調査は必要ですね。ぜひお願いしたいです」
王家の影は諜報部隊だ。
万が一まで考えなきゃいけない。
「人脈作りは大事だが、男……か」
ミューズをしっかり抱き締める。
やはり不安だ。
自分とは違うタイプで優しそうな男だと言うし、薬学などの話も出来るならミューズとは無しも合うだろう。
「俺もそちらに編入するか」
寂しさからそう言うと、ミューズはぶんぶんと首を振る。
「ティタンには騎士でいてほしいわ、これから先あちらに行ったら必要な技術だもの。それに剣を振るうあなたはとても格好いいから」
逞しい腕にそっと体を寄せる。
「マオも皆も居るところで話すだけだから、心配しないで。私には貴方だけだから」
「うん……」
ティタンの心配を他所に、セシルはただ勉強の話を熱心にしてくるくらいだった。
「良かったらこれをティタンさんに。疲れた筋肉をほぐしてくれる効能があるよ」
と渡してきてくれた。
ミューズの手前だし、マオは受け取るがティタンには渡さず廃棄する。
前のハーブティーなどもきちんと店を探し出し、セシルが言う通りの効果があるらしいが、いまだ信用は出来なかった。
「……何かが引っかかるのです」
ルドがセシルの行動を見てて、マオにそう告げた。
傍目で見てても別に不審な行動はない。
ミューズに手を出すわけでもない。
ただ時折探るような目をする気がしてた。
勉強の話しかしていないし、親切心でハーブや薬草をくれる。
でもどこか、何か、違和感がある。
「ティタンさんに会えて光栄です!」
今回セシルはミューズ達と共に見学に来た。
何とも言えないルドとライカの表情。
マオも真意が図りきれず戸惑っている。
「セシル殿、お話はミューズから聞いている。ミューズと色々な勉強の話をしてくれてるそうだな、ありがとう」
ティタンはニコッと口角をあげ、笑みを浮かべた。
セシルもニコニコしている。
「こちらこそミューズさんと貴重な話が出来て嬉しいです。薬草について本当に知識が豊富なんですよ」
「それは、セシル様の方が凄いですわ。私なんてまだまだで」
「ミューズは勉強熱心だからな、いつも頑張りすぎるくらい頑張っている」
ティタンは訓練直後の汗を気にしてか、ミューズの肩を抱くに留まった。
「ティタンさんは本当にミューズさんが好きなんだね」
ミューズの言葉を遮ってまで褒める様子に、セシルはニコニコするだけだ。
「ミューズさんの魅力をぜひ教えてもらっていい?」
「まず優しいし、可愛い。そして勉強熱心だ」
スパッと簡潔に話す。
「細かく言うことはしないが、一緒に居て話をしている君にはわかっているのだろ? 渡しはしないが」
「僕には勿体ないですし、そんなつもりもありません。ですが、ミューズさんがとても素敵な女性だとは、わかってます」
あははと笑うセシルは何かを含んでるようには見えない。
ティタンもにこやかに応対している。
「この前は筋肉の凝りをほぐす薬を頂いたな、ありがとう。君は薬師になるのか?」
「受け取ってもらえて良かったです。将来薬師を目指そうと思い、修業中なんです。魔法と組み合わせれば効果が高くなりますからね、学校でいっぱい学びたいです」
「いい志しだと思うぞ。薬草の栽培はいずれ領地にてしようと思っている。ミューズが色々な知識を得てくれるのは有り難いな」
「婚約者さんですもんね」
ちらりとセシルはミューズを見た。
「たくましい婚約者さんでいいですね。僕ちょっと殴られるかと思ってましたが、優しい人で良かったです。ミューズさんはティタンさんのどこが好きですか?」
唐突にそう話を振られ、頬を染める。
「えっと、どこが好きって……全部?」
「!俺もだ」
危うく抱き潰しそうになるのを理性で抑えた。
「優しくて頼りになります、何より私を想ってくれてるのが嬉しいわ」
「お互いを想い合う、いいですね。素敵です」
純粋に応援してくれているようだ。
「皆も噂に振り回されず、きちんと、見てくれればいいのに……すごくお似合いですよ、僕は応援しています」
溺愛令嬢と呼ばれているミューズは、ティタンに一方的に言い寄られているとの見方もあるようだ。
伯爵令息という立ち場なのに、公爵令嬢であるミューズへの口の利き方や、ミューズの感情を振り回す立ち回りに、野蛮だなどど言われている。
ミューズは嫌がったりしていないが、恥ずかしがる態度がそう見えてしまうようだ。
「セシル=ボルドーか、怪しい男じゃないといいな。王家の影にも伝え探って貰おう」
「僕も調べましたが、再調査は必要ですね。ぜひお願いしたいです」
王家の影は諜報部隊だ。
万が一まで考えなきゃいけない。
「人脈作りは大事だが、男……か」
ミューズをしっかり抱き締める。
やはり不安だ。
自分とは違うタイプで優しそうな男だと言うし、薬学などの話も出来るならミューズとは無しも合うだろう。
「俺もそちらに編入するか」
寂しさからそう言うと、ミューズはぶんぶんと首を振る。
「ティタンには騎士でいてほしいわ、これから先あちらに行ったら必要な技術だもの。それに剣を振るうあなたはとても格好いいから」
逞しい腕にそっと体を寄せる。
「マオも皆も居るところで話すだけだから、心配しないで。私には貴方だけだから」
「うん……」
ティタンの心配を他所に、セシルはただ勉強の話を熱心にしてくるくらいだった。
「良かったらこれをティタンさんに。疲れた筋肉をほぐしてくれる効能があるよ」
と渡してきてくれた。
ミューズの手前だし、マオは受け取るがティタンには渡さず廃棄する。
前のハーブティーなどもきちんと店を探し出し、セシルが言う通りの効果があるらしいが、いまだ信用は出来なかった。
「……何かが引っかかるのです」
ルドがセシルの行動を見てて、マオにそう告げた。
傍目で見てても別に不審な行動はない。
ミューズに手を出すわけでもない。
ただ時折探るような目をする気がしてた。
勉強の話しかしていないし、親切心でハーブや薬草をくれる。
でもどこか、何か、違和感がある。
「ティタンさんに会えて光栄です!」
今回セシルはミューズ達と共に見学に来た。
何とも言えないルドとライカの表情。
マオも真意が図りきれず戸惑っている。
「セシル殿、お話はミューズから聞いている。ミューズと色々な勉強の話をしてくれてるそうだな、ありがとう」
ティタンはニコッと口角をあげ、笑みを浮かべた。
セシルもニコニコしている。
「こちらこそミューズさんと貴重な話が出来て嬉しいです。薬草について本当に知識が豊富なんですよ」
「それは、セシル様の方が凄いですわ。私なんてまだまだで」
「ミューズは勉強熱心だからな、いつも頑張りすぎるくらい頑張っている」
ティタンは訓練直後の汗を気にしてか、ミューズの肩を抱くに留まった。
「ティタンさんは本当にミューズさんが好きなんだね」
ミューズの言葉を遮ってまで褒める様子に、セシルはニコニコするだけだ。
「ミューズさんの魅力をぜひ教えてもらっていい?」
「まず優しいし、可愛い。そして勉強熱心だ」
スパッと簡潔に話す。
「細かく言うことはしないが、一緒に居て話をしている君にはわかっているのだろ? 渡しはしないが」
「僕には勿体ないですし、そんなつもりもありません。ですが、ミューズさんがとても素敵な女性だとは、わかってます」
あははと笑うセシルは何かを含んでるようには見えない。
ティタンもにこやかに応対している。
「この前は筋肉の凝りをほぐす薬を頂いたな、ありがとう。君は薬師になるのか?」
「受け取ってもらえて良かったです。将来薬師を目指そうと思い、修業中なんです。魔法と組み合わせれば効果が高くなりますからね、学校でいっぱい学びたいです」
「いい志しだと思うぞ。薬草の栽培はいずれ領地にてしようと思っている。ミューズが色々な知識を得てくれるのは有り難いな」
「婚約者さんですもんね」
ちらりとセシルはミューズを見た。
「たくましい婚約者さんでいいですね。僕ちょっと殴られるかと思ってましたが、優しい人で良かったです。ミューズさんはティタンさんのどこが好きですか?」
唐突にそう話を振られ、頬を染める。
「えっと、どこが好きって……全部?」
「!俺もだ」
危うく抱き潰しそうになるのを理性で抑えた。
「優しくて頼りになります、何より私を想ってくれてるのが嬉しいわ」
「お互いを想い合う、いいですね。素敵です」
純粋に応援してくれているようだ。
「皆も噂に振り回されず、きちんと、見てくれればいいのに……すごくお似合いですよ、僕は応援しています」
溺愛令嬢と呼ばれているミューズは、ティタンに一方的に言い寄られているとの見方もあるようだ。
伯爵令息という立ち場なのに、公爵令嬢であるミューズへの口の利き方や、ミューズの感情を振り回す立ち回りに、野蛮だなどど言われている。
ミューズは嫌がったりしていないが、恥ずかしがる態度がそう見えてしまうようだ。
0
あなたにおすすめの小説
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』
鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ】悪妃は余暇を楽しむ
ごろごろみかん。
恋愛
「こちら、離縁届です。私と、離縁してくださいませ、陛下」
ある日、悪妃と名高いクレメンティーナが夫に渡したのは、離縁届だった。彼女はにっこりと笑って言う。
「先日、あなた方の真実の愛を拝見させていただきまして……有難いことに目が覚めましたわ。ですので、王妃、やめさせていただこうかと」
何せ、あれだけ見せつけてくれたのである。ショックついでに前世の記憶を取り戻して、千年の恋も瞬間冷凍された。
都合のいい女は本日で卒業。
今後は、余暇を楽しむとしましょう。
吹っ切れた悪妃は身辺整理を終えると早々に城を出て行ってしまった。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
望まぬ結婚をさせられた私のもとに、死んだはずの護衛騎士が帰ってきました~不遇令嬢が世界一幸せな花嫁になるまで
越智屋ノマ
恋愛
「君を愛することはない」で始まった不遇な結婚――。
国王の命令でクラーヴァル公爵家へと嫁いだ伯爵令嬢ヴィオラ。しかし夫のルシウスに愛されることはなく、毎日つらい仕打ちを受けていた。
孤独に耐えるヴィオラにとって唯一の救いは、護衛騎士エデン・アーヴィスと過ごした日々の思い出だった。エデンは強くて誠実で、いつもヴィオラを守ってくれた……でも、彼はもういない。この国を襲った『災禍の竜』と相打ちになって、3年前に戦死してしまったのだから。
ある日、参加した夜会の席でヴィオラは窮地に立たされる。その夜会は夫の愛人が主催するもので、夫と結託してヴィオラを陥れようとしていたのだ。誰に救いを求めることもできず、絶体絶命の彼女を救ったのは――?
(……私の体が、勝手に動いている!?)
「地獄で悔いろ、下郎が。このエデン・アーヴィスの目の黒いうちは、ヴィオラ様に指一本触れさせはしない!」
死んだはずのエデンの魂が、ヴィオラの体に乗り移っていた!?
――これは、望まぬ結婚をさせられた伯爵令嬢ヴィオラと、死んだはずの護衛騎士エデンのふしぎな恋の物語。理不尽な夫になんて、もう絶対に負けません!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる