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第29話 対立
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その後王族の皆と別れ、緊張感が解けたミューズは椅子に座り休む。
「凄い。あれが王族なの?」
話の仕方もそうだが、けして気を抜くことなく威厳を保っている。
エリックやルアネドはもとより、グウィエンも堂々たるもので、色々な貴族に挨拶をされていた。
王太子とは次期国王になるものだ。
そりゃあ仲良くはなりたいだろう。
懲りないナンパはセトが必死で謝っていた、あの従者も大変そうだ。
「オーランド様もこの会場のどこかにいるのですね」
人が多いため、まだ会ってはいない。
それにミューズには近づかない約束だ、見かけても話しかけてはいけない。
そんな約束を守るかはわからない人だけれども……。
「ミューズ=スフォリア公爵令嬢! 今日はそなたを糾弾させてもらうぞ!」
声高にそう言われたのは、皆の前だ。
「何を糾弾するというのです。それに契約があるはずですよ、私に話しかけてはいけないというものが」
「そんなもの、忘れたな」
空々しい言葉だ。
「このような事をしてもあなたに何の得もないですよ。今のうちに撤回をしてください。私の姉はご存じですよね?」
何とか穏便に引いてはくれないかと発した言葉だ。
「俺を脅すか、さすがは悪女と名高い女だ。姉の威光を我が物のようにして振舞うとは。そうやって数多くの男を誑かしたのだろう」
「そういう意味ではなくて、これではあなたが大変な事になるから……」
「今更言い訳をするな、周囲の目を見よ。お前の悪行を知って憤っている」
周囲に目を向ければ、訝しむ目と疑問の目だ。
オーランドを知るものは多く、逆にミューズの事を知るものは少ない。
だが王太子妃の妹という言葉で何とも言えない表情をしているようだ。
視線の集中に耐え切れず、俯いてしまう。
その体を支えるように、大きな手が差し出された。
「大丈夫、今夜で終わる」
もう隠し立てすることはないのだ。
「こちらも貴様を糾弾しよう。俺の婚約者に言い寄り、逆恨みで評判も落とそうとしたのだ。ただで帰れると思うなよ!」
ティタンの声がホール中に響き渡る。
拡声魔法など使わずとも、鍛えられた体から齎される声量はかなり大きい。
「俺はこのアドガルムの第二王子だ。なぁセラフィムの第三王子よ、対等な立場で話そうじゃないか」
怒りのこもった目で睨まれる。
「それで、俺の婚約者が男を誑かす悪女だと? 証拠はどこにある?」
「証言をするものならいる!」
オーランドの呼びかけで出てきたものは見知らぬものだ。
しかしこの会場にいるのならばどこぞの貴族という事になる、招待状がないとここにはいられない。
「このもの達はそこの女の誘惑を受けた! 一度ではない、何度もだ! ふしだらなその女は……!」
突如としてオーランドの声がミューズの耳に届かなくなる。
「防音魔法を使ったです。あのような男の言葉など聞かなくていいのです」
そっとマオが囁く。
ティタンの声も聞こえなくなるが、彼は真っすぐにオーランドに言い返していた。
安心させるようにミューズの手も握ってくれている。
言葉を聞けなくなったので周囲の者の様子を見てみる。
どちらを信じるのか。
まず学校での噂を知らない者はまだ悩んでいるようだ。
顔の広いオーランドと、こういう場に出ることが少ないティタンとミューズのどちらかを信じるのか。
オーランドの方は証言者という第三者もいる。
こちらはマオや護衛騎士のルドとライカだけだ。
エリック達もきっと場を収める為に来るはずなのになかなか現れない。
「なぜこの場を糾弾の場に選んだというのだ」
数々のミューズへの罵詈雑言を聞いて、そろそろ怒りが爆発しそうだ。
オーランドの腹立つ様子に今すぐにでも殴りたい。
「俺を虚仮にしたのが悪い」
わざわざ自分が誘ってやったのに、あのような恥をかかせて。
「お前みたいな男の婚約者になるなどどうせ財産目当てだろう。姉の地位を自慢するだけでは飽き足らず、自分も権力を振るいたくなったから、お前と結婚すると言ったんだろうな。俺より劣る容姿の癖に、そんな顔の奴が愛されるわけないだろう。セシルも愛人にするつもりで引き取ったのか? 全く趣味の悪い女だ」
「救いようがないな」
これでも王族か、どこぞの破落戸にしか思えない。
「ようするに振られた腹いせなのだろう? くだらない。お前は俺の容姿も馬鹿にするが、人を悪しく言うお前のその顔の方が余程醜いな」
何とも醜悪な様子にミューズの耳どころか目も塞いであげたい。
「もう話し合いは終わりだ、オーランド。自分のしたことを悔やむがいい」
「凄い。あれが王族なの?」
話の仕方もそうだが、けして気を抜くことなく威厳を保っている。
エリックやルアネドはもとより、グウィエンも堂々たるもので、色々な貴族に挨拶をされていた。
王太子とは次期国王になるものだ。
そりゃあ仲良くはなりたいだろう。
懲りないナンパはセトが必死で謝っていた、あの従者も大変そうだ。
「オーランド様もこの会場のどこかにいるのですね」
人が多いため、まだ会ってはいない。
それにミューズには近づかない約束だ、見かけても話しかけてはいけない。
そんな約束を守るかはわからない人だけれども……。
「ミューズ=スフォリア公爵令嬢! 今日はそなたを糾弾させてもらうぞ!」
声高にそう言われたのは、皆の前だ。
「何を糾弾するというのです。それに契約があるはずですよ、私に話しかけてはいけないというものが」
「そんなもの、忘れたな」
空々しい言葉だ。
「このような事をしてもあなたに何の得もないですよ。今のうちに撤回をしてください。私の姉はご存じですよね?」
何とか穏便に引いてはくれないかと発した言葉だ。
「俺を脅すか、さすがは悪女と名高い女だ。姉の威光を我が物のようにして振舞うとは。そうやって数多くの男を誑かしたのだろう」
「そういう意味ではなくて、これではあなたが大変な事になるから……」
「今更言い訳をするな、周囲の目を見よ。お前の悪行を知って憤っている」
周囲に目を向ければ、訝しむ目と疑問の目だ。
オーランドを知るものは多く、逆にミューズの事を知るものは少ない。
だが王太子妃の妹という言葉で何とも言えない表情をしているようだ。
視線の集中に耐え切れず、俯いてしまう。
その体を支えるように、大きな手が差し出された。
「大丈夫、今夜で終わる」
もう隠し立てすることはないのだ。
「こちらも貴様を糾弾しよう。俺の婚約者に言い寄り、逆恨みで評判も落とそうとしたのだ。ただで帰れると思うなよ!」
ティタンの声がホール中に響き渡る。
拡声魔法など使わずとも、鍛えられた体から齎される声量はかなり大きい。
「俺はこのアドガルムの第二王子だ。なぁセラフィムの第三王子よ、対等な立場で話そうじゃないか」
怒りのこもった目で睨まれる。
「それで、俺の婚約者が男を誑かす悪女だと? 証拠はどこにある?」
「証言をするものならいる!」
オーランドの呼びかけで出てきたものは見知らぬものだ。
しかしこの会場にいるのならばどこぞの貴族という事になる、招待状がないとここにはいられない。
「このもの達はそこの女の誘惑を受けた! 一度ではない、何度もだ! ふしだらなその女は……!」
突如としてオーランドの声がミューズの耳に届かなくなる。
「防音魔法を使ったです。あのような男の言葉など聞かなくていいのです」
そっとマオが囁く。
ティタンの声も聞こえなくなるが、彼は真っすぐにオーランドに言い返していた。
安心させるようにミューズの手も握ってくれている。
言葉を聞けなくなったので周囲の者の様子を見てみる。
どちらを信じるのか。
まず学校での噂を知らない者はまだ悩んでいるようだ。
顔の広いオーランドと、こういう場に出ることが少ないティタンとミューズのどちらかを信じるのか。
オーランドの方は証言者という第三者もいる。
こちらはマオや護衛騎士のルドとライカだけだ。
エリック達もきっと場を収める為に来るはずなのになかなか現れない。
「なぜこの場を糾弾の場に選んだというのだ」
数々のミューズへの罵詈雑言を聞いて、そろそろ怒りが爆発しそうだ。
オーランドの腹立つ様子に今すぐにでも殴りたい。
「俺を虚仮にしたのが悪い」
わざわざ自分が誘ってやったのに、あのような恥をかかせて。
「お前みたいな男の婚約者になるなどどうせ財産目当てだろう。姉の地位を自慢するだけでは飽き足らず、自分も権力を振るいたくなったから、お前と結婚すると言ったんだろうな。俺より劣る容姿の癖に、そんな顔の奴が愛されるわけないだろう。セシルも愛人にするつもりで引き取ったのか? 全く趣味の悪い女だ」
「救いようがないな」
これでも王族か、どこぞの破落戸にしか思えない。
「ようするに振られた腹いせなのだろう? くだらない。お前は俺の容姿も馬鹿にするが、人を悪しく言うお前のその顔の方が余程醜いな」
何とも醜悪な様子にミューズの耳どころか目も塞いであげたい。
「もう話し合いは終わりだ、オーランド。自分のしたことを悔やむがいい」
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